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女スリと
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無一文になってしまったジュウゾウは、鬱屈を溜め込んだままで町をほっつき歩いていた。
「また稼げばいいじゃないの。幸い、装備は整えられたんだし。もう少しお金になる仕事も引き受けられるんじゃないかしら」
「ああ?ふざけんなよっ、あの金があれば……あの金があれば……っ」
「あの金があれば?」
「そうだ、あの金があれば……可愛い女の子や綺麗な娘からウンコを買うことができたかもしれないんだぜっ」
「ちなみにどんな風に買い取る気だったの?」
「そりゃ、勿論、町にいる女の子に声かけてさ、覆面被って壺持って、薬に使うからこの中にしてくれって」
「ふーん、あんたにそんな度胸があるようには思えないけど。そこまで出来るなら前の世界でももう少し、
マシな人生送れてただろうし」
「と、とにかくあの女スリを捕まえてやるんだっ。そして俺の金を取り戻すっ」
「俺の金って、あのお金は元々は欲深番頭から巻き上げたお金よ」
「うるせえよ、俺が手に入れたんだから俺の金だっ、大体、そそのかしたのはお前だろっ」
「あたいは手口を教えただけよ。使うかどうかはあんた次第よ」
そんなやりとりを続けながら、ふたりは女を見つけるために町中を探し回った。
それこそ町の広場から路地裏、商店街、表通りに裏通りとくまなく探したのだが、
やはり女は見つからなかった。
冒険者ギルドで、何か良い仕事はないかとファイルを眺める。
「そういえば、薬草や鉱物の採取って出来高制なのか。やればいくらくらいになるんだろう……」
ジュウゾウはファイルを見ながら、何気なく呟いた。
すると、たまたまジュウゾウの隣に居合わせたナリアが
「買い取り金額は薬草の種類や量で結構変わってきますよ。
貴重な薬草や鉱物は高価だけど、危険な場所に自生していたり、見つけにくかったりしますかね。
逆に誰でも手に入るのは当たり前だけど安くなりますし」
「そういえば、ナリアは採取もするんだっけ?」
「ええ、ただ、買い取ってもらうっていうよりも自分の実験に使ったりする為に摘んだりしてきますね。
強いモンスターが出る場所とか、そういうとこにはまだ怖くていけませんけど……」
そういうと肩を落とし、ナリアがため息をついて見せる。
駆け出し冒険者であるナリアは、まだまだか弱い存在でしかない。
だから一人で探索や採取ができるエリアなど、ほんの数えるほどしかないのだ。
「それじゃあさ、ナリア、採取手伝うから薬草とか教えてくれないか?」
ジュウゾウのそんな申し出にナリアがそれはかまいませんよと答える。
「ただ、二人だけっていうのもちょっと厳しいと思いますよ。せめて三人いれば、怖くはないと思うんですけどね……
ハラーンさん、私達以外にも採取目的でパーティーを組みたい人って誰かいませんか?」
ナリアが受付係の男──ハラーンに尋ねた。
「ああ、それでしたら、カルラさんがいますよ。冒険者ランクは星三つなので、あちらのほうが二つ上ということになりますが」
「ええと、それって組んでもらえるんでしょうか……?」
ナリアが不安そうな表情を浮かべる。
「それなら大丈夫ですよ。まあ、取り分などの話は当事者同士でしてもらえれば。それじゃあ紹介しますので、少し待っていてください」
そしてジュウゾウが現れた女の顔を一目見ると、途端にあっと驚いた。
ハラーンから紹介された冒険者──あの時の女スリだった。
「私の名はカルラだ。よろしくな、二人とも」
「ナリアです。こちらこそよろしくお願いします、カルラさん」
「ジュウゾウだ。よろしく……」
「また稼げばいいじゃないの。幸い、装備は整えられたんだし。もう少しお金になる仕事も引き受けられるんじゃないかしら」
「ああ?ふざけんなよっ、あの金があれば……あの金があれば……っ」
「あの金があれば?」
「そうだ、あの金があれば……可愛い女の子や綺麗な娘からウンコを買うことができたかもしれないんだぜっ」
「ちなみにどんな風に買い取る気だったの?」
「そりゃ、勿論、町にいる女の子に声かけてさ、覆面被って壺持って、薬に使うからこの中にしてくれって」
「ふーん、あんたにそんな度胸があるようには思えないけど。そこまで出来るなら前の世界でももう少し、
マシな人生送れてただろうし」
「と、とにかくあの女スリを捕まえてやるんだっ。そして俺の金を取り戻すっ」
「俺の金って、あのお金は元々は欲深番頭から巻き上げたお金よ」
「うるせえよ、俺が手に入れたんだから俺の金だっ、大体、そそのかしたのはお前だろっ」
「あたいは手口を教えただけよ。使うかどうかはあんた次第よ」
そんなやりとりを続けながら、ふたりは女を見つけるために町中を探し回った。
それこそ町の広場から路地裏、商店街、表通りに裏通りとくまなく探したのだが、
やはり女は見つからなかった。
冒険者ギルドで、何か良い仕事はないかとファイルを眺める。
「そういえば、薬草や鉱物の採取って出来高制なのか。やればいくらくらいになるんだろう……」
ジュウゾウはファイルを見ながら、何気なく呟いた。
すると、たまたまジュウゾウの隣に居合わせたナリアが
「買い取り金額は薬草の種類や量で結構変わってきますよ。
貴重な薬草や鉱物は高価だけど、危険な場所に自生していたり、見つけにくかったりしますかね。
逆に誰でも手に入るのは当たり前だけど安くなりますし」
「そういえば、ナリアは採取もするんだっけ?」
「ええ、ただ、買い取ってもらうっていうよりも自分の実験に使ったりする為に摘んだりしてきますね。
強いモンスターが出る場所とか、そういうとこにはまだ怖くていけませんけど……」
そういうと肩を落とし、ナリアがため息をついて見せる。
駆け出し冒険者であるナリアは、まだまだか弱い存在でしかない。
だから一人で探索や採取ができるエリアなど、ほんの数えるほどしかないのだ。
「それじゃあさ、ナリア、採取手伝うから薬草とか教えてくれないか?」
ジュウゾウのそんな申し出にナリアがそれはかまいませんよと答える。
「ただ、二人だけっていうのもちょっと厳しいと思いますよ。せめて三人いれば、怖くはないと思うんですけどね……
ハラーンさん、私達以外にも採取目的でパーティーを組みたい人って誰かいませんか?」
ナリアが受付係の男──ハラーンに尋ねた。
「ああ、それでしたら、カルラさんがいますよ。冒険者ランクは星三つなので、あちらのほうが二つ上ということになりますが」
「ええと、それって組んでもらえるんでしょうか……?」
ナリアが不安そうな表情を浮かべる。
「それなら大丈夫ですよ。まあ、取り分などの話は当事者同士でしてもらえれば。それじゃあ紹介しますので、少し待っていてください」
そしてジュウゾウが現れた女の顔を一目見ると、途端にあっと驚いた。
ハラーンから紹介された冒険者──あの時の女スリだった。
「私の名はカルラだ。よろしくな、二人とも」
「ナリアです。こちらこそよろしくお願いします、カルラさん」
「ジュウゾウだ。よろしく……」
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