その愛は毒だから~或る令嬢の日記~

天海月

文字の大きさ
4 / 16

4.どうかお変わりなく

しおりを挟む
わたくしはあなたに変わってほしいとは、もう口にしないことにいたしましょう。

何度変わってくださいと、時には涙まで流して懇願しても、あなたは何一つ変わってくださらない。

そもそもお変わりになる気など、毛頭ないのでしょう。

あなたはご自分のことだけを愛していらっしゃるのです。

あなたにとって、わたくしが何を考えているのかなど、取るに足らないことでしょう。

ですから、どうせ変わる気もないのでしたら、どうかずっと、そのままでいらしてください。

どうか、愚かなあなたのままで。

もうわたくしのことなど、知ろうとする必要もありません。

よろしいでしょう?

それが、あなたの望みだったのですから。

以前、煩い女など、嫌いだとはっきりとわたくしにおっしゃったのですから。

良かったではありませんか。

わたくしはあなたの希望にしたがっただけなのです。


そして、ただ、わたくしは微笑んで差し上げるだけです。

いつものように。


あなたが、あまりにもわたくしの言葉を聞いてくださらないので、わたくしは遂に、あれほど愛していたはずのあなたのことがどうでも良くなってしまったのです。

あなたの一言一句に、胸を躍らせたり、落ち込んで泣き崩れたりするわたくしは、もうどこにも居なくなってしまったのです。

あなたによって、わたくしは作りかえられたのです。

いつのまにか、愛など無くとも、ただ何の諍いもなく毎日が過ぎれば、それが一番良いのだと思うようになってしまったのです。


もう以前のように戻ることはできないでしょう。

あなたがいつか変わるかもしれないと信じ続けることも、何もかも。

残念ですが、今のわたくしは、もうあなたのことなど、何一つ興味が持てないのです。

ですから、あなたが愚かでも、そうでなくとも、わたくしにはどうでも良いのです。

あなたも今更わたくしの気持ちを尋ねるようなことはおやめください。

きっと、今のあなたが望んでいるような甘やかな返事は、もうわたくしにはできないのですから。

あなたを失望させるのは、いささか面倒でしかありませんから。


ですから、重ねて申し上げましょう。

どうか、いつまでもお好きなことをなさって、わたくしに構うこともなく、お変わりなくお過ごしくださいませ、と。


fin.
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交錯

山田森湖
恋愛
同じマンションの隣の部屋の同い年の夫婦。思いの交錯、運命かそれとも・・・・。 少しアダルトなラブコメ

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

処理中です...