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最終章 再生産
2363年⑵
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η子はバーテンダーに尋ねた。
「ママは今日はいないの?」
「今日は風邪で休んでます。」
バーテンダーはシェイカーを振りながら答えた。
「どうしたの、急に。」
P太は心配そうに尋ねた。
「恐れていたことが起きたのよ。彼女が同期の男と結婚したいんだってさ。考え直せって言ったら、もうお腹に赤ちゃんいるから、って。笑うしかないよね。」
η子は涙をためてうつむいていた。
「結局、男は女に取られるし、女は男に取られるし、何なんだろうね。」
P太は言った。
「彼女には、『性別だけが問題じゃない』って言われた。彼のほうが話が弾むし、何より将来性があるって。東大卒の出世頭らしい。」
η子は下唇を噛んでいる。
「もともと、彼女はバイセクシャルで、フラッと二丁目に来てたのを、私が必死で口説き落としたんだ。よく考えたら仕方がないことだよね。」
「仕方なくはないよ。仕事が忙しいって嘘つかれて待ちぼうけくらってたの、η子さんじゃん。」
P太は慰めた。
「ごめんなさいね、前にあなたのこと引き止めて説教したけど、説教できる身分じゃなかった。」
η子は今にも泣きだしそうだった。
「そんなことないよ! 僕はη子さんのおかげでこの店を知って、楽しく飲ませてもらってる。」
「ありがとう。ビアンバーにも行ったんだけどね、みんな『いつかそうなると思ってた』とか『バイと付き合うのが悪い』とか言ってくるの。『あんな綺麗な子と五年も付き合えただけラッキー』とか。私、もうしばらく行かない。」
「そんな女の嫉妬丸出しの店、行かなくていいよ。今日はここでパーッと飲もうよ。バーテンさん、バーテンさんも僕のおごりで一杯どうですか?」
P太の提案にバーテンダーは苦笑いした。
「私、いつもは断ってるんだけど……今日はいただきます。マルガリータ、いいですか。」
P太とη子は、その日店に客が少なくて暇だったバーテンダーを話相手に飲んだ。P太は、この女性バーテンダーが寡黙な人物だと思い込んでいたが、案外喋るのだった。
「あー、η子さんの彼女も29とかそんくらいじゃないですか。やっぱり女は自然妊娠できるタイムリミットがあるんで、色々考えるみたいですよ。私は子どもは嫌いだから要らないけど、周りの年上の友達の話。」
η子は言った。
「じゃあ、私は彼女の妊娠する機会を奪ってたんだね。かわいそうなことをしたかも。」
うつむくη子にP太が言った。
「そんなの本人の意思の問題じゃない? 妊娠しないような関係を彼女が選んでたんだから。ねぇ、バーテンさん。」
バーテンダーは腕組みして言った。
「まあそれはP太さんの言う通りですよ。そうなんだけど、三十くらいになると改めて考えるらしいです。このまま子ども作らなくていいのか、って。η子さんも考えたことないですか?」
η子も腕組みした。
「全く考えたことがないわけではないけど、それは医学の力を借りて彼女との子どもができたらなーってことだったんだよね。ビアンだから自然妊娠とか思いつきもしなかった。けど、彼女に去られた今考えてみたら、確かにこのまま子どものいない人生でいいのかなって思うね。私、子どもは好きだし。」
しばらくして、バーテンダーが突拍子もない提案をした。
「もう、P太さんとη子さんで子ども作っちゃったらどうですか。」
P太は酒を吹いた。
「バーテンさん、なんてことを言うの、僕女となんかできないよ。相手がη子さんでも無理!」
バーテンダーは案外真面目な顔で言った。
「別にやんなくていいんですよ。原始的だけどシリンジ法って知ってます? それで知り合いのビアンカップル、男友達から精子もらって病院行かないで子ども作りましたから。」
η子は頷いた。
「それ、聞いたことある。彼女には弟がいるんだけど、一時期精子だけもらえないかなーって妄想してたもん。」
P太は慌てて言った。
「けどね、僕の精子だと意味無いでしょ、バーテンさん?」
バーテンダーは口を尖らせた。
「二人、気が合いそうだから友情結婚したらいいのに。で、子どもを育てる。」
「ゲイとレズの友情結婚なんて、今更流行らないよ。」
P太の反論にη子は言った。
「それがね、案外そうでもないんだ。」
P太は、「友情結婚」なんてものは、同性愛カップルの権利が認められた今日では過去の遺物だと考えていた。しかし、実のところは水面下で友情結婚は増えていた。たしかに、LGBTの友情結婚は増えていないが、アセクシャルだがパートナーが欲しい男女や、恋愛と結婚は別だと考える男女が友情結婚をするようになったのだ。
「結局、周りを見ててもそうだけど、同性カップルって長続きしないことが多いじゃない? それなら友達みたいな関係の人と結婚して、穏やかに過ごすのも悪くないって思うんだ。」
η子の話を聞いて、納得しかけているP太ではあった。
「でも、僕まだ24だから恋愛したいって気持ちがあるよ。」
「そりゃそうでしょ、私もだよ。だけど、私は別にP太くんが彼氏作っても嫉妬しないし、何なら私もその彼氏と友達になろうかって思うよ。逆に私が彼女作ったってP太くんは怒らないでしょ? そういうこと。」
なるほど、と言いながらP太は頬杖をついた。
「問題はまだ僕が学生だということだな。もしη子さんに子どもができても収入面で助けられない。」
バーテンダーは言った。
「P太さんが妊娠しちゃえばいいんですよ。シリンジ法では無理で医学の力を借りることにはなるけど……。」
「体外受精?! あれってお金かかるでしょ?」
男性が体内で受精するメカニズムがまだ解明されていないため、男性が妊娠を希望する場合には、一旦体外受精を行って、受精卵を男性の体に入れる方法を取らざるを得なかった。
η子は言った。
「大丈夫、今まで付き合ってた人がお金かからない人だったから、それなりに貯えはあるよ。高卒介護士だからってバカにしないで。」
今度はP太が腕組みした。
「うーん、ちょっと考えるね。今までの発想になかったことだから、人にも相談してみる。」
P太は帰宅すると、歯を磨いて寝ようとしていたM次に声を掛けた。
「ただいま。」
「あら、おかえりなさい。近頃はちゃんとその日のうちに帰ってくるのね。」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
M次は口をすすぐと、冷蔵庫から麦茶を出してコップ二杯にそれを注ぎ、リビングのテーブルの上に置いた。そして椅子に腰掛けた。
「わたしの分かる範囲で、何でもどうぞ。」
「友情結婚って知ってる?」
M次は「あー。」と言って答えた。
「ゲイとビアンの、でしょ? 知ってるわよ、知り合いに一組いるわ。結構うまく行ってる。お互いに恋愛感情がない分、逆にうまくいくんだって。ゲイのほうと昔から知り合いで、この間ばったり街で夫婦に会ったけど、奥さんさっぱりした感じのいい人だったわよ。で、それがどうしたの?」
P太は尋ねてみた。
「もし、僕がレズビアンと友情結婚したいって言ったらどうする?」
M次はびっくり顔で尋ね返した。
「え、P太にそんなあてがあるの?! 学生なのに??」
「いや、まだ考え中なんだけど、もしM次さんに僕が友情結婚して子どもを作るって言ったら反対するかなあ、って。ほら、親の反対する結婚って上手くいかないって言うでしょ?」
M次は苦笑いした。
「Pちゃん、古風なことを言うわねー。友情結婚には反対しないけど、相手がクソみたいなマ〇コだったら全力で止めるわよ。特にPちゃんが子どもを産むってならね。」
「クソみたいではないよ。年上で地味なタチの人。僕がストレートでも多分好きにならないだろうけど、中身は普通と思う。」
M次はニヤニヤして言った。
「ね、その子の写真ある?」
「あるよ、ほら。」
P太は前にη子から送られた、ビアンバーのイベントの際の写真をM次に見せた。ハロウィンパーティだったため、η子はかぼちゃの着ぐるみを着ている。
「何これ、着ぐるみ着てなくてもかぼちゃっぽい子ね。まあ悪い子ではなさそうだけど。まあ、本当に友情結婚するんだったら、一度はわたしたちに会わせなさいよ。心配してるんだから。」
「うん。M次さん、寝る前でごめんね。」
「はいはい、Pちゃんも早く寝なさいよ。」
M次はコップをシンクのほうに持って行くと、寝室へ向かった。P太はその背中を見送ると、麦茶を飲み干して自分の部屋へ入った。
「ママは今日はいないの?」
「今日は風邪で休んでます。」
バーテンダーはシェイカーを振りながら答えた。
「どうしたの、急に。」
P太は心配そうに尋ねた。
「恐れていたことが起きたのよ。彼女が同期の男と結婚したいんだってさ。考え直せって言ったら、もうお腹に赤ちゃんいるから、って。笑うしかないよね。」
η子は涙をためてうつむいていた。
「結局、男は女に取られるし、女は男に取られるし、何なんだろうね。」
P太は言った。
「彼女には、『性別だけが問題じゃない』って言われた。彼のほうが話が弾むし、何より将来性があるって。東大卒の出世頭らしい。」
η子は下唇を噛んでいる。
「もともと、彼女はバイセクシャルで、フラッと二丁目に来てたのを、私が必死で口説き落としたんだ。よく考えたら仕方がないことだよね。」
「仕方なくはないよ。仕事が忙しいって嘘つかれて待ちぼうけくらってたの、η子さんじゃん。」
P太は慰めた。
「ごめんなさいね、前にあなたのこと引き止めて説教したけど、説教できる身分じゃなかった。」
η子は今にも泣きだしそうだった。
「そんなことないよ! 僕はη子さんのおかげでこの店を知って、楽しく飲ませてもらってる。」
「ありがとう。ビアンバーにも行ったんだけどね、みんな『いつかそうなると思ってた』とか『バイと付き合うのが悪い』とか言ってくるの。『あんな綺麗な子と五年も付き合えただけラッキー』とか。私、もうしばらく行かない。」
「そんな女の嫉妬丸出しの店、行かなくていいよ。今日はここでパーッと飲もうよ。バーテンさん、バーテンさんも僕のおごりで一杯どうですか?」
P太の提案にバーテンダーは苦笑いした。
「私、いつもは断ってるんだけど……今日はいただきます。マルガリータ、いいですか。」
P太とη子は、その日店に客が少なくて暇だったバーテンダーを話相手に飲んだ。P太は、この女性バーテンダーが寡黙な人物だと思い込んでいたが、案外喋るのだった。
「あー、η子さんの彼女も29とかそんくらいじゃないですか。やっぱり女は自然妊娠できるタイムリミットがあるんで、色々考えるみたいですよ。私は子どもは嫌いだから要らないけど、周りの年上の友達の話。」
η子は言った。
「じゃあ、私は彼女の妊娠する機会を奪ってたんだね。かわいそうなことをしたかも。」
うつむくη子にP太が言った。
「そんなの本人の意思の問題じゃない? 妊娠しないような関係を彼女が選んでたんだから。ねぇ、バーテンさん。」
バーテンダーは腕組みして言った。
「まあそれはP太さんの言う通りですよ。そうなんだけど、三十くらいになると改めて考えるらしいです。このまま子ども作らなくていいのか、って。η子さんも考えたことないですか?」
η子も腕組みした。
「全く考えたことがないわけではないけど、それは医学の力を借りて彼女との子どもができたらなーってことだったんだよね。ビアンだから自然妊娠とか思いつきもしなかった。けど、彼女に去られた今考えてみたら、確かにこのまま子どものいない人生でいいのかなって思うね。私、子どもは好きだし。」
しばらくして、バーテンダーが突拍子もない提案をした。
「もう、P太さんとη子さんで子ども作っちゃったらどうですか。」
P太は酒を吹いた。
「バーテンさん、なんてことを言うの、僕女となんかできないよ。相手がη子さんでも無理!」
バーテンダーは案外真面目な顔で言った。
「別にやんなくていいんですよ。原始的だけどシリンジ法って知ってます? それで知り合いのビアンカップル、男友達から精子もらって病院行かないで子ども作りましたから。」
η子は頷いた。
「それ、聞いたことある。彼女には弟がいるんだけど、一時期精子だけもらえないかなーって妄想してたもん。」
P太は慌てて言った。
「けどね、僕の精子だと意味無いでしょ、バーテンさん?」
バーテンダーは口を尖らせた。
「二人、気が合いそうだから友情結婚したらいいのに。で、子どもを育てる。」
「ゲイとレズの友情結婚なんて、今更流行らないよ。」
P太の反論にη子は言った。
「それがね、案外そうでもないんだ。」
P太は、「友情結婚」なんてものは、同性愛カップルの権利が認められた今日では過去の遺物だと考えていた。しかし、実のところは水面下で友情結婚は増えていた。たしかに、LGBTの友情結婚は増えていないが、アセクシャルだがパートナーが欲しい男女や、恋愛と結婚は別だと考える男女が友情結婚をするようになったのだ。
「結局、周りを見ててもそうだけど、同性カップルって長続きしないことが多いじゃない? それなら友達みたいな関係の人と結婚して、穏やかに過ごすのも悪くないって思うんだ。」
η子の話を聞いて、納得しかけているP太ではあった。
「でも、僕まだ24だから恋愛したいって気持ちがあるよ。」
「そりゃそうでしょ、私もだよ。だけど、私は別にP太くんが彼氏作っても嫉妬しないし、何なら私もその彼氏と友達になろうかって思うよ。逆に私が彼女作ったってP太くんは怒らないでしょ? そういうこと。」
なるほど、と言いながらP太は頬杖をついた。
「問題はまだ僕が学生だということだな。もしη子さんに子どもができても収入面で助けられない。」
バーテンダーは言った。
「P太さんが妊娠しちゃえばいいんですよ。シリンジ法では無理で医学の力を借りることにはなるけど……。」
「体外受精?! あれってお金かかるでしょ?」
男性が体内で受精するメカニズムがまだ解明されていないため、男性が妊娠を希望する場合には、一旦体外受精を行って、受精卵を男性の体に入れる方法を取らざるを得なかった。
η子は言った。
「大丈夫、今まで付き合ってた人がお金かからない人だったから、それなりに貯えはあるよ。高卒介護士だからってバカにしないで。」
今度はP太が腕組みした。
「うーん、ちょっと考えるね。今までの発想になかったことだから、人にも相談してみる。」
P太は帰宅すると、歯を磨いて寝ようとしていたM次に声を掛けた。
「ただいま。」
「あら、おかえりなさい。近頃はちゃんとその日のうちに帰ってくるのね。」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
M次は口をすすぐと、冷蔵庫から麦茶を出してコップ二杯にそれを注ぎ、リビングのテーブルの上に置いた。そして椅子に腰掛けた。
「わたしの分かる範囲で、何でもどうぞ。」
「友情結婚って知ってる?」
M次は「あー。」と言って答えた。
「ゲイとビアンの、でしょ? 知ってるわよ、知り合いに一組いるわ。結構うまく行ってる。お互いに恋愛感情がない分、逆にうまくいくんだって。ゲイのほうと昔から知り合いで、この間ばったり街で夫婦に会ったけど、奥さんさっぱりした感じのいい人だったわよ。で、それがどうしたの?」
P太は尋ねてみた。
「もし、僕がレズビアンと友情結婚したいって言ったらどうする?」
M次はびっくり顔で尋ね返した。
「え、P太にそんなあてがあるの?! 学生なのに??」
「いや、まだ考え中なんだけど、もしM次さんに僕が友情結婚して子どもを作るって言ったら反対するかなあ、って。ほら、親の反対する結婚って上手くいかないって言うでしょ?」
M次は苦笑いした。
「Pちゃん、古風なことを言うわねー。友情結婚には反対しないけど、相手がクソみたいなマ〇コだったら全力で止めるわよ。特にPちゃんが子どもを産むってならね。」
「クソみたいではないよ。年上で地味なタチの人。僕がストレートでも多分好きにならないだろうけど、中身は普通と思う。」
M次はニヤニヤして言った。
「ね、その子の写真ある?」
「あるよ、ほら。」
P太は前にη子から送られた、ビアンバーのイベントの際の写真をM次に見せた。ハロウィンパーティだったため、η子はかぼちゃの着ぐるみを着ている。
「何これ、着ぐるみ着てなくてもかぼちゃっぽい子ね。まあ悪い子ではなさそうだけど。まあ、本当に友情結婚するんだったら、一度はわたしたちに会わせなさいよ。心配してるんだから。」
「うん。M次さん、寝る前でごめんね。」
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