あたし、スライム。初めての恋をしました

真弓りの

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思わぬ襲撃

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カラカラに乾いた時の土よりも荒い粒子。

でも。

あの『海』の間際の方の『砂浜』は色が変わってて、水を含んでいるように見える。あたしは恐る恐る、『海』に近づいた。

すごい。

うねって、近づいて来るの。

たくさんの水が泡を立てて、近づいては去っていく。

アルマさんの鼓動と同じみたいに、一定の間隔で動いてる『海』は、なんだかとっても大きな生き物みたい。

あんまり近づいたら襲い掛かってこられそう。

でも、ちょっとだけ触ってみたい気もするなあ。だってアルマさん、『海』はあたしの体の水と同じようなものだって言ったもの。

じわりじわりと『海』ににじり寄ったその時だった。


「トップ!」


珍しい、コーチの焦った声に、あたしは驚いて飛び上がる。

あたりを見回せば、空に小さな影が。

まさか……あれ。

見慣れない鳥が、まんまるい若草色をくちばしにくわえて飛び去ろうとしている。


「トップが!」

「大変!」


ひと声叫んだリーナさんが、驚くべき速さでナイフを投げた。そのナイフは正確に鳥の翼に突き刺さる。

「ギャウっ」とひと声上げて墜落していく鳥のくちばしから、まあるい若草色が零れ落ちて、あたしは心底ほっとした。

良かった。連れ去られなくって。


「トップ!」


落ちてくるトップ君を受け止めようと、コーチが砂浜をダッシュする。でも、その足はあっという間に『海』に阻まれてしまった。

『海』がうねって、なんでかコーチを邪魔するの。このままじゃトップ君が海に落ちちゃう。こんなに大量の水、コーチですら自由に動けないのに……トップ君が落ちたらきっとただじゃすまない。

どうしたら……!


「スラ!」


呼ばれたかと思ったら、体をわしづかみにされて持ち上げられていた。

ど、ど、ど、どうしたの、ジョットさん。


「パンチの要領でうんと伸びて! トップを捕まえる……!」


そう叫ばれて、いきなりブンまわされたあたしは、それでも瞬時に理解した。

そうか……! 今トップ君のところまで手が届く可能性があるのなんて、あたしだけなんだって。

ガーゴイルと戦った時みたいに、うんとうんとパンチをのばせば、海に落ちちゃう前にトップ君を捕まえられるかもしれない。

もう体がちぎれちゃったっていい。

最大限、体を伸ばせるだけ伸ばすんだ!


「スラちゃん頑張って!」

「もうちょっと!」


誰のものかも分からない声援が、あたしを後押しする。


「スラちゃんならできる!」


アルマさん……! あたし、頑張る!




もう少し……届く……トップ君!!!!!




小さな若草色に手が届いた瞬間は、安堵と喜びでもうわけがわからなくなりそうだった。プルプル震えるトップ君の小さな体を抱きしめて、伸びた体を反動で一気に縮めていく。

そんなあたしの目の前で、『海』から在り得ないほどデッカイ魔物が飛び出して来た。
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