102 / 164
102 チキン
しおりを挟む
「まだ何かあるのか?」
「あるぞ! メインがな。いい感じに全部並べて撮らなきゃだろ!」
さっそく朝霧カメラをオンにし、いい感じに並べつつ主役を登場させようとして、紙袋に気が付いた。
「そうだ! 上司からのプレゼントは写しておかなきゃだろ! つうかさっきの着るべきじゃね?!」
宮城さんのプレゼント、ルームウェアらしい。朝霧の夜投稿で、そこが気になってたのだとか。確かに……普通のスウェットじゃあな。
「お前にもあるぞ」
「え、俺にもくれたの? 俺映らねえのに」
宮城さんも七瀬さんも、俺らはセットだと思っているよう。
朝霧と一緒に開けた中身は、確かにメンズのシンプルなルームウェア。良かった、俺だけクマさんとかだったらどうしようかと思った。
「……けど、お揃いにする必要はないんじゃね? S氏と朝霧のお揃いって誰得……? まあいいや、とりあえず、着替えろ!」
「ああ」
あ、と思う間もなく、朝霧が脱いだ。
それはそれは豪快に、がばっと上裸になった。
惜しげもなく晒される裸体は、多分バッチリ映ってる。
えーと、これ、お宝映像じゃね?
「あ、待て朝霧、ズボンはそこで脱ぐな! カメラ!」
ああ、と移動して着替えた朝霧が、俺を見る。
「ナオは?」
「俺はいいと思うけど……分かった、着替えるから!」
『俺は着替えたのに?』という圧をすごく感じる。慌ててキッチンの方まで行って、こそこそ着替える。朝霧席以外映ってないのは知ってるけど、なんとなく……あの肉体美の横で着替える気になれないだろ。
「おー、これ、すげえ着心地良いな! 手触りいい!」
「俺のと同じか?」
同じ……はずだけど、なんかお前が着てるのと俺が着ているのは印象が違う気がする。中身が違うとこんなに差があるのか。
「ナオ」
「何……うわっ?!」
思いっきり腕を引かれて、身体が浮いた。
がっちり受け止められた場所は、完全にカメラの画角内。
「お前も映れ」
「ば、馬鹿! なんでだよ?! カットするからな?!」
「いいぞ、俺が見る。……手触りいいな」
そうだろ、そうだろ、けどお前忘れてるかもしれねえけど、お前も同じの着てるからな?! 俺を撫でるな、自分のを撫でろ!
「いいから離せ、メインを運ぶから!」
すぐさま朝霧の腕を逃れ、少し呼吸を整えた。
いちいち、振り回される俺の身にもなってほしい。
「……よし、朝霧どいてろ! 熱いの行くぞ」
両手にミトンをはめて、いざ、オーブンの扉を開ける。
もわりと熱い空気に目を細め、いい焼き色に口角を上げた。
ふふふ、朝霧くんを驚かせるとっておきだ。
「?!」
ちら、と見た朝霧が、思った通りの顔をしていてニマニマが止まらない。
そうだろそうだろ、お前は食ったことないと思った。
「すげえ……それ、アニメで見た」
「お前、アニメとか見るの?」
「小さい時は」
それは見ねえって言うんだよ!
朝霧の目をくぎ付けにしているコレを、空けておいたこたつテーブルの上へそっと鎮座させる。
多分アニメで見たのは七面鳥だろうけどな、日本じゃあコレでいいだろ!
「どうだよ、いかにもって感じだろ?」
「すげえ」
ますます語彙の減っている朝霧が、キラキラした目で見つめている。
何のことはない、丸鶏のローストだ。朝霧向けに言うなら鶏の丸焼き、の方がいいかな。
特に難しい工程もない料理だけど、そもそもこういう時にしかスーパーにも登場しないから、珍しいだろ。
「初めて見た」
「そっか! なんかこいつがあるだけで、パーティらしくなるよな!」
「なる」
あんまりわくわくした目をしているもんだから、つい吹き出して満足感に浸った。こんな顔されたら、なんでも作ろうって気になるわ。
「まだ食うなよ? 写真撮るぞ! あ、サンタ帽!」
慌てて朝霧にサンタ帽を被せ、いい感じの角度に調節する。なんか、ペラい帽子じゃなくて、割と本格的な雰囲気の良さげな帽子だ。さすが、七瀬さん……よし、待ち受けにできそうな顔で撮ってやろう。
「よし、朝霧なんかいい顔しろ! 今からいっぱい撮るぞ!」
「いい顔ってなんだ」
うーん、そわそわしたほんのり幼い顔もなかなかだけど、笑った顔がいいな。
スマホを構えて、会話を振ってみる。
「朝霧、まずどれ食いたい?」
「これ」
「美味そう? 初めて見た?」
「ああ」
あ、笑った。
「どうよ、クリスマスディナー、楽しい?」
「楽しい」
「まあ、まだイヴなんだけどな」
……これ以上は、俺の心臓がもたないかも。
屈託なく笑う朝霧が、素直に俺に笑みを、視線を返してくる。
楽しそう、だな。
「ナオ、これで撮るぞ」
「ああ、お前のスマホでも――」
しまった。
また、引っかかった。
朝霧のスマホで撮ってやろうと伸ばした手が、ひょいと避けられて。
ぐっと片腕で抱き寄せられて。
カシャカシャ響く連続音。
「…………」
「もう、今さらだろう」
無言で睨み上げると、しれっとそう言って解放された。
何が、今さらだ!
まだ、まだそんなに傷は深くないはずだ……!!
「ナオ、早く食いたい」
「うるせー!」
俺はブツブツ言いながら、撮影用に整えたテーブルを食う用に並べ直し、朝霧の向かいに座ったのだった。
「あるぞ! メインがな。いい感じに全部並べて撮らなきゃだろ!」
さっそく朝霧カメラをオンにし、いい感じに並べつつ主役を登場させようとして、紙袋に気が付いた。
「そうだ! 上司からのプレゼントは写しておかなきゃだろ! つうかさっきの着るべきじゃね?!」
宮城さんのプレゼント、ルームウェアらしい。朝霧の夜投稿で、そこが気になってたのだとか。確かに……普通のスウェットじゃあな。
「お前にもあるぞ」
「え、俺にもくれたの? 俺映らねえのに」
宮城さんも七瀬さんも、俺らはセットだと思っているよう。
朝霧と一緒に開けた中身は、確かにメンズのシンプルなルームウェア。良かった、俺だけクマさんとかだったらどうしようかと思った。
「……けど、お揃いにする必要はないんじゃね? S氏と朝霧のお揃いって誰得……? まあいいや、とりあえず、着替えろ!」
「ああ」
あ、と思う間もなく、朝霧が脱いだ。
それはそれは豪快に、がばっと上裸になった。
惜しげもなく晒される裸体は、多分バッチリ映ってる。
えーと、これ、お宝映像じゃね?
「あ、待て朝霧、ズボンはそこで脱ぐな! カメラ!」
ああ、と移動して着替えた朝霧が、俺を見る。
「ナオは?」
「俺はいいと思うけど……分かった、着替えるから!」
『俺は着替えたのに?』という圧をすごく感じる。慌ててキッチンの方まで行って、こそこそ着替える。朝霧席以外映ってないのは知ってるけど、なんとなく……あの肉体美の横で着替える気になれないだろ。
「おー、これ、すげえ着心地良いな! 手触りいい!」
「俺のと同じか?」
同じ……はずだけど、なんかお前が着てるのと俺が着ているのは印象が違う気がする。中身が違うとこんなに差があるのか。
「ナオ」
「何……うわっ?!」
思いっきり腕を引かれて、身体が浮いた。
がっちり受け止められた場所は、完全にカメラの画角内。
「お前も映れ」
「ば、馬鹿! なんでだよ?! カットするからな?!」
「いいぞ、俺が見る。……手触りいいな」
そうだろ、そうだろ、けどお前忘れてるかもしれねえけど、お前も同じの着てるからな?! 俺を撫でるな、自分のを撫でろ!
「いいから離せ、メインを運ぶから!」
すぐさま朝霧の腕を逃れ、少し呼吸を整えた。
いちいち、振り回される俺の身にもなってほしい。
「……よし、朝霧どいてろ! 熱いの行くぞ」
両手にミトンをはめて、いざ、オーブンの扉を開ける。
もわりと熱い空気に目を細め、いい焼き色に口角を上げた。
ふふふ、朝霧くんを驚かせるとっておきだ。
「?!」
ちら、と見た朝霧が、思った通りの顔をしていてニマニマが止まらない。
そうだろそうだろ、お前は食ったことないと思った。
「すげえ……それ、アニメで見た」
「お前、アニメとか見るの?」
「小さい時は」
それは見ねえって言うんだよ!
朝霧の目をくぎ付けにしているコレを、空けておいたこたつテーブルの上へそっと鎮座させる。
多分アニメで見たのは七面鳥だろうけどな、日本じゃあコレでいいだろ!
「どうだよ、いかにもって感じだろ?」
「すげえ」
ますます語彙の減っている朝霧が、キラキラした目で見つめている。
何のことはない、丸鶏のローストだ。朝霧向けに言うなら鶏の丸焼き、の方がいいかな。
特に難しい工程もない料理だけど、そもそもこういう時にしかスーパーにも登場しないから、珍しいだろ。
「初めて見た」
「そっか! なんかこいつがあるだけで、パーティらしくなるよな!」
「なる」
あんまりわくわくした目をしているもんだから、つい吹き出して満足感に浸った。こんな顔されたら、なんでも作ろうって気になるわ。
「まだ食うなよ? 写真撮るぞ! あ、サンタ帽!」
慌てて朝霧にサンタ帽を被せ、いい感じの角度に調節する。なんか、ペラい帽子じゃなくて、割と本格的な雰囲気の良さげな帽子だ。さすが、七瀬さん……よし、待ち受けにできそうな顔で撮ってやろう。
「よし、朝霧なんかいい顔しろ! 今からいっぱい撮るぞ!」
「いい顔ってなんだ」
うーん、そわそわしたほんのり幼い顔もなかなかだけど、笑った顔がいいな。
スマホを構えて、会話を振ってみる。
「朝霧、まずどれ食いたい?」
「これ」
「美味そう? 初めて見た?」
「ああ」
あ、笑った。
「どうよ、クリスマスディナー、楽しい?」
「楽しい」
「まあ、まだイヴなんだけどな」
……これ以上は、俺の心臓がもたないかも。
屈託なく笑う朝霧が、素直に俺に笑みを、視線を返してくる。
楽しそう、だな。
「ナオ、これで撮るぞ」
「ああ、お前のスマホでも――」
しまった。
また、引っかかった。
朝霧のスマホで撮ってやろうと伸ばした手が、ひょいと避けられて。
ぐっと片腕で抱き寄せられて。
カシャカシャ響く連続音。
「…………」
「もう、今さらだろう」
無言で睨み上げると、しれっとそう言って解放された。
何が、今さらだ!
まだ、まだそんなに傷は深くないはずだ……!!
「ナオ、早く食いたい」
「うるせー!」
俺はブツブツ言いながら、撮影用に整えたテーブルを食う用に並べ直し、朝霧の向かいに座ったのだった。
58
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる