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しおりを挟む「お久しぶりでございますクォードライト様、ジルナイト様、そして・・・ゼウ様、ですかな。ようこそ、おいで下さいました」
学園で開かれたパーティーの後、リリー、ギムリィ、ハレム、そしてクォード、ジル、ゼウはホワイトローズ家の客室のソファに座り、招待主であるリリーの父、ホワイトローズ家の主であるロイズの挨拶を聞いていた。
突然自分たちを呼び出した理由を聞きたく、ギムリィは目で父にそう訴える。だが、ロイズはなかなか本題を喋り始めず、痺れを切らしたギムリィは咳払いを一つしてから口を開いた。
「父上、俺たちを呼び出した理由は何でしょうか」
「ああ、そうだったな・・・・・・。今日、パーティーで騒ぎがあったらしいが、その渦中にリリーがいたと聞いてな」
「リリーは被害者です。フラウ・・・いえ、ブロッサム家の者が――
父がそう言った直後リリーの身体は硬直してしまい、顔が見てわかるくらい真っ青になってしまった。手も指まで冷たくなっていき、小さく震えているのが自分でもよくわかる。隣に座るハレムが指を包み込んでくれ、ややそれは和らぐも、ギムリィが父に事の次第を話すのを怖々と聞いていた。
「そうだったか・・・・・・。フラウもリリーの秘密を知ったのかもしれないな。聞くところによると、お前たちは今、必死になって“リリーの話し方”を治す方法を調べているそうだな」
「はい。俺たちもギムリィと共に書庫の文献など探ってはいるのですが――・・・なかなか成果はでません」
「それこそ、それっぽいのは“魔女の呪い”くらいですよね。まぁ子どもの本や伝承にしか出てきませんが」
眉を下げて報告するクォードの後にハレムが冗談っぽく言ったそれに、父が一瞬肩を浮かせたのをリリーは見逃さなかった。もしかしたら、ハレムが言ったことに何かそうする要素が含まれているのだろうか。
「リリーの話し方が成長しない原因は不明だと、昔からお前たちに言っていたのだが・・・・・・。その・・・、実は黙っていたことがあってな・・・・・・」
「父上は原因を知っていたのですか!?」
「いや・・・、その・・・・・・」
「父上、はっきりとおっしゃってください」
ギムリィの冷たく言い放った言葉に父が観念したように肩の力を抜き、手を額に当てて非常に神妙な表情を作り、勿体ぶったように唸り声を上げた後、ゆっくりと口を開いた。
「リリーの話し方は実は・・・・・・“魔女の呪い”なのだ」
直後、部屋には痛いほどの沈黙。
「・・・・・・は?」
と、誰からか言葉が漏れた。
「・・・え、冗談・・・ではないですよね?」
ハレムも動揺しており、目が左右に泳いでいる。リリーの手を握っているその手も、指の先から冷たくなるのを感じた。
「どういうことなのか、教えていただけますね?」
動揺の空気の中、クォードライトが落ち着いた様子でじっと父の目を見る。それに小さく頷いた父は、リリーが生まれる前――ハレムが生まれた直後のことについて、話し始めた。
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