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第三十六話 「未熟の狸斬らるゝ事」
しおりを挟む根岸鎮衛著「耳嚢」 巻之六
「未熟の狸斬らるゝ事」
石谷何某の一族の下屋敷に妖怪が出ると聞いて、ある日、彼の主人がその屋敷に泊まってみた。
丑三つ時になり、月影に照らされ、障子に妖しい影が現れたので、主人は音を立てずに障子を開くと、そこには一人の老婆が立っていた。
「おまえは何者だ!」主人が問い糺すと、老婆は答える。
「私は、この屋敷に以前住んでいた者の妻でございますが、無情にも命を奪われ、こうして成仏出来ずにいます、わたくしを哀れに思って懇ろに弔い、この屋敷に一基の堂塚を築いて頂きたいと思うのですが、私の姿を恐れて未だに聞いて下さる方がおりません・・・・」
それを聞いて、主人が問う。
「妻であるなら、年も若いだろうに何故その方は白髪の老婆なのだ、合点がゆかないことだ」
そして、隙を見せずに、
「死者が歳をとるものか!」
と、腰の刀を抜き打ちに斬り付けると、老婆は「ギャアっ!」と叫んで姿を消した。
夜が明けで、血の跡をたどってゆくと、山陰の藪の中まで点々と血が残っており穴の中に消えていた。
その穴を掘り崩してみると、年を経た狸が一匹死んでいた。
人を化かして堂塚を建てさせ、その供物などにありつこうとしたのかもしれない、と人は語った。
・・・人を化かそうとして、見破られて逆にやられた狸の話でした。
日本では「化ける」動物というと、狐と狸と、猫・・・と相場が決まっています。
このシリーズでも度々ご紹介している、明治から大正、昭和初期にかけて活躍した作家、岡本綺堂氏のエッセイに「妖怪漫談」というのがありますが、それによると狐は中国でも「霊獣」ですが、狸と猫が「化ける」のはわが国独自のものだそうです。
「知性的な狐」「怖い猫」と違い、狸はどことなく「ゆるキャラ要員」というか、ヌケている感じがするのですが、いかがでしょう・・・。
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