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屋敷にて
しおりを挟む重厚な扉が音を立てて開かれ、ルカに導かれるまま屋敷の中へ入った。
外観はクラシカルで華やかだったが、内部はさらに豪奢だった。
高い天井にはシャンデリア、磨き抜かれた大理石の床。
広間に置かれた大きなソファやローテーブルは深い赤の革張りで、気品に満ちていた。
「少し待ってて」
ルカはそう言い残し、軽やかな足取りで去っていった。
残されたのは、広すぎるほどのリビングと、ひとりきりの静寂。
ソファに腰を下ろしたゆかは、胸に渦巻く熱をどうにも抑えきれなかった。
――シアターでの疼き。ガゼボでの快楽。そしてここにきて、またひとり。
抗えない衝動に、彼女はスカートの裾を握り、震える指先を自らの秘部へ伸ばした。
布越しに擦るたび、熱が蘇る。
声を殺し、浅い息を重ねながら、身体を震わせた。
あと少しで……。
「続けてください」
耳元に落ちる低い声。
驚いて振り返る間もなく、背後から胸の先端を摘まれ、強く弄られる。
「……っ!」
身体を硬直させるゆかの耳に、囁きが落ちた。
「やめなくていい。……僕の声に従いなさい」
背後に立つのはジュリアン。
冷ややかな視線で、胸を責めながら、命令のように囁く。
「そう、そのまま。……自分の手で続きを」
羞恥と快感に押され、ゆかは再び指を動かした。
胸はジュリアンに嬲られ、股は自分の手で弄ばれる。
耳元の誘導に流され、やがて声を押し殺したまま絶頂に達する。
「よくできました」
ジュリアンは淡く微笑み、彼女の耳朶に吐息をかけた。
「こんな場所で我慢できなくなるなんて。……随分、淫らですね」
俯き、恥ずかしさに頬を紅潮させるゆか。
その時、広間の扉が開いた。
ぞろぞろと人影が差し込む。
昨夜の紳士――。昼の陽気な男――。そしてルカ。さらに見知らぬ二人。
合計六人の男たちが、自然な雰囲気で広間に集まってきた。
「おや、もう始めていたのですか」
冗談めかして笑う声。
ゆかの隣にはルカが腰掛け、逆側には先程も意地悪をしてきた男が座る。
正面の大きなソファには日に焼けた陽気な男と、まだ試したことのない二人が並び、
一人掛けの椅子には余裕ある表情のバーでの紳士が腰を下ろした。
ローテーブルに一枚の紙が置かれる。
それは海外の婚姻届のような書式を持つ誓約書だった。
「まずは――旅はいかがでしたか」
紳士が穏やかに問いかける。
「……楽しかったです」
赤面しながら答えるゆかに、男たちは満足げに微笑みを交わした。
「では、改めて自己紹介を…私はエドアルド・ベルナール、エドでいいですよ。」
エドアルドが促し、ひとりずつ名乗りを上げる。
俺はマテオ・リッチ。プールの時に本当は名乗りたかったよ」
「私はジュリアン・ドゥヴァル。先程のあなたも昨夜の化粧室でも、素敵でしたよ」
「僕はさっきも言ったけどルカ。ルカ・モレッティだよ。また今度ご褒美ちょうだいね」
「俺はアンドレ・カサール。アンディって呼ぶ奴が多いが好きに呼べ。」
「んで、俺はサミュ。サミュエル・ロウレンスだよ、ゆかちゃん可愛いねぇ、超タイプかも」
フルネームで名乗られるたび、匿名の船旅が終わりを告げ、現実に足を踏み入れる感覚が押し寄せる。
エドアルドが誓約書を指先で叩いた。
「この中から一人を選んでもいい。皆を選んでもいい。帰るというなら、チケットも用意しましょう。……すべては、あなたの意思で」
自由を与えられたはずなのに、既に囲まれている。
ゆかは仕事、友人、家族の顔を思い浮かべた。
――でも、一週間だけなら。
「……わかりました。あと一週間だけなら…」
その答えに、男たちの視線が一斉に輝く。
エドアルドが満足げに微笑んだ。
「では、今週を楽しんでください。きっと忘れられない日々になるでしょう」
熱と不安を抱えたまま、ゆかの“一週間”が始まろうとしていた。
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