誰にも言えないあなたへ

天海月

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「オリバー、クリスティーナよ。開けて」

オリバーの家の戸口に立ったクリスティーナは、扉越しに問うた。

扉がゆっくりと開き、オリバーが中から姿を現した。

「また突然来てしまってごめんなさい。今日は・・・」

彼に今日の用向きを話そうとするクリスティーナだったが、オリバーの表情は不自然に固まったままで、彼の視線はクリスティーナを通り越して後ろに固定されていた。
彼女はそれを不審に思い、さっき話し始めたばかりの言葉を止めた。


「姉さん・・・!」

オリバーはマリオンを見て、確かにそう言った。

彼はいつの間にか涙を流していた。

「え・・・?」

クリスティーナは状況が読めなかった。

彼女は慌ててマリオンの方を振り返った。

「その泣き虫な菫色の瞳・・・本当に生きていたなんて・・・会いたかった、オリビエ・・・!!」

マリオンが彼の姉だったなんて・・・!

クリスティーナは思いもしなかった事実に言葉を失った。





その後、クリスティーナは平身低頭、マリオンから謝罪を受けた。

初めからずっと騙すような事になってしまってすまなかったと。

けれど、クリスティーナは自分が騙されていた事に対しての云々という気持ちを通り越して、今ようやっと、もやもやとしていた全ての絡まった紐が解けて、すっきりしたような清々しさを感じていた。

生き別れになっていた二人の再開に自分が一役買えたことも、何となく誇らしいような気がした。

ずっと、『彼』で『夫』だと思っていた人は、本当は『彼女』でクリスティーナの思い人であるオリバーの実の姉だったのだ。

寧ろ、マリオンが男としてはいささか美しすぎた事も、不可解な態度も、女性がしてほしいと思う事を必要以上に心得ているところも、自分が感じていた全ての違和感に対して、今になれば、何もかも合点がいったのだった。

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