傷心クルーズ 〜大人だけの遊覧船〜

タロウ

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昼過ぎの部屋にて

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 額にかかる前髪を梳かれる感触で、ゆかはうっすらと目を開けた。
 視界に映ったのは、静かに微笑むジュリアンの顔。
 「おはようございます。……いえ、もう昼過ぎですが」
 低く落ち着いた声に、ぼんやりしていた意識が少しずつ覚醒していく。

 「……すみません。また寝てばかりで」
 体を起こそうとすると、ジュリアンの手がそっと額に残り、動きを制した。
 「いいえ。体が休息を求めているのです。恥じることではありません」
 「でも、皆さんに比べて……私……」
 言葉を濁すと、彼は軽く肩を揺らし、前髪をもう一度優しく撫でた。
 「体力がつけば、自然と起きていられるようになりますよ」
 その声音は柔らかく、それでいてどこか底の見えない響きを帯びていた。

 「……運動のしすぎは良くありませんから」
 そう言って彼はゆかをベッドに座らせ、自分は隣に腰を下ろす。
 指先が肩から腕へ、撫でるようにゆっくりと滑っていく。
 「今日は、別の方法であなたを満たしましょう」

 胸の奥がざわつき、呼吸が浅くなる。
 撫でる手が腰に回り、自然と身体が引き寄せられた。
 「ほら、力を抜いて」
 耳元に落ちた囁きに、身体の緊張がほどけていく。

 唇が触れ合うのは、溶けてしまいそうなほど静かなキス。
 だが指先は違った。乳首を弄び、下腹をなぞり、熱を確実に煽っていく。
 「……っん……」
 声を押し殺そうとしても、舌先に転がされるたびに甘い音が洩れてしまう。

 「こんなに敏感に……まるで、初めて触れられたみたいだ」
 羞恥を煽る囁きが耳朶を撫で、背筋を痺れさせる。
 「運動しすぎは禁物ですが……これくらいなら、大丈夫でしょう?」
 笑みを含んだ声と共に、指が濡れた中心をゆっくりかき混ぜる。

 逃げられない速さでもなければ、突き上げる激しさもない。
 ただ、じわじわと意識を絡め取るような、終わりのない快感。
 「……あ、ぁ……っ……」
 息も絶え絶えに縋りつくと、ジュリアンは髪を撫でながら言った。
 「いいですよ。そのまま委ねなさい」

 何度も絶頂に導かれ、身体は熱に溺れていく。
 最後には胸元に抱き寄せられ、額へそっと口づけが落とされた。
 「……ね、ほら。運動はしていませんが、息は切れているでしょう?」
 微笑む瞳に見つめられ、羞恥と甘さが混ざった熱が頬を染めた。

唇を奪う口づけは、呼吸も思考も絡め取るように深く長い。
 ジュリアンの舌が絡み、彼の指がゆかの秘部をなぞるたび、息を詰めたはずの喉から甘い声が漏れる。
 「……ん……っ……あ……」
 胸の奥まで支配されるような感覚に、逃げたいのに逃げられない。

 そのとき、唐突にドアが開く音が響いた。
 「おっ……わ! あ、ジュリアンずるい!」
 元気な声が空気を裂き、視線を向けると、ルカがにこにこと笑顔で立っていた。

 「っ……!」
 恥ずかしさに身体を引こうとしたが、ジュリアンの指は動きを止めなかった。
 「ルカ……最低限、ノックくらいはしなさい」
 冷ややかに注意しながらも、その声音には焦りなど欠片もない。
 「いいじゃん! 減るもんじゃないし。それにさ、やるなら俺も混ぜてよ!」
 子犬のような笑顔で言い切り、ルカは駆け込んできた。

 「あなたは本当に無遠慮だ」
 ジュリアンは目を細め、口端に皮肉めいた笑みを浮かべる。
 「俺は酷いことなんかしないよ。……可愛がりたいだけだから」
 無邪気な声を残し、ルカはゆかの足の間にしゃがみ込み、濡れたそこに顔を寄せた。

 「やっ……! だ、め……っ……見ないで……!」
 羞恥に震える声。
 けれどルカは「大丈夫、可愛いから」と笑い、舌先をぬるりと滑らせる。
 「んっ……あぁ……っ!」
 ジュリアンの指に慣れ始めていた秘部に、舌の生々しい刺激が加わり、背筋が跳ねた。

 「……大丈夫です、ゆか。無理はさせません」
 ジュリアンは髪を撫でながら耳元で囁き、指の責めを止めない。
 「……むしろ、力を抜いて委ねた方が楽になりますよ」
 その冷静な声に逆らえず、ゆかはシーツを掴んで必死に耐えた。

 「うわ……すごい……ジュリアン、もうぐちゃぐちゃだよ」
 ルカが無邪気に感嘆し、舌をさらに深く潜り込ませる。
 「んっ……だ、め……そんな……!」
 涙交じりの声で拒んでも、太腿を抱きしめられ、逃げ道は塞がれる。

 「ルカ、少し落ち着きなさい。……彼女が壊れてしまう」
 ジュリアンが微笑しながら窘めると、ルカは顔を上げ、唇を光らせて笑った。
 「壊さないよ! ちゃんと気持ちよくするから!」
 そして再び舌を這わせ、敏感な芯を吸い上げた。

 「っあああ……っ!」
 快感に押し流され、ゆかはシーツを握りしめて仰け反る。
 その身体をジュリアンが抱きとめ、低く囁いた。
 「……ほら、いいでしょう? これが、欲しかったんじゃないですか」
 「ちが……う……っ……あ……!」
 否定の声も、次の絶頂に掻き消される。

 何度も波に呑まれ、頬を涙が伝う頃。
 ジュリアンはルカと視線を交わし、静かに言った。
 「……では、仕上げといきましょうか」

 ルカに脚を開かされ、無邪気な笑顔で「もっと一緒に楽しもうよ」と言われる。
 そのまま、ジュリアンの硬い熱が押し込まれる。
 「っあ……あぁぁっ……!」
 深く埋められるたび、快感が全身を突き抜けた。

 「ほら、まだ声が出る。……限界じゃない」
 理性的な声で追い込みながら、腰を打ち込むジュリアン。
 「ねぇゆか、すごい……全部飲み込んでる……」
 ルカは胸を吸い上げ、震える身体を撫で回す。

 「やっ……む、り……っ……!」
 泣きそうに訴えても、2人の責めはやむことはなかった。
 理性と無邪気、その両方に翻弄され、ゆかは幾度も絶頂に沈んでいった。
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