10 / 11
もう一度、「守りたい」と誓うために…
あの時のように…
しおりを挟む
あれから、翌日には目を覚ました夏織。俺も付きっ切りというわけではないが、毎日、夏織がいる病院へと向かった。本当は学校も休みたいのだが、このまま学校に行かないと、出席日数が足りず、退学になってしまう恐れがあったので、渋々学校に通っている。
一週間たったある日、俺はまた担当医に呼び出され、診察室に向かっていた。先程まで夏織の病室にいたのだが、夏織は寝ていたので、静かに部屋を出てきていた。
「失礼します」
俺は診察室のドアを開け、中へと入る。
「取り敢えず、座ってくれ」
担当医にそう促され、俺は目の前の椅子に腰を下ろした。
「単刀直入に言おう。風原さんはもう長くない。それはわかっているね?」
「はい。信じたくない事ですが、覚悟しています」
想像もしたくない。夏織が死ぬなんて信じたくない。認めたくない。だけど…、だけど、それじゃあみどりの時と同じだから。俺は成長した。全てにおいてあの時からレベルアップした。だから、俺はこの現状を認めなくちゃいけない。
「彼女の病気についてだが…」
その医者の言葉を聞き、俺は思わず立ち上がった。
「それは本当何ですか⁉」
「ああ、本当だ。だが、絶対ではない。それを片隅に入れておいてくれ」
「はい、分かりました」
俺は担当医との話を一通り終えると、俺は夏織の病室へと急いだ。この事実は彼女にとっても、俺にとっても朗報なはずだ。だからこそ、彼女に一刻も早く伝えたかった。そして、病室へと飛び込む。
「夏織!」
だが、そこに彼女の姿はなかった。ただ、机に綺麗に折りたたまれた紙が置いてあったため、俺はゆっくりと開く。そして、そこに書かれてあった文字を見て、俺は、
「夏織…、まさか…」
俺は、病室を飛び出す。そう。紙に書かれてあった文字はたったの五文字。
さようなら
もう既に日は落ち、都会の空は星々が輝いていた。そんな空の下で、俺は彼女の背中に言葉をかける。
「……夏織……」
病院の屋上を冷たい風が通り過ぎる。
「白夜くん…。どうしたの?そんな焦ったような顔をして」
「お前、ここで何をするつもりだ?
「嫌だな~。ちょっと空気を吸いに来ただけだよ。ほら、ずっとベットの中だと、精神が参っちゃうからさ」
そんな軽口を言い、笑顔を浮かべる夏織に、俺は事実を突きつける。
「じゃあ、あの机に置いてあったメッセージは何なんだよ。冗談で書いたわけじゃないんだろ?」
そう言うと、夏織はちょっと困った顔をしながら、
「もう読んじゃったのか。まあ、ここにきている時点でわかってるか」
そう言って、夏織は屋上のフェンスに一歩近づき、言った。
「そうだよ、私はここに死にに来た」
絶対に聞きたくなかった言葉が彼女から聞こえてきた。そんな馬鹿げたことを言う彼女に俺は叫ぶ。
「ふざけるな…!死にに来ただと⁉何馬鹿なことを言ってんだよ!お前は俺を死から助けた。なのに自分は死ぬだなんて矛盾してるだろ!」
「落ち着いて、白夜くん」
大声でまくし立てる俺にそう話しかけてくるが、俺はそんなものを無視して続けた。
「お前は俺を助けた。そして、言ったんだ。俺の光を見つける手伝いをするって、そう言っただろ!俺はまだ光なんて見つけられて無いのに…」
「いいから聞いて」
ここで夏織は少し声を大きくして制する。
「確かに私は約束をした。それは今でも成し遂げたいと思っている。だけどね、タイムリミットが来ちゃったんだよ。元々、私が病気にかかっていたのは、あなたに出会う前から知っていた。前に君に、『私にもそんな時期があった』って言ったでしょ?」
ああ、言っていた。俺が何故、告白をしてきたのかを尋ねた時、確かに夏織はそう言っていた。
「あれね。私が病気だって伝えられた時なの。あの時は本当に死にたいと思った。この世から消えたいと思った。だけど、私は考えたの。どうせ死ぬなら、誰かの役に立ってから死のうってね。そして、そんな時に出会ったのが白夜くん。だから、私はあなたの役に立ってから死のうと思っていた。だけど、思ったよりも早くタイムリミットがきてしまった」
「だが、それじゃあ、今死のうとしている理由にはならない。そのまま、俺が見守っている中で死を待っていてもよかったはずだ。わざわざ自殺という形をとらなくても…」
「いやだったの」
そこで初めて、夏織は俯いた。
「君の泣き顔を見るのが…嫌だった。きっと私のために君は泣いてくれるから。その涙は本来、みどりさんに向けるものなのに、私に向けてくれるから、だから、一人で死のうと思ったのに…」
夏織は一歩後ずさる。俺もそれに呼応するように一歩前に踏み出す。
「来ないで!」
「その願いは聞き入れられない」
「どうやったら、君は私から離れてくれるの?君に対して罵詈雑言を言えば君は離れてくれる?」
「無理だな」
ああ、無理だ。俺は夏織がなんて言おうと、この歩みを止めるつもりはない。だが、彼女を止めることもできない。どうすればいい…。このままじゃ、また失ってしまう。ダメだ。もう二度と失わないと決めたんだ。
もう一度、「守りたい」と誓ったから、
だから、俺はこの言葉を紡ぐ。
「夏織、たった今、俺の光が見つかったよ」
「え?」
夏織が振り向くと同時に俺は言った。
「風原夏織。それが俺の光だ」
「何言ってるの?私はもうじき死ぬ。今ここで自殺しなくても近く、私は死んでしまう。なのに君は…」
「ああ、俺も今気づいた。俺はお前なしで生きていけないんだよ。もう誓ったんだ。もう二度と失わないと。だから、」
俺は彼女歩み寄り、彼女の手を取りながら、彼女の瞳に告げる。
「付き合ってくれ、夏織」
夏織は優しく微笑んで、目尻に涙をため込みながら、
「はい。喜んで…!」
そしてそして、そして、俺達は誓いのキスを交わすのだった。
一週間たったある日、俺はまた担当医に呼び出され、診察室に向かっていた。先程まで夏織の病室にいたのだが、夏織は寝ていたので、静かに部屋を出てきていた。
「失礼します」
俺は診察室のドアを開け、中へと入る。
「取り敢えず、座ってくれ」
担当医にそう促され、俺は目の前の椅子に腰を下ろした。
「単刀直入に言おう。風原さんはもう長くない。それはわかっているね?」
「はい。信じたくない事ですが、覚悟しています」
想像もしたくない。夏織が死ぬなんて信じたくない。認めたくない。だけど…、だけど、それじゃあみどりの時と同じだから。俺は成長した。全てにおいてあの時からレベルアップした。だから、俺はこの現状を認めなくちゃいけない。
「彼女の病気についてだが…」
その医者の言葉を聞き、俺は思わず立ち上がった。
「それは本当何ですか⁉」
「ああ、本当だ。だが、絶対ではない。それを片隅に入れておいてくれ」
「はい、分かりました」
俺は担当医との話を一通り終えると、俺は夏織の病室へと急いだ。この事実は彼女にとっても、俺にとっても朗報なはずだ。だからこそ、彼女に一刻も早く伝えたかった。そして、病室へと飛び込む。
「夏織!」
だが、そこに彼女の姿はなかった。ただ、机に綺麗に折りたたまれた紙が置いてあったため、俺はゆっくりと開く。そして、そこに書かれてあった文字を見て、俺は、
「夏織…、まさか…」
俺は、病室を飛び出す。そう。紙に書かれてあった文字はたったの五文字。
さようなら
もう既に日は落ち、都会の空は星々が輝いていた。そんな空の下で、俺は彼女の背中に言葉をかける。
「……夏織……」
病院の屋上を冷たい風が通り過ぎる。
「白夜くん…。どうしたの?そんな焦ったような顔をして」
「お前、ここで何をするつもりだ?
「嫌だな~。ちょっと空気を吸いに来ただけだよ。ほら、ずっとベットの中だと、精神が参っちゃうからさ」
そんな軽口を言い、笑顔を浮かべる夏織に、俺は事実を突きつける。
「じゃあ、あの机に置いてあったメッセージは何なんだよ。冗談で書いたわけじゃないんだろ?」
そう言うと、夏織はちょっと困った顔をしながら、
「もう読んじゃったのか。まあ、ここにきている時点でわかってるか」
そう言って、夏織は屋上のフェンスに一歩近づき、言った。
「そうだよ、私はここに死にに来た」
絶対に聞きたくなかった言葉が彼女から聞こえてきた。そんな馬鹿げたことを言う彼女に俺は叫ぶ。
「ふざけるな…!死にに来ただと⁉何馬鹿なことを言ってんだよ!お前は俺を死から助けた。なのに自分は死ぬだなんて矛盾してるだろ!」
「落ち着いて、白夜くん」
大声でまくし立てる俺にそう話しかけてくるが、俺はそんなものを無視して続けた。
「お前は俺を助けた。そして、言ったんだ。俺の光を見つける手伝いをするって、そう言っただろ!俺はまだ光なんて見つけられて無いのに…」
「いいから聞いて」
ここで夏織は少し声を大きくして制する。
「確かに私は約束をした。それは今でも成し遂げたいと思っている。だけどね、タイムリミットが来ちゃったんだよ。元々、私が病気にかかっていたのは、あなたに出会う前から知っていた。前に君に、『私にもそんな時期があった』って言ったでしょ?」
ああ、言っていた。俺が何故、告白をしてきたのかを尋ねた時、確かに夏織はそう言っていた。
「あれね。私が病気だって伝えられた時なの。あの時は本当に死にたいと思った。この世から消えたいと思った。だけど、私は考えたの。どうせ死ぬなら、誰かの役に立ってから死のうってね。そして、そんな時に出会ったのが白夜くん。だから、私はあなたの役に立ってから死のうと思っていた。だけど、思ったよりも早くタイムリミットがきてしまった」
「だが、それじゃあ、今死のうとしている理由にはならない。そのまま、俺が見守っている中で死を待っていてもよかったはずだ。わざわざ自殺という形をとらなくても…」
「いやだったの」
そこで初めて、夏織は俯いた。
「君の泣き顔を見るのが…嫌だった。きっと私のために君は泣いてくれるから。その涙は本来、みどりさんに向けるものなのに、私に向けてくれるから、だから、一人で死のうと思ったのに…」
夏織は一歩後ずさる。俺もそれに呼応するように一歩前に踏み出す。
「来ないで!」
「その願いは聞き入れられない」
「どうやったら、君は私から離れてくれるの?君に対して罵詈雑言を言えば君は離れてくれる?」
「無理だな」
ああ、無理だ。俺は夏織がなんて言おうと、この歩みを止めるつもりはない。だが、彼女を止めることもできない。どうすればいい…。このままじゃ、また失ってしまう。ダメだ。もう二度と失わないと決めたんだ。
もう一度、「守りたい」と誓ったから、
だから、俺はこの言葉を紡ぐ。
「夏織、たった今、俺の光が見つかったよ」
「え?」
夏織が振り向くと同時に俺は言った。
「風原夏織。それが俺の光だ」
「何言ってるの?私はもうじき死ぬ。今ここで自殺しなくても近く、私は死んでしまう。なのに君は…」
「ああ、俺も今気づいた。俺はお前なしで生きていけないんだよ。もう誓ったんだ。もう二度と失わないと。だから、」
俺は彼女歩み寄り、彼女の手を取りながら、彼女の瞳に告げる。
「付き合ってくれ、夏織」
夏織は優しく微笑んで、目尻に涙をため込みながら、
「はい。喜んで…!」
そしてそして、そして、俺達は誓いのキスを交わすのだった。
0
あなたにおすすめの小説
お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない
白黒
恋愛
お人形のように綺麗だと言われるアリスはある日義兄ができる。
義兄のレイモンドは幼い頃よりのトラウマで次第に少し歪んだ愛情をアリスに向けるようになる。
義兄の溺愛に少し悩むアリス…。
二人の行き着く先は…!?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
人質王女の恋
小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。
数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。
それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。
両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。
聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。
傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる