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【ルシャ視点】平和な時間

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「でも沼の中が安全かは保証がないよ。汚れるし、今日は様子を見て入るのは次回にした方がいい」

「だいじょーぶ! 沼があるってのは聞いてたから、ちゃんと策は考えてあるよ! でもそれは見てのお楽しみって事で」

「分かった……でも、くれぐれも無理はしないでくれよ?」

本当に心配そうな顔で言うレオニーに、僕の頬も無条件で緩む。

いっつも最後には「錬金術とはすごいんだな!」って目をまんまるにして驚く事になるのに、何度それを体験しても、こんな風に毎回僕を心配してくれる。

それはなんだか、あったかくってくすぐったい気持ちになる時間だった。

「大丈夫だよ。あっ、レオニー! そこの枝からぶら下がってる豆のサヤみたいなの、ツルごと採ってくれない?」

「長さはこれくらいでいい?」

「うん、バッチリ! コツが掴めてきたんじゃない?」

「さすがに分かってきたよ。私の無駄に高い身長もこんな時には役に立つな」

「無駄じゃないさ。僕、背が高いところも好きだよ。凛々しいし、レオニーらしくてさ」

「ははは、そんな事初めて言われたよ」

沼への道を歩きながら、レオニーとふたりこんな平和な時間を過ごせるのが単純に楽しい。レオニーもいつも笑ってるし、魔物が出たら颯爽と剣の錆にしてくれる。

僕だって戦えないわけじゃ無いけど、魔物はレオニーが確実に倒してくれるから、もっぱら回復だとかの補助に徹するようにしてる。何事も、お互いに助け合えるってのが重要だと思うんだよね。

「レオニー、沼についたらさ、採取の前にとりあえずお昼ご飯にしない?」

「そうだな。確かにちょっと小腹が空いたかも知れない」

道すがら乾いていそうな小枝を二人で拾いながら歩いていたら、あっという間に沼に着いた。

「おー、結構でっかい沼だね! 深そうだし植物もいっぱい生えてる!」

「水深は5mほどはある筈だが、いたるところに植物が繁茂しているし、泳げるのは私の身長ほどの深さまでで、森の中の沼だから土や枯葉が多量に埋積されていて、底なし沼のようになっていると聞くが」

「最高……! 絶対に質のいい泥が採取できる」

「ふふ、こんな沼を見て目を輝かせるのなんてルシャくらいだよ」

笑われちゃったけど、本当に嬉しいんだからしょうがない。これは腕がなるなぁ。

「早くご飯食べよ。今日はね、ポットパイを作ってきたんだ」

「ポットパイ……そんな物まで錬金で作れるのか!?」

「うん。中身はカボチャのシチューだよ」

言いつつ、僕はマジックバッグの中からアツアツのポットパイとこれまたホカホカの塩パンを取り出した。
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