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12. side ロザリア
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あの時と逆だわ・・・。
眠っているアーロンの看病をしながら、ロザリアは昔の事を思い出していた。
彼女が、無理な日程の公務を組まれ体調を崩して寝込んでしまった時のことだった。
予定をこなしている最中は緊張感で何とか調子を保っていたが、全て終わった途端にその安心感から倒れてしまったのだ。
皆、そんな彼女を見て能無しの王女だと陰口を叩いたが、アーロンだけはこんな無茶な予定を組む方が悪いのだと彼女のために憤ってくれた。
ロザリアはそんなアーロンを見て、自分の唯一の理解者である彼のことを嬉しく思ったが、優しくて正義感の強い彼の立場が、自分のせいで悪くならないか少し心配になった。
「アーロン、一人で眠るのは怖いから手を握っていて・・・」
「はい」
彼はロザリアのお願いを聞いて、彼女が眠っている間、ずっと手を握っていてくれた。
いつも王女らしく振舞わなくてはと気を張っていても、こんな風に弱っている時は年相応の一人の少女に戻ってしまうのが、心苦しかった。
そして、この広い城の中に誰も自分の味方などいないのだという事が、彼女にとっては恐ろしく、そして心細いことに感じられた。
物心ついてからずっと、誰でも良いから、表面だけでも自分に友好的に振舞ってはくれないだろうかと、どこか不毛な期待を捨てきれなかった。
けれど、アーロンが来てからは、そんな見せかけだけの取り巻きなど、自分には必要無いのだとはっきり思うことが出来た。
彼は彼女の不安の影を、暖かな光で包み込んでくれる太陽のようだった。
「私もアーロンを一人にしないわ・・・」
それが出来るのもあと少しの間だけれども・・・今だけは。
彼女は魘されている彼の手をそっと両手で包み込んだ。
眠っているアーロンの看病をしながら、ロザリアは昔の事を思い出していた。
彼女が、無理な日程の公務を組まれ体調を崩して寝込んでしまった時のことだった。
予定をこなしている最中は緊張感で何とか調子を保っていたが、全て終わった途端にその安心感から倒れてしまったのだ。
皆、そんな彼女を見て能無しの王女だと陰口を叩いたが、アーロンだけはこんな無茶な予定を組む方が悪いのだと彼女のために憤ってくれた。
ロザリアはそんなアーロンを見て、自分の唯一の理解者である彼のことを嬉しく思ったが、優しくて正義感の強い彼の立場が、自分のせいで悪くならないか少し心配になった。
「アーロン、一人で眠るのは怖いから手を握っていて・・・」
「はい」
彼はロザリアのお願いを聞いて、彼女が眠っている間、ずっと手を握っていてくれた。
いつも王女らしく振舞わなくてはと気を張っていても、こんな風に弱っている時は年相応の一人の少女に戻ってしまうのが、心苦しかった。
そして、この広い城の中に誰も自分の味方などいないのだという事が、彼女にとっては恐ろしく、そして心細いことに感じられた。
物心ついてからずっと、誰でも良いから、表面だけでも自分に友好的に振舞ってはくれないだろうかと、どこか不毛な期待を捨てきれなかった。
けれど、アーロンが来てからは、そんな見せかけだけの取り巻きなど、自分には必要無いのだとはっきり思うことが出来た。
彼は彼女の不安の影を、暖かな光で包み込んでくれる太陽のようだった。
「私もアーロンを一人にしないわ・・・」
それが出来るのもあと少しの間だけれども・・・今だけは。
彼女は魘されている彼の手をそっと両手で包み込んだ。
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