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プロローグ(前編)
異変
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(そういえば…おばあちゃんだけは
私のことをリーゼって言うんだよなぁ。)
そんなことを思い出しながら私は空に浮かべた水球のコントロールを続ける。
しばらくして、
『じゃあこれから、少し穴を開けて魚だけを外に出しまーす!』
私はそう言って頭の中で術式を再構築し、展開した。
水球から流れ出る水に乗って、魚たちが元の場所に戻っていく。
水瓶から少しずつ零していくように。
イメージするのは水の虹。
「おぉー!」
称賛とも驚嘆ともとれるみんなの声。
空には、全体的に水量が減った(それでもまだ直径10mほどはある)水球がふよふよ浮いている。
(ふふふん。私にかかればこのくらい自由自在よ!)
心の中で少し得意気になってみたそのとき。
⸺ぐらっ。
何かが崩れた気がした。
『えっ…??』
思わず声が漏れたのと同時に、空に浮かぶ水球が弾けた。
バシャーーーーン!!!!
「きゃーーーーーーーーーー!」
「何するのアンーーーー!!」
「びしょびしょだよぉ。。」
『ごめんね~ちょっとしたイタズラ!でも暑かったしちょうどいいでしょ?』
(違う、私はちゃんと魔法自体は制御できていた…)
『ほら、風と火の魔法うまく組み合わせればドライヤーみたいになるじゃない?』
私は平静を装って、ウインクしながらそう言った。
「そんなのできるのアンか先生だけ!」
「もう許さないかんね!!」
『ごめんってば~』
(何かが私の術式を崩した?)
(魔力がいきなり溢れたような気が
…安定しないなんてことなかったのに。)
これが学園でのお話。
その後は、キャッキャ言って笑っていたし楽しかったから、みんなからすると私のイタズラということで終わったハプニング。
違和感があったのは私だけ。
『んー考えても仕方ないかぁ~』
『でも明日、おばあちゃんに相談してみよっと』
そう言って、窓の外の美しい風景を眺める。
私は眠りについた⸺
深い夢の中へと沈んでいく。
私は誰かに語りかけられた。顔はよく見えない。
その人はこの辺りではあまり見ないような不思議な衣装を纏い、幻想的な光を放っていた。
(よく見えないけど、綺麗な声…若い女の人…?)
「……あなたには、*****の力が宿っているの。」
私は問いかける。
『えっ、、いま何て?」
「*****」
(だめだ、聞き取れない。)
「これからあなたにとって、きっと・・て・・・いことが・・・ます。」
「でも心配し・・で、私はい・・・も、あ・・・・とを・・・ってる。」
彼女の唇から出る言葉は、だんだんと霞み始めていく。
『待って!何言ってるのかよく聞こえない、ちゃんと教えて!!』
彼女は私に一歩近づいて、私の頬を優しく撫でた。
微笑みかけていた…気がした。
「だい・・ぶ・・・・・でね。・・ゼ。」
(⸺えっ)
彼女は消え、辺りは真っ暗な闇に包まれた。
暗闇の中、遠くにかすかな光が見える。
私は仰向けに寝ている。
いや、寝ているのか起きているのか、よく分からない。重力も感じない。
いつの間にか声も出なくなっていた。
(なにこれ、怖い怖いこわい…)
藁にもすがる思いで私はその光に向けて手を伸ばした。
(お願い、届いて…誰か、たすけて…)
光が少しずつ大きくなっていく。
「....!!.......!!!....ア!」
(遠くで誰かの声が聞こえる。この声は?)
「ティア!!起きて!!!!」
私は、目を開けた。ぱちぱちっとまばたきを2回。
(そっか…夢だったんだ)
私が起きたと分かったとたん、彼女は話し出す。
「ほんとよかった…」
「ティアもやられちゃったんじゃないかって。」
(何のこと??)
私はまだ頭が働いてないせいか、声が出ない。
そう聞きたかった。
彼女は話し続ける。
「大変なのよ、いきなり魔物が押し寄せてきて、村を…」
そこまで話して、言葉に詰まる。
美しいブルーの瞳に大粒の涙を浮かべてぎゅっと抱きついてきたのは、
そう。レイラだった。
私のことをリーゼって言うんだよなぁ。)
そんなことを思い出しながら私は空に浮かべた水球のコントロールを続ける。
しばらくして、
『じゃあこれから、少し穴を開けて魚だけを外に出しまーす!』
私はそう言って頭の中で術式を再構築し、展開した。
水球から流れ出る水に乗って、魚たちが元の場所に戻っていく。
水瓶から少しずつ零していくように。
イメージするのは水の虹。
「おぉー!」
称賛とも驚嘆ともとれるみんなの声。
空には、全体的に水量が減った(それでもまだ直径10mほどはある)水球がふよふよ浮いている。
(ふふふん。私にかかればこのくらい自由自在よ!)
心の中で少し得意気になってみたそのとき。
⸺ぐらっ。
何かが崩れた気がした。
『えっ…??』
思わず声が漏れたのと同時に、空に浮かぶ水球が弾けた。
バシャーーーーン!!!!
「きゃーーーーーーーーーー!」
「何するのアンーーーー!!」
「びしょびしょだよぉ。。」
『ごめんね~ちょっとしたイタズラ!でも暑かったしちょうどいいでしょ?』
(違う、私はちゃんと魔法自体は制御できていた…)
『ほら、風と火の魔法うまく組み合わせればドライヤーみたいになるじゃない?』
私は平静を装って、ウインクしながらそう言った。
「そんなのできるのアンか先生だけ!」
「もう許さないかんね!!」
『ごめんってば~』
(何かが私の術式を崩した?)
(魔力がいきなり溢れたような気が
…安定しないなんてことなかったのに。)
これが学園でのお話。
その後は、キャッキャ言って笑っていたし楽しかったから、みんなからすると私のイタズラということで終わったハプニング。
違和感があったのは私だけ。
『んー考えても仕方ないかぁ~』
『でも明日、おばあちゃんに相談してみよっと』
そう言って、窓の外の美しい風景を眺める。
私は眠りについた⸺
深い夢の中へと沈んでいく。
私は誰かに語りかけられた。顔はよく見えない。
その人はこの辺りではあまり見ないような不思議な衣装を纏い、幻想的な光を放っていた。
(よく見えないけど、綺麗な声…若い女の人…?)
「……あなたには、*****の力が宿っているの。」
私は問いかける。
『えっ、、いま何て?」
「*****」
(だめだ、聞き取れない。)
「これからあなたにとって、きっと・・て・・・いことが・・・ます。」
「でも心配し・・で、私はい・・・も、あ・・・・とを・・・ってる。」
彼女の唇から出る言葉は、だんだんと霞み始めていく。
『待って!何言ってるのかよく聞こえない、ちゃんと教えて!!』
彼女は私に一歩近づいて、私の頬を優しく撫でた。
微笑みかけていた…気がした。
「だい・・ぶ・・・・・でね。・・ゼ。」
(⸺えっ)
彼女は消え、辺りは真っ暗な闇に包まれた。
暗闇の中、遠くにかすかな光が見える。
私は仰向けに寝ている。
いや、寝ているのか起きているのか、よく分からない。重力も感じない。
いつの間にか声も出なくなっていた。
(なにこれ、怖い怖いこわい…)
藁にもすがる思いで私はその光に向けて手を伸ばした。
(お願い、届いて…誰か、たすけて…)
光が少しずつ大きくなっていく。
「....!!.......!!!....ア!」
(遠くで誰かの声が聞こえる。この声は?)
「ティア!!起きて!!!!」
私は、目を開けた。ぱちぱちっとまばたきを2回。
(そっか…夢だったんだ)
私が起きたと分かったとたん、彼女は話し出す。
「ほんとよかった…」
「ティアもやられちゃったんじゃないかって。」
(何のこと??)
私はまだ頭が働いてないせいか、声が出ない。
そう聞きたかった。
彼女は話し続ける。
「大変なのよ、いきなり魔物が押し寄せてきて、村を…」
そこまで話して、言葉に詰まる。
美しいブルーの瞳に大粒の涙を浮かべてぎゅっと抱きついてきたのは、
そう。レイラだった。
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