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もう一度、「守りたい」と誓うために…
無力な俺
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あれから一ヶ月。俺と香織は不自由なく過ごしていた。あまり学校には行かず、バイトをしたりしていた。その中で、香織との距離も更に縮まったような気がした。
しかし、そこから一週間。香織はよく一人で外出するようになった。行き先を聞いても答えてくれず、食欲も体感的に少し減ったような気がした。
外出時間は一時間くらい。つまり、浮気ではない。それにこの関係は香織から始めた為、その説はありえないだろう。だとすると、行く所はどこだ?帰って来る時、香織は神妙な顔つきで帰ってきていた。今度、本人に聞いてみることにしよう。
今日も香織は外出し、一時間くらいで帰ってきた。俺は、玄関で待ち伏せし、香織を待った。
「香織」
「ん?どうしたの?白夜」
「香織、最近どうしちゃったんだ?一人で外出するし、食欲も少し落ちてる。出来ることがあれば言ってくれ。相談にも乗るから」
そう言ったのだが、
「ありがとう。でも、今は言えない。だから、もう少し待って。必ず、話すから…」
「分かった」
今日はここまでだった。一体何を隠しているのだろうか。俺にも言えないことって一体…。
俺はそこまで信用されてなかったということだろうか。
様々なマイナス思想が頭をよぎる。だが、いくら考えても答えは見つからないと判断し、俺はそこで考えるのをやめた。
夏織に異変が起きてから一ヶ月。もはや隠せるような状態ではなくなってきていた。見るからに元気がなく、顔色も悪い。
「大丈夫か?無理するなよ」
と、一声かけても夏織は、
「うん。大丈夫だから」
と返すだけだった。
その日の昼間。事件は起こる。
今日は夏織の体を考え、簡単に昼飯を作っていた。夏織はテレビをぼっと見ている。
「夏織、できたぞ」
「あ、うん。ありがと」
そう言いながら、夏織はソファーから立ち上がって、瞬間、まるで糸が切れた人形のようにその場に倒れた。
「夏織!」
俺は慌てて駆け寄り、体を抱き起すが、夏織は目を瞑ってまま動かない。完全に意識を失ったようだ。俺は救急車を呼び、病院へ。その間に応急処置をしていたが、夏織が目を覚ますことはなかった。
病院での検査が終わっても夏織は目を覚ますことなく、病室へと運ばれた。その後、俺は担当医に呼ばれた為、俺は診察室へ足を向けた。
診察室に入り、俺は担当医の前に座る。
「君が風原さんの彼氏さんですか」
「はい。彼氏の永遠北白夜です」
「今から言うことを落ち着いて聞いて下さい」
神妙な顔つきで担当医は静かに言った。
嗚呼、わかってしまう。これから話される事が。未来が。そして、その予想が外れることを祈りながら、俺は担当医に耳を傾ける。だが、
「残念ですが、白水さんの余命は後一ヶ月半です…」
当たってしまった。聞きたくなかった言葉が担当医の口から放たれる。薄々感づいていた。食欲がなくなったのも、そして、一人で外出していたのは病院に行くため。俺にバレないように。心配させないように。誰よりも辛かったはずだ。苦しかったはずだ。それなのに…、それなのに夏織はいつも俺に笑顔を浮かべて、心配させないようにと意地を張って、生活していた。そんな彼女に俺は何をしてあげた?俺は何をしていた。夏織の異変には気付いた。だけど、気づいただけ。その先は何もしていない。ただただ、近くで見守るだけ。俺の不甲斐なさを改めて実感する。
あの後、俺は夏織の病室にいた。夏織は一向に目を覚ます気配がない。
「何で、何も言ってくれなかったんだ…。俺は夏織にとってそんなに信用できない奴だったのか?」
日が傾き、夕日が差し込む病室に、俺の嗚咽と共に切なげに響く。
嗚呼、俺はまた失うのか。何も出来ないまま。ただ指をくわえて見ているだけで。気づいたら、誰もいなくなっていて。俺は孤独を感じるのか。
俺はどうすればいいのだろう。
夏織がいなくなったら、俺は何を見て生きていけばよいのだろう。
俺には分からない。そんな、糞野郎だ。
嗚呼、ホント、
「情けねえな~。何してたんだろ、俺」
そんな俺の悲痛な想いは反響することもなく。部屋に静かに溶け込むのだった。
しかし、そこから一週間。香織はよく一人で外出するようになった。行き先を聞いても答えてくれず、食欲も体感的に少し減ったような気がした。
外出時間は一時間くらい。つまり、浮気ではない。それにこの関係は香織から始めた為、その説はありえないだろう。だとすると、行く所はどこだ?帰って来る時、香織は神妙な顔つきで帰ってきていた。今度、本人に聞いてみることにしよう。
今日も香織は外出し、一時間くらいで帰ってきた。俺は、玄関で待ち伏せし、香織を待った。
「香織」
「ん?どうしたの?白夜」
「香織、最近どうしちゃったんだ?一人で外出するし、食欲も少し落ちてる。出来ることがあれば言ってくれ。相談にも乗るから」
そう言ったのだが、
「ありがとう。でも、今は言えない。だから、もう少し待って。必ず、話すから…」
「分かった」
今日はここまでだった。一体何を隠しているのだろうか。俺にも言えないことって一体…。
俺はそこまで信用されてなかったということだろうか。
様々なマイナス思想が頭をよぎる。だが、いくら考えても答えは見つからないと判断し、俺はそこで考えるのをやめた。
夏織に異変が起きてから一ヶ月。もはや隠せるような状態ではなくなってきていた。見るからに元気がなく、顔色も悪い。
「大丈夫か?無理するなよ」
と、一声かけても夏織は、
「うん。大丈夫だから」
と返すだけだった。
その日の昼間。事件は起こる。
今日は夏織の体を考え、簡単に昼飯を作っていた。夏織はテレビをぼっと見ている。
「夏織、できたぞ」
「あ、うん。ありがと」
そう言いながら、夏織はソファーから立ち上がって、瞬間、まるで糸が切れた人形のようにその場に倒れた。
「夏織!」
俺は慌てて駆け寄り、体を抱き起すが、夏織は目を瞑ってまま動かない。完全に意識を失ったようだ。俺は救急車を呼び、病院へ。その間に応急処置をしていたが、夏織が目を覚ますことはなかった。
病院での検査が終わっても夏織は目を覚ますことなく、病室へと運ばれた。その後、俺は担当医に呼ばれた為、俺は診察室へ足を向けた。
診察室に入り、俺は担当医の前に座る。
「君が風原さんの彼氏さんですか」
「はい。彼氏の永遠北白夜です」
「今から言うことを落ち着いて聞いて下さい」
神妙な顔つきで担当医は静かに言った。
嗚呼、わかってしまう。これから話される事が。未来が。そして、その予想が外れることを祈りながら、俺は担当医に耳を傾ける。だが、
「残念ですが、白水さんの余命は後一ヶ月半です…」
当たってしまった。聞きたくなかった言葉が担当医の口から放たれる。薄々感づいていた。食欲がなくなったのも、そして、一人で外出していたのは病院に行くため。俺にバレないように。心配させないように。誰よりも辛かったはずだ。苦しかったはずだ。それなのに…、それなのに夏織はいつも俺に笑顔を浮かべて、心配させないようにと意地を張って、生活していた。そんな彼女に俺は何をしてあげた?俺は何をしていた。夏織の異変には気付いた。だけど、気づいただけ。その先は何もしていない。ただただ、近くで見守るだけ。俺の不甲斐なさを改めて実感する。
あの後、俺は夏織の病室にいた。夏織は一向に目を覚ます気配がない。
「何で、何も言ってくれなかったんだ…。俺は夏織にとってそんなに信用できない奴だったのか?」
日が傾き、夕日が差し込む病室に、俺の嗚咽と共に切なげに響く。
嗚呼、俺はまた失うのか。何も出来ないまま。ただ指をくわえて見ているだけで。気づいたら、誰もいなくなっていて。俺は孤独を感じるのか。
俺はどうすればいいのだろう。
夏織がいなくなったら、俺は何を見て生きていけばよいのだろう。
俺には分からない。そんな、糞野郎だ。
嗚呼、ホント、
「情けねえな~。何してたんだろ、俺」
そんな俺の悲痛な想いは反響することもなく。部屋に静かに溶け込むのだった。
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