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星を抱く剣 夕島 流星 視点
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右手のひらが、また破れた。
けれど、それを気にしている余裕なんてない。
木刀を握り直し、足を踏み出す。踏み込み、斬り下ろす。
その繰り返しだ。何度も、何百回も。
「五芒星を描けば刀は出せる。でも、それだけじゃ“ただの依存”だ」
そう、屋敷の主に言われた。
初めは少し反発した。
俺たちは、月星刀に呼ばれて目覚めたはずだ。
それなのに「それはまだ本当の力じゃない」と断言されるのは、プライドに触れた。
けれど、木刀を振り続ける中で、俺はそれを少しずつ理解し始めていた。
あの戦い――七夕の夜、空が割れ、異形があふれてきたあの夜。
あのとき、確かに体は勝手に動いた。
刀の構えも、空を駆ける歩法も、まるで自分じゃない何者かに動かされていた。
それじゃダメなんだ。
“戦える”ことと、“戦い抜ける”ことは、まったく別だ。
次の戦いは、もう「予期せぬ一度きり」では済まされない。
確実に来る。そして、より深く、より強くなる。
だから、俺は鍛える。刀を、自分を。
ふと、横に視線を向ける。
そこには姫奈がいた。
彼女は黙々と木刀を振っていた。
制服から稽古着に着替えて、額に汗を浮かべている。
その小さな手も血で汚れ、赤く腫れているのが見える。
でも、止めようとしない。
彼女の中にも、俺と同じものがあると感じた。
世界を守りたい――その大きな使命。
そして何よりも、隣にいる“たった一人”を守りたいという想い。
俺はそれを見ているから、負けられない。
彼女が立ち止まりそうなとき、俺が支えになる。
俺が迷いそうなときは、きっと彼女が導いてくれる。
それが、俺たち二人の形だ。
まだ9月。次の七夕まで、時間はある。
だが、1日だって無駄にしたくない。
異形の牙が再び迫るそのときに、俺たちは“記憶”じゃなく、“今の自分”で立ち向かうために。
だから今日も刀を振る。
この手が砕けても、明日はまた新しい自分になって立ち上がる。
あの日の夜空に誓った――
「姫奈を守る」
それが、俺が戦う理由だ。
けれど、それを気にしている余裕なんてない。
木刀を握り直し、足を踏み出す。踏み込み、斬り下ろす。
その繰り返しだ。何度も、何百回も。
「五芒星を描けば刀は出せる。でも、それだけじゃ“ただの依存”だ」
そう、屋敷の主に言われた。
初めは少し反発した。
俺たちは、月星刀に呼ばれて目覚めたはずだ。
それなのに「それはまだ本当の力じゃない」と断言されるのは、プライドに触れた。
けれど、木刀を振り続ける中で、俺はそれを少しずつ理解し始めていた。
あの戦い――七夕の夜、空が割れ、異形があふれてきたあの夜。
あのとき、確かに体は勝手に動いた。
刀の構えも、空を駆ける歩法も、まるで自分じゃない何者かに動かされていた。
それじゃダメなんだ。
“戦える”ことと、“戦い抜ける”ことは、まったく別だ。
次の戦いは、もう「予期せぬ一度きり」では済まされない。
確実に来る。そして、より深く、より強くなる。
だから、俺は鍛える。刀を、自分を。
ふと、横に視線を向ける。
そこには姫奈がいた。
彼女は黙々と木刀を振っていた。
制服から稽古着に着替えて、額に汗を浮かべている。
その小さな手も血で汚れ、赤く腫れているのが見える。
でも、止めようとしない。
彼女の中にも、俺と同じものがあると感じた。
世界を守りたい――その大きな使命。
そして何よりも、隣にいる“たった一人”を守りたいという想い。
俺はそれを見ているから、負けられない。
彼女が立ち止まりそうなとき、俺が支えになる。
俺が迷いそうなときは、きっと彼女が導いてくれる。
それが、俺たち二人の形だ。
まだ9月。次の七夕まで、時間はある。
だが、1日だって無駄にしたくない。
異形の牙が再び迫るそのときに、俺たちは“記憶”じゃなく、“今の自分”で立ち向かうために。
だから今日も刀を振る。
この手が砕けても、明日はまた新しい自分になって立ち上がる。
あの日の夜空に誓った――
「姫奈を守る」
それが、俺が戦う理由だ。
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