女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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危機一髪!

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カルノヴァが私の身体を頼りなく守っていた寝具を捲り、ひやりとした夜気が身体をなぞる。
彼は膝を立てて私を跨ぐように上に圧し掛かり、二人の重さでベッドが沈み込む。
男性的というより、動物的な荒い呼吸。
彼は私の借り物のスカートを掴み、破けても構うもんかという勢いで腰までたくし上げて、さらけ出された白いお腹に顔を擦り付けだす。
まるで子宮回帰の為の怪しげな儀式を見させられている気分。
臍周りを這う舌に、物凄い不快感があって、それが徐々に下腹へと迫ってくる。

恐怖で総毛逆立つような悪寒が全身に走った。
でも、ここが死後の世界か何かで、私は既に死人なのだと考えると、惹起された恐怖心は和らいで脳内が醒めていく感覚が戻った。
死人を抱こうだなんて、結構なご趣味ですこと。
…そんな達観視をして自分自身に冷めた視線を送る。
男が両手を動かし、ソコを探り当てるために10本の指を操って、私の股座に親指から潜り、そのまま力ずくで足を開かせたタイミングで、私はガバっと噛みつかんばかりの勢いで上体を跳ね上げた。

「無理いっ!!!」

硬直せずに動けたのは、私自身が本当の意味で彼に恐怖していないからなのだろう。
自分にのしかかってきた男性を睨みつけ、アソコと彼の視線との間に両手を差し込んでガードする。

突然蘇生した私にカルノヴァさんは驚き怯んで、一瞬だけ申し訳なさそうな顔を見せた。
けれども、止まってはくれなかった。
逆に、と言って良いほどの勢いで私の股に顔を沈めて、手の甲をベッロベロに舐めだす。
勢いが増した理由がさっぱり分からない。

「ち、ちょっと!?」

うう!
気持ち悪い!
怖い!
そして恥ずかしい!
身悶えしている間に、彼の右手は私の左手首を丸ごと包み掴んで引きはがそうと動き、左手は私の右手の下に潜り込んで恥ずかしい部分に直に迫る。
そのまま前戯とはとても言えない乱暴な動きで至る所を舐りだし、強引に腕を引きはがされて苦悶する中、彼の指が、一番敏感な部分に触れた。

「~っ!!!」

過呼吸みたいになって口をパクパクさせられた挙句、ガバちょと股を開かせられて、私の外陰部が月光の元に曝け出された。
薄ら明かりの下とはいえ、性器を男性にば~っちりと見せたのは初めての経験だった。
頭の中は真っ白だ。

「「……」」

何故か二人無言となり、お互いに生唾をゴックンと嚥下する。
静寂が流れる。
恐怖と羞恥渦巻く中で、私はどんな顔をすればいいのかわからなくなっていた。
拒否するために怒ってみせているのと同時に、恥ずかしさをごまかすために笑っていたかもしれない。
そんな私の顔を見たカルノヴァは物凄く嬉しそうな顔を向けてきた。

「はぁ!?なんで!?」

なにこれ恥ずかし~?!
足を畳んで膝を合わせ、腹を捩り腰を捻って貞操を守る。
私のそんな様を見た男の顔に歓喜の表情が浮かんだ。
だからなんでそんな悦ぶの!?嫌がってるのわかるでしょ!?

「や、やめ……」

私の涙を見ても彼は行為を止めない。
信じられない事に、そのまま顔を私の股間に埋めて陰核を舐めた。
脳天からつま先まで痺れる。
快楽に痺れる。
男の人が私の股に顔を埋めて、そこに鼻と口を擦り付けてる。
舐めてる。
啜ってる。
臭いとか、汚いとか思われてないのか不安になる。
どんどん羞恥と快楽が大きくなって、恐怖が薄れ出す。
勿論まだ怖い。
寝ている所に覆いかぶさってきた成人男性が怖くないはずはない。
けれども、それは抵抗したら殺されるかもしれない…そんな恐怖とは違う、このまま堕とされてしまう事への恐怖だった。
怖いし気持ちい悪いのに気持ちいい。
私の身体が、男性からの暴力をそんな風に感じるはずがない。
私は両手で顔を隠しながら、股を広げて、彼の欲望を受ける。
これは夢。
これは夢。
だってこんなの嘘だもの。
そうじゃなければこんな行為を許容できるはずがな~い!!

しかし嘘でも夢でも、やっぱりこんなことは断固拒否しなきゃいけないと股に力を込めつつ、その頭べちっと叩くと彼は私の股間から顔を上げ、フーフーと鼻息も荒く、自らのズボンを勢いよく降ろした。
バチン!
音を立てるほどの勢いで、反り返った「彼」が、彼自身のお腹を打つ。

「……」

その先端の熟れたプラムみたいにプクっと赤膨れた部分から何か体液が飛び散って、私の顔に、髪に、胸に、お腹にかかる。
噎せ返る様な異臭が一瞬で部屋一杯に充満している中で、汚された事実に唖然としてそれを凝視した。
勃起中の男性器を初めて見たわけじゃないけど、この距離間で正面から堂々と突き付けられたことはない。
それはあの岡崎先輩にもある奴で、そしてウィルシェにも付いてるはずの……。

今まで散々エッチイラストとか描いてきたんだから、もう少し耐性あると思ってた。
脈打つペニスを見て感じるのが、吐き気を催す嫌悪と恐怖と羞恥だけではなくて、それらと一緒に身体が熱くなるような感覚が心をかき乱し出す。
私の身体が一人の男性をこんなにしちゃったという背徳感と、その陰で言葉にしたくない感覚がゾクゾクと背筋を這い上ってきていた。

「ヤだってば!もう!」

語気は強くても、隣の部屋にいる兄弟にこんなのを見せられないから大声は出せない。
脳裏に浮かぶのは、ウィルシェとクルシュに悟られないように必死に口を抑えながら「最後までされちゃう」光景。
そんなのは到底受け入れられない!
彼を留めるしかない。
彼が思いとどまってくれるのを願って理性に訴えかけるしかない。
私はカルノヴァの顔を真っ直ぐに見据えた。
喉の震えよ、身体の震えよ、今だけとまれ。

「……見ているわ」

私の声に、男はほんの少しだけ怯んでから、へへっと笑った。

「見てねぇよ。二人は寝ちまったからな……心配なら、森の中にでも行くかい」
「ちがう……」

頬に延ばされた彼の手を避けず、乱された髪を正して、静かに言葉を紡いだ。

「ヴィルシュカさんが……見ているわ」

私が出したのは、恐らく彼にとって大切な女の人の名前。
痛烈に不意を打たれたカルノヴァが、ぎょっとした表情になって硬直する。
彼はごくりと唾をのみ込んだ後、そのまま動けなくなった。
愛してる人の名を聞いて、自分の行いの醜悪さに気付いたのか。
それとも私の中に彼女の涙を見たのか。
ともあれその名前は、彼の中の理性を呼び覚ましてくれた。
私は呼吸を測るようにゆっくりと身を引き、ベッドから降りて、まくり上げられていたワンピースを戻した。
身体にあった邪悪な熱を、吐息して外に逃がす。
危なかった。
今になって背筋が震えてくる。
私が衣装を正し終えた後、カルノヴァは頭を抱えて呻き出す。

「うぅうううぅ……!」

その苦悶はしばらく続き、それが止んだ後も、乱暴者がその心の内を語り出すまでにいくらかの時間を要した。
私は、このお部屋を立ち去りたかったけれど、彼を刺激するのが怖かったこともあり、彼の口から謝罪の言葉を聞こうと思った部分もあり、黙ってその部屋の中に留まっていた。

「……俺はこの村で、ヴィルシュカと育ったんだ」

私はその言葉を、背を向けたまま聞く。

「アイツは身体が弱くて、子供連中の中でもお荷物だった。隣の家のよしみで、俺が世話を焼いてやった……。でも、女ってやつはある日突然大人になるんだな」
「奇麗になって、他の男のものになった?」
「すげぇな、分かるのか。そうだ、アイツは東の都から来た貴族のものになった。その馴れ初めは知らないが、良くない噂はあった。その時思ったんだ。それなら無理やりにでも俺が先に……ってな」

いや。なんかそんな名残で襲われても困るんだけど。

「数年が経って、ヴィルシュカはウィルシェを連れて戻ってきたんだ。その時お腹にはクルシュがいた。貴族の旦那と何があったのか、別れて戻ったのか、誰にも何もしゃべらなかった。ただアイツは満足そうに笑っていたから、俺は何も聞けなかった」

男は後悔を滲ませた深い息をつく。

「……その後、アイツは流行りの病を罹った。凄く悪いヤツだ。ちょっと前にも一つの村に広まり、村人事焼き払ったと言われる程のヤツだ。子供達と離して、治療院に送るしかなかった。それが2年前だ」

それで独白は終わった。
振り返り、ベッドの上で項垂れている男を見る。
一人の男の後悔の人生語りがあったはずだけど、なんかその、彼の「彼」はまだまだぜんぜん「ヘソ天」していた。正しい用法じゃないけど、意味を察してください。

「すまなかった……どうかしていた……」

この世界の住人の倫理観に、ちゃんと「レイプ(強姦)は良くない事」という条項があった事に安堵する。
とりあえず今回の件を許す許さないは別にして、私は彼の謝罪を聞いてから扉に手をかけて、最後に問う。

「……私はそんなにヴィルシュカに似てた?」
「ん?いや。全然」

なんじゃそら!?
全ての会話の流れがひっくり返った気がした。
今更蒸し返そうとも思えないけど~って、やっぱ納得いかない。

「は?なにそれ?私が想い人に似てたから襲ったんでしょ!?」
「いや?」

いや?じゃないっての。なにその怪訝そうな顔は。

「最初に間違えて名前呼んでたじゃない!!」
「おいおい声がデカいよ!子供たちが起きちまうだろ!そりゃお前さん、だって、あの子達が女と居たら帰ってきたのかと思うだろ!ふくよかになってたのは病気が治ったからで······とか思っちゃうだろうが!」

それはまあ確かに…?

「……まあいいわ。思い留まってくれたし、今夜の事は忘れましょ」
「大体お前さんが、そんなふざけた身体で挑発的な格好を──」

彼の失礼なセリフを最後まで聞かずに室外に出る。刀を持ってなくてよかった。初めて人を斬捨ててたかもしれない。
私はその場でへたり込みそうになったけど、膝に芯を通すイメージで耐えて、夕餉後にそのまま、机に伏せるようにして眠ていた男の子二人を起こす。

「カルノヴァ……さんも寝ちゃったし、私たちも戻りましょう」

あの男が「やっぱり襲う!」とか言って出てくるかもと考えたら気が気じゃなくて、二人の手をひっぱって急ぎ帰路に就きました。

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