33 / 47
第五章 さらにその後の子どもたち
北の大地にて⑷
しおりを挟む
「は、はじめまして。私、T文さんとお付き合いさせていただいているF実と申します。」
F実が緊張した様子で挨拶すると、やや細身で長身の女性はニコニコしながら、「はじめまして、T文の姉のX佳です。」と言った。隣にいる小柄な女性も挨拶した。
「私、X佳のパートナーのY香です。T坊から聞いてると思うけど。」
那覇空港は時期柄、観光客でごった返していた。もちろん、札幌のホテルもかきいれ時だったが、こんな時期に入社一年目のF実がお盆に休みを取れたのは奇跡のようなものである。
「T坊、彼女できたって言うから、どんな変なの連れてくるかと思ったら、可愛い子じゃない。」
Y香がニヤニヤしながら言った。
「何で俺が変な女に引っかかる設定なの!」
T文が軽く反発すると、Y香はこう言った。
「だってあんた、こっちでは勉強ばっかしてたじゃない? 悪い女に騙されないか、私、心配だったのよ。」
X佳も同意した。
「札幌で痛い目にあってないといいねーって、Y香といつも話してた。」
「姉ちゃんまで、酷い!」
F実はまるで笑えなかった。何となく、X佳やY香に牽制されているような気がしたからだ。
「ま、とりあえずお昼ご飯食べよっか? うちの店でいいよね。」
四人は空港を出ると、札幌から来た二人の荷物をタクシーのトランクに詰めて乗り込み、X佳とY香が共同経営するレストランの一つ、「high-tie本店」に向かった。
四人が店に入ると、従業員が「社長、お疲れ様です!」と挨拶した。奥の個室に通されたのでF実がT文の横に着席すると、X佳がメニューをF実に渡した。
「何が食べたいかな?」
F実はメニューに目を通すと、「ソーキそばがいいです。」と言った。
「あらあら、若いのに。他も頼むよね?」
Y香がF実に声をかけた。
「いや、実は私、緊張してあまり食べられないんです……。」
Y香は笑った。
「おばちゃん二人がいるだけで何緊張してんのよ!」
「いえいえ、T文さんの育ての親御さんですから。」
T文は言った。
「Fちゃん、姉ちゃんたち、怖い人じゃないから安心して。まあ、Y香姉ちゃんには昔家追い出されちゃったけど。」
「T坊、余計なこと言わないで! あれはあんたが出て行ったんでしょうが。」
X佳が心配そうに言った。
「F実ちゃん、食べられないなら無理しなくていいけど、ほんとに私たちF実ちゃんには遠くから来てもらったからリラックスして欲しいのよ。」
F実はX佳の顔を見た。優しそうな中年女性で、たしかにこの人はT文の姉なのだと思った。しかし、Y香の方はきつい顔立ちをしているし、話し方にも少々ぶっきらぼうなところがある。
「じゃあ、ソーキそばとグルクンの唐揚げで。」
F実がそう言うと、他の三人はめいめい適当に注文をした。メニューを聞きに来た店員は、「かしこまりました!」と深くお辞儀をして去って行った。
「これ食べたら、お盆だからF実ちゃんにも例の儀式に付き合ってもらうね。お昼だから暑いけど。」
X佳の言葉に、F実は不安になって尋ねた。
「例の儀式って何ですか?」
「T坊のパパママが海に散骨されてるから献花に行くの。F実ちゃんをパパママにも紹介しないとね。」
Y香は代わりに答えた。
「まあ墓参りみたいなものよ。」
「場所はどこですか?」
「近くのマリーナから船を出して1時間くらい行ったところ。F実ちゃんは船酔いしない人?」
「多分大丈夫だと思います。」
F実は生まれてから、一度しか船に乗ったことがなかった。それも、専門学校のときに友達と大沼の遊覧船に乗った程度である。
「結構揺れるからね。」
食事の後、四人はタクシーでマリーナへ行き、そこから会社名義のクルーザーで沖に出発した。出発して15分くらいして、F実は呟いた。
「気持ち悪いかも……」
クルーザーは大沼の遊覧船とは比較にならないほど揺れた。海は波があるし、船も小さいので当たり前のことなのだが、F実には想像できなかったのだ。
「Fちゃん、船の揺れに体を任せたほうがいいよ。力は入れないほうがいい。」
T文がアドバイスした。しかし、F実の吐き気はそんな基本的なスキルでどうにかなる段階を超えていた。
「我慢しないで吐いて。」
異変に気がついたY香がF実に近づいて腕を掴むと、海側に向かせた。
「T坊はよそを向いてなさい!」
F実は盛大にさっき食べたソーキそばと唐揚げをリバースした。青い海に吐瀉物が溶け込んでいく。
「すみません……。」
「大丈夫、魚のエサになるよ。」
Y香は笑って船にある横長の腰掛けを指さした。
「そこに横になっておいたら?」
「吐いたら大丈夫です、多分。」
F実はそうは言ったものの、船は揺れ続けるので気分が悪かった。吐き気が襲うが、もう吐くものはない。
「Fちゃん、横になってろって。無理するな。」
T文はF実の背中をさすった。
「X佳、もうこの辺でいいや、船止めて。だいぶF実ちゃんが具合悪そうなの。」
船は止まった。まだ目的地の手前半分くらいのところだが、ここで献花と献酒をすることになった。
まだ横になっているF実以外の三人が、それぞれカゴに入った花(茎は取り除いてある)を海に撒いた。そして、X佳が一升瓶に入った日本酒を取り出して、開栓して逆さにした。
「お父さん、T文が彼女連れて来たよ。」
T文が言った。
「お父さん、お母さん、おかげさまで俺にも彼女ができました。見守ってくれてありがとうございます。」
「T坊、いつものパパママありがとう、じゃなくて?」
Y香が茶化したが、T文は無視した。
「お父さんとお母さん、できればFちゃんの船酔いを治して欲しいんだけど、無理でしょうか。」
「船に慣れてないんだからしょうがないよ。」
X佳が真面目に言った。Y香も海に向かって話しかけた。
「この歳になると体中ガタが来てます。ちょっとでもマシになりますように!」
X佳はそれに呼応するように言った。
「私とY香、T文とF実ちゃんが、永く一緒にいられますように!」
Y香は横たわるF実に向かって声をかけた。
「ちょっとだけでいいから、T坊のパパママに挨拶できるかな?」
F実はよろよろと起き上がると、海に向かって言った。
「はじめまして、不束者ですがよろしくお願いします。」
Y香はニッコリした。
「パパママが、『よろしくー』って言ってるね。よし、帰ろうか。」
F実は船の帰りも、タクシーからX佳たちのマンションへ行く途中もぐったりしていたので、マンションに着くとソファに寝かされていた。しかし、そのおかげで緊張の糸がぷっつり切れて、しばらく熟睡した。
「ご飯だよ!」
そのY香の声を聞いて時計を見ると夜の七時になっていた。
「すみません、初めてのお宅でこんなに寝てしまって。」
「元気になったみたいで良かったよ。ご飯、食べられる?」
Y香の問いにF実は答えた。
「ごちそうになります!」
昼食をリバースしてしまったF実の胃袋は空だった。食卓にはゴーヤチャンプルーや豚の角煮が並んで、美味しそうな匂いがしていた。
F実が緊張した様子で挨拶すると、やや細身で長身の女性はニコニコしながら、「はじめまして、T文の姉のX佳です。」と言った。隣にいる小柄な女性も挨拶した。
「私、X佳のパートナーのY香です。T坊から聞いてると思うけど。」
那覇空港は時期柄、観光客でごった返していた。もちろん、札幌のホテルもかきいれ時だったが、こんな時期に入社一年目のF実がお盆に休みを取れたのは奇跡のようなものである。
「T坊、彼女できたって言うから、どんな変なの連れてくるかと思ったら、可愛い子じゃない。」
Y香がニヤニヤしながら言った。
「何で俺が変な女に引っかかる設定なの!」
T文が軽く反発すると、Y香はこう言った。
「だってあんた、こっちでは勉強ばっかしてたじゃない? 悪い女に騙されないか、私、心配だったのよ。」
X佳も同意した。
「札幌で痛い目にあってないといいねーって、Y香といつも話してた。」
「姉ちゃんまで、酷い!」
F実はまるで笑えなかった。何となく、X佳やY香に牽制されているような気がしたからだ。
「ま、とりあえずお昼ご飯食べよっか? うちの店でいいよね。」
四人は空港を出ると、札幌から来た二人の荷物をタクシーのトランクに詰めて乗り込み、X佳とY香が共同経営するレストランの一つ、「high-tie本店」に向かった。
四人が店に入ると、従業員が「社長、お疲れ様です!」と挨拶した。奥の個室に通されたのでF実がT文の横に着席すると、X佳がメニューをF実に渡した。
「何が食べたいかな?」
F実はメニューに目を通すと、「ソーキそばがいいです。」と言った。
「あらあら、若いのに。他も頼むよね?」
Y香がF実に声をかけた。
「いや、実は私、緊張してあまり食べられないんです……。」
Y香は笑った。
「おばちゃん二人がいるだけで何緊張してんのよ!」
「いえいえ、T文さんの育ての親御さんですから。」
T文は言った。
「Fちゃん、姉ちゃんたち、怖い人じゃないから安心して。まあ、Y香姉ちゃんには昔家追い出されちゃったけど。」
「T坊、余計なこと言わないで! あれはあんたが出て行ったんでしょうが。」
X佳が心配そうに言った。
「F実ちゃん、食べられないなら無理しなくていいけど、ほんとに私たちF実ちゃんには遠くから来てもらったからリラックスして欲しいのよ。」
F実はX佳の顔を見た。優しそうな中年女性で、たしかにこの人はT文の姉なのだと思った。しかし、Y香の方はきつい顔立ちをしているし、話し方にも少々ぶっきらぼうなところがある。
「じゃあ、ソーキそばとグルクンの唐揚げで。」
F実がそう言うと、他の三人はめいめい適当に注文をした。メニューを聞きに来た店員は、「かしこまりました!」と深くお辞儀をして去って行った。
「これ食べたら、お盆だからF実ちゃんにも例の儀式に付き合ってもらうね。お昼だから暑いけど。」
X佳の言葉に、F実は不安になって尋ねた。
「例の儀式って何ですか?」
「T坊のパパママが海に散骨されてるから献花に行くの。F実ちゃんをパパママにも紹介しないとね。」
Y香は代わりに答えた。
「まあ墓参りみたいなものよ。」
「場所はどこですか?」
「近くのマリーナから船を出して1時間くらい行ったところ。F実ちゃんは船酔いしない人?」
「多分大丈夫だと思います。」
F実は生まれてから、一度しか船に乗ったことがなかった。それも、専門学校のときに友達と大沼の遊覧船に乗った程度である。
「結構揺れるからね。」
食事の後、四人はタクシーでマリーナへ行き、そこから会社名義のクルーザーで沖に出発した。出発して15分くらいして、F実は呟いた。
「気持ち悪いかも……」
クルーザーは大沼の遊覧船とは比較にならないほど揺れた。海は波があるし、船も小さいので当たり前のことなのだが、F実には想像できなかったのだ。
「Fちゃん、船の揺れに体を任せたほうがいいよ。力は入れないほうがいい。」
T文がアドバイスした。しかし、F実の吐き気はそんな基本的なスキルでどうにかなる段階を超えていた。
「我慢しないで吐いて。」
異変に気がついたY香がF実に近づいて腕を掴むと、海側に向かせた。
「T坊はよそを向いてなさい!」
F実は盛大にさっき食べたソーキそばと唐揚げをリバースした。青い海に吐瀉物が溶け込んでいく。
「すみません……。」
「大丈夫、魚のエサになるよ。」
Y香は笑って船にある横長の腰掛けを指さした。
「そこに横になっておいたら?」
「吐いたら大丈夫です、多分。」
F実はそうは言ったものの、船は揺れ続けるので気分が悪かった。吐き気が襲うが、もう吐くものはない。
「Fちゃん、横になってろって。無理するな。」
T文はF実の背中をさすった。
「X佳、もうこの辺でいいや、船止めて。だいぶF実ちゃんが具合悪そうなの。」
船は止まった。まだ目的地の手前半分くらいのところだが、ここで献花と献酒をすることになった。
まだ横になっているF実以外の三人が、それぞれカゴに入った花(茎は取り除いてある)を海に撒いた。そして、X佳が一升瓶に入った日本酒を取り出して、開栓して逆さにした。
「お父さん、T文が彼女連れて来たよ。」
T文が言った。
「お父さん、お母さん、おかげさまで俺にも彼女ができました。見守ってくれてありがとうございます。」
「T坊、いつものパパママありがとう、じゃなくて?」
Y香が茶化したが、T文は無視した。
「お父さんとお母さん、できればFちゃんの船酔いを治して欲しいんだけど、無理でしょうか。」
「船に慣れてないんだからしょうがないよ。」
X佳が真面目に言った。Y香も海に向かって話しかけた。
「この歳になると体中ガタが来てます。ちょっとでもマシになりますように!」
X佳はそれに呼応するように言った。
「私とY香、T文とF実ちゃんが、永く一緒にいられますように!」
Y香は横たわるF実に向かって声をかけた。
「ちょっとだけでいいから、T坊のパパママに挨拶できるかな?」
F実はよろよろと起き上がると、海に向かって言った。
「はじめまして、不束者ですがよろしくお願いします。」
Y香はニッコリした。
「パパママが、『よろしくー』って言ってるね。よし、帰ろうか。」
F実は船の帰りも、タクシーからX佳たちのマンションへ行く途中もぐったりしていたので、マンションに着くとソファに寝かされていた。しかし、そのおかげで緊張の糸がぷっつり切れて、しばらく熟睡した。
「ご飯だよ!」
そのY香の声を聞いて時計を見ると夜の七時になっていた。
「すみません、初めてのお宅でこんなに寝てしまって。」
「元気になったみたいで良かったよ。ご飯、食べられる?」
Y香の問いにF実は答えた。
「ごちそうになります!」
昼食をリバースしてしまったF実の胃袋は空だった。食卓にはゴーヤチャンプルーや豚の角煮が並んで、美味しそうな匂いがしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる