あたし、スライム。初めての恋をしました

真弓りの

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厳しい戦い

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狭い通路を抜けたアルマさんは、後ろの人達を通すためかすぐに傍に移動した。

ゴブリン達の群れに突っ込んでいく他の人達を尻目に、壁際を背にじわりじわりと先に進んでいく。

……そうだよね、ここのゴブリン達は本当にゴブリンかと疑うほど大きくて、そのせいか武器や防具もしっくりと馴染んで桁違いに強い。

これまで体のど真ん中を水鉄砲で撃ち抜いてゴブリンを倒してきたアルマさんだけど、そのポイントは防具でしっかりと覆われている。

どうしよう、アルマさん。 これって結構マズくない?

あたしもどこを狙ったらいいのか分からなくて、思わずアルマさんを見上げたら……アルマさんはジリジリと動きながらもでっかいゴブリンを油断なく見つめている。

あ、この目。

あたしの強さを見る、って言ってくれた時みたい。

なんだか核の中まで見透かされるみたいな、あの不思議な瞳よ。


「なんてこった、ゴブリンなんて強さじゃない。弱点になる属性も見当たらないし……ゴブリンウォーリアってなんだよ、それ」


強さとかを見分けられるっぽいアルマさんの魔法?でも、どうやらびっくりするような結果が出たみたい。

ただ強くて、弱点がない戦いにくい相手。

あたし達の住んでる草原のすぐ近くに、そんな敵が潜んでいたなんて。

あまりに思いがけない事態に戦慄するあたしの前で、さらに信じられない場面が繰り広げられた。


「! トマ!」


うそ、あの剣士が押し負けるなんて。

かろうじて致命傷は避けたものの、肩にざっくりと剣がめり込んでる。

どうしよう、どうしよう、血がドバドバ出るの。

ゴブリンウォーリアの剣が高く振り上げられる。苦しげにそれを見上げる剣士は、大剣を体の前にかざすけど、腕に力が入ってないのがここから見たって分かるのに。


「……トマ!」

「グアアッ!?」


アルマさんが放った水鉄砲が、正確にゴブリンウォーリアの右目を射抜いた。

目を押さえて仰け反るゴブリンウォーリアの隙をついて、剣士がヨロヨロと距離をとる。そしてあたしの上からは性急な詠唱が聞こえてきた。

こんな時に、どうしてそんな複雑な詠唱してるの、アルマさん!?



仰け反っていたゴブリンウォーリアが激しく喚きながら無茶苦茶に剣を振り回す。

そして、フッ……とその剣が止まった瞬間、あのゴブリンウォーリアが物凄い殺気でアルマさんに視線をロックした。


アルマさん、あいつ……アルマさんを見てる。

詠唱なんかしてる場合じゃないよ、逃げて!

お願い、逃げて!


ああ、どうして言葉が通じないの……!


剣を振り上げて、ヤツが凄い勢いでこちらに走り寄る。

ねえアルマさん、あいつを倒す魔法なら、お願い早く! 間に合わなくなっちゃうよ……!

そう広くない空間、見る間にヤツが迫って来た。それと同時にアルマさんの体に巨大な魔力が湧き上がる。


間に合って!!


「ウォーターヒール!」


巨大な魔力はゴブリンウォーリアを掠めもせず、まっすぐに剣士に直撃した。

う、う、う、嘘でしょう……!?
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