能力者主義の世界で俺は無能なチート能力者

高桐AyuMe

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本編

前言撤回させてもらいませんか?

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  俺が所属していた組織Xは元々、警察と手を組み、増加する能力者による犯罪の対策を進めていた。しかし、組織Xが秘密裏に進めていた違法の研究が明るみに出たことにより警察は組織Xを排除することを決め、表沙汰にはこの世界から消されたことになっている。それでも、Xのトップは裏社会で今一度組織を建て直し、今に至る。
  そんな組織から逃げ出した俺であるが、Xの影を感じ、駒。その男に探りを入れさせた。それが救護室へのガサ入れから連絡は途絶えたのだった。
「果たしてなんでまた警察の内部まで潜り込んでいる?  お前たちにとっては組織の存在がばれるリスクしかない。目的はなんだ?  何を狙っている?」
「恐らく、検討はついているんでしょう。そもそもあなたが組織を離れなければ、私はこんなところにはいませんよ」
「やっぱり、狙いは俺を連れ戻すことなのか?」
「無論、あなたは関係者ですから。そのまま明るみに出られては困りますので」
「それは無駄な心配だ。事実、組織のことはばれてはいない。それが俺が何も話していないことの証明なんじゃないか?」
「それは現状の話です。これから何が起こるかわかりません」
「保険ってことか」
    だからこそ監視にとどまっている。もし、俺が組織のことを話さざるを得ない状況になれば間違いなくこいつは俺を殺すだろう。
    あの男は俺の指示に従う駒となった。言うなれば、組織を出たある意味裏切り者の味方として殺されたのだろう。
「まあ、いい。事情知れただけでも十分だ。邪魔したな」
    俺はそう言って踵を返す。
「ならば、最後に一つ。今日に私に接触した理由は?    その様子だと既に私については見当は核心に近い形でついていたはず。あなたこそその行動が無駄では?」
「無駄かどうかを評価するのは俺だ」
    俺の想像していた未来とは少し外れていることが今回で分かった。
「まだ、この学校で楽しめることを確認したまでだ」
    前に言った。今回が最後の特別試験になると、だが、今に撤回しよう。
    まだ、もう少しだけここで戦える。
    これまでに知りえないことを知ることができる。
    終わらせるにはまだ早かったらしい。

    翌日。
    前日の疲れは完全回復とまではいかないが、少々楽になった今日この頃。
    と言っても今日が試験最終日。今日に負けなければ全戦全勝を手にし、1位を獲得することができる。
    まあ、順位などどうでもいい俺ではあるが、ここまで来たら負けたくはない。
    それに加えて、舞原も今日の試験に参加できるはず。ミサがいないにしても舞原がいるなら少しは戦闘が楽にはなるだろう。
    いつもの集合場所であるロビーに5分早く到着する。最終日まで、5分前行動だ何だと小言を言われるのは勘弁だ。
    だが、集合時間を過ぎても舞原が来る様子はない。
    俺が珍しい行動をしたせいだろうか?
    ならば、と舞原の部屋に行こうとしたのだが。
「ごめん。寝坊したわ」
    舞原が急ぎ足でこちらに来ているのが見えた。
「珍しいな、寝坊なんて。余程身体が回復を求めていたらしいな」
   俺たちはステージへ移動しながら話す。
「ええ、あの後部屋に戻ったらぐっすりだわ」
    まあ仕方がない。逆に言えば、西園寺のほぼ全力といえる一撃をもろに食らって一日で歩けるまで回復、だなんて常人では不可能だろう。
「で、そんな波乱の試験も最終日を迎えたが何か思い残すことでもあるか?」
「そうね、一日も休んでしまったのは悔しいけど。まあ、結果的には1ポイントも落としてないから良しとするわ。それで?    ボーナスチャンスはあと何回残っているの?」
「ん?   そんなものは残っていないが?」
「は?」
   舞原の純粋なわけのわからないという声が響き渡る。
「お前が眠っている間に全部使ったよ。そもそも、休んでいたのは舞原とミサだけじゃない。西園寺をはじめとするAクラスの多くがあの日にリタイアしていた」
    つまり、助太刀できる代表的な人材が不足していた。そんな中でのボーナスチャンスで呼べる助太刀の戦力はたかが知れている。使わない手はないだろう。
「というか、気づかなかったのか?   明らか西園寺と戦った時のポイントよりも大幅に増えていたはずだが」
    舞原にとってはポイントなど些細な事。重要なのはあくまでも順位だったということか。
「まあ、言うなれば後は消化試合ってことよね」
「ああ、今日はもうAクラスはいないし、3人そろっているチームは数えるほどしかいない。頑張って俺を楽させてくれ」
「はあ、まあもう慣れたわ。必要最低限は働いてよね。私も完全に動けるわけじゃないから」
「人数不利にはしないように立ち回るさ」
     そこまで言って、俺は前を見据える。
「時間の無駄だ。一試合あたり10秒で終わらせたらトータルでどんくらい休めるんだ?」
「さあ?  分からないけど、多分仮眠くらいはできるわ」
    そうか、なら……。
「さっさと片付けて、寝るぞ!」
「ええ、賛成だわ」
    俺たちは自分の休養時間確保のため、戦いに挑む……!
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