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錬金術師編
02魔人誕生秘話
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以下は神谷が魔道書ネクロノミコンより知り得た情報である。
アルフレッド・アルハザードは貧しいけれど、イエメンの預言者ムハンマドの熱心な信者であった家庭に西暦600年代の後半に生まれ、その影響により彼自身も熱心なイスラム教の信者であった。
肌が白く滑らかで、緑色の目が際立って美しかったことから、母親が鬼神と交わって授かった子供という噂が立つ程に美しい容貌をしていた。
更にその容貌にもまして美しい声の持ち主であり、アルハザードが預言者の言葉を暗唱し始めると、鳥たちはさえずることを止め、砂漠の狐や蠍たちも巣穴を出て、その言葉にうっとりと耳を傾けたという。
イエメンの王が美しい少年の噂を聞きつけ、アルハザードは王宮に召し抱えられ、王子たちを教育する教師たちによって教育を受けるようになる。
かくして、アルハザードは王子たちと同様の寵愛を王から受けることになった。
アルハザードの宮廷での主な役目は、詩を作りそれを王たちの前で持ち前の美しい声で吟じることであった。
アルハザードの運命が狂ったのは、彼が十八歳の時、王女の一人と恋に落ちたことに端を発する。
二人は激しく愛し合い、結果王女は子を孕むことになる。
情交が発覚するや、王は激怒し、美しき詩人は切り落としの刑に処せられた。
鼻、耳、男根を切り落とされるという残酷な刑罰を受け、更に王女の産み落とした子供はその場で絞め殺され、串刺しにされて熾の上で炙られ、その死体の一部をアルハザードは無理矢理に食べさせられた。
刑罰はそれだけでは済まず、王は砂漠に住む遊牧民に金を与え、アルハザードを遥か遠く、古代人に虚無の広がりと言われていたロバ・エル・ハリイェーの奥地に食料も水も与えずに捨てさせ、のたれ死ぬように仕向けた。
この恐ろしい体験によってアルハザードは完全に理性を失った。
すぐに死が訪れると思われていたアルハザードだったが、彼は何の望みのない生にしがみついた。
昼間は蛇や蠍、ありとあらゆるものを糧とし、夜は荒涼とした地に潜む魔物を友とし、これらの闇の生き物に降霊術を学び、いにしえの霊の力を借り、地下深くに走る誰も知らない洞窟や井戸を発見した。
アルハザードはイスラムの信仰を捨て、砂漠の霊たちを崇拝し、太古の巨大な邪神たちを崇めるようになる。
アルハザードは失った体を元に戻すためにあらゆる方法を探求した。
邪神より得た魔力により、顔を元のように見えるようにし、その後荒野を去り、世界中を旅した。失われた男根を取り戻すためである。
エジプトのギーザでは異教の神官たちの秘密宗派から、死者を蘇らせ思い通りに使役する術を学び、カルデアでは占星術を極めた。
アレクサンドレイアのヘブライ人から忘れ去られた言語の知識と、古き神々の召喚の言葉を口にするための声の使い方を学んだ。
更に放浪の旅は続いたが、その道程で見いだしたいかなる薬石や呪術を用いても、アルハザードの体が元に戻ることはなかった。
アルハザードは狂った頭で現実を受け入れるしかなかった。やがてダマスカスに居を構え、悪霊の力を借りて邪悪な妖術師として贅沢に暮らし、都市の住民に忌み嫌われながら、降霊の実験を繰り返しながら、「アル・アジフ」という名の本を書き残した。
これは昆虫の鳴き声、あるいは甲虫の唸りを表す言葉だが、砂漠の民に霊の叫びと誤解されたため、一般に魔物の咆哮として知られるようになった。
この「アル・アジフ」こそが後にネクロノミコンと呼ばれる魔道書である。
この本を書き上げた直後、アルハザードは市場の広場でワインを買い求めていた時に、巨大な力を持つ不可視の生物に捕らえられ、首、腕、足が胴からもぎ取られ、全てくらい尽くされた言われている。
そのことを神谷はアルハザードに直接訊ねたことがあるが、彼からの答えは「さあ、死んだ記憶はないね」というものだった。
こうして狂えるアラブ人は魔人アルハザードとなった。
アルフレッド・アルハザードは貧しいけれど、イエメンの預言者ムハンマドの熱心な信者であった家庭に西暦600年代の後半に生まれ、その影響により彼自身も熱心なイスラム教の信者であった。
肌が白く滑らかで、緑色の目が際立って美しかったことから、母親が鬼神と交わって授かった子供という噂が立つ程に美しい容貌をしていた。
更にその容貌にもまして美しい声の持ち主であり、アルハザードが預言者の言葉を暗唱し始めると、鳥たちはさえずることを止め、砂漠の狐や蠍たちも巣穴を出て、その言葉にうっとりと耳を傾けたという。
イエメンの王が美しい少年の噂を聞きつけ、アルハザードは王宮に召し抱えられ、王子たちを教育する教師たちによって教育を受けるようになる。
かくして、アルハザードは王子たちと同様の寵愛を王から受けることになった。
アルハザードの宮廷での主な役目は、詩を作りそれを王たちの前で持ち前の美しい声で吟じることであった。
アルハザードの運命が狂ったのは、彼が十八歳の時、王女の一人と恋に落ちたことに端を発する。
二人は激しく愛し合い、結果王女は子を孕むことになる。
情交が発覚するや、王は激怒し、美しき詩人は切り落としの刑に処せられた。
鼻、耳、男根を切り落とされるという残酷な刑罰を受け、更に王女の産み落とした子供はその場で絞め殺され、串刺しにされて熾の上で炙られ、その死体の一部をアルハザードは無理矢理に食べさせられた。
刑罰はそれだけでは済まず、王は砂漠に住む遊牧民に金を与え、アルハザードを遥か遠く、古代人に虚無の広がりと言われていたロバ・エル・ハリイェーの奥地に食料も水も与えずに捨てさせ、のたれ死ぬように仕向けた。
この恐ろしい体験によってアルハザードは完全に理性を失った。
すぐに死が訪れると思われていたアルハザードだったが、彼は何の望みのない生にしがみついた。
昼間は蛇や蠍、ありとあらゆるものを糧とし、夜は荒涼とした地に潜む魔物を友とし、これらの闇の生き物に降霊術を学び、いにしえの霊の力を借り、地下深くに走る誰も知らない洞窟や井戸を発見した。
アルハザードはイスラムの信仰を捨て、砂漠の霊たちを崇拝し、太古の巨大な邪神たちを崇めるようになる。
アルハザードは失った体を元に戻すためにあらゆる方法を探求した。
邪神より得た魔力により、顔を元のように見えるようにし、その後荒野を去り、世界中を旅した。失われた男根を取り戻すためである。
エジプトのギーザでは異教の神官たちの秘密宗派から、死者を蘇らせ思い通りに使役する術を学び、カルデアでは占星術を極めた。
アレクサンドレイアのヘブライ人から忘れ去られた言語の知識と、古き神々の召喚の言葉を口にするための声の使い方を学んだ。
更に放浪の旅は続いたが、その道程で見いだしたいかなる薬石や呪術を用いても、アルハザードの体が元に戻ることはなかった。
アルハザードは狂った頭で現実を受け入れるしかなかった。やがてダマスカスに居を構え、悪霊の力を借りて邪悪な妖術師として贅沢に暮らし、都市の住民に忌み嫌われながら、降霊の実験を繰り返しながら、「アル・アジフ」という名の本を書き残した。
これは昆虫の鳴き声、あるいは甲虫の唸りを表す言葉だが、砂漠の民に霊の叫びと誤解されたため、一般に魔物の咆哮として知られるようになった。
この「アル・アジフ」こそが後にネクロノミコンと呼ばれる魔道書である。
この本を書き上げた直後、アルハザードは市場の広場でワインを買い求めていた時に、巨大な力を持つ不可視の生物に捕らえられ、首、腕、足が胴からもぎ取られ、全てくらい尽くされた言われている。
そのことを神谷はアルハザードに直接訊ねたことがあるが、彼からの答えは「さあ、死んだ記憶はないね」というものだった。
こうして狂えるアラブ人は魔人アルハザードとなった。
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