義妹に苛められているらしいのですが・・・

天海月

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「だから言ったのです。私はお嬢様から離れるべきではないと」

「ごめんなさい、メリダ・・・」

「私に謝る事など、おやめ下さい。私が怒っているのは油断した自分自身に対してです」

「それにしても、ロベルト様を奪って自分が新しい婚約者に納まった挙句、ロベルト様に会わせないためにお嬢様を部屋に閉じ込めるだなんて・・・あの小娘、やっと本性を出してきましたね」

「そんなこと言わないで、メリダ。カノンがロベルト様の新しい婚約者になったのは本当の事だけれども、あの子が私を閉じ込めるなんて・・・。きっと何か建具の不具合があってたまたま開かなかったんだと思うわ」

「お嬢様は簡単に他人を信じすぎです。お優しいのは美点ですが、程々になさらないと・・・」

「・・・本当に良いのよ。確かに、もうロベルト様の婚約者でなくなるのだから最後に少し挨拶くらいはしておこうとは思ったのだけれど・・・実のところ、婚約が解消になって気が楽にはなったの。
ロベルト様は、お顔は整っているし、貴公子らしく優しい気遣いもしてくださる。
ある意味、私みたいな者にはもったいないような方だわ。
けれど、あの方が愛されたのはご実家を立て直す為に必要なこの家の資産だけで、私自身ではなかったの。
実際、手紙や言葉では流れ出るように甘やかな事を仰ってくださるけれども、そこにロベルト様自身の情熱を感じた事は一度も無かったわ。
それでも、貴族の結婚というのはそういうものなのだと私も理解していたし、『それで良い』のだと自分にも言い聞かせてきた。ともかく、私とロベルト様は形だけの関係だったのよ・・・」

「とはいっても、それではお嬢様の評判に傷が・・・」

メリダの言葉を遮るように、そして、どこか自分を説得するようにしながらエレーヌは続ける。

「幸いロベルト様は、私の時とは違って、カノンの事は本当に好いているように見えるわ。あの二人ならきっと幸せになれるに違いないと思う。だからね、お互いにこれで良かったのよ、きっと」

わざとらしい位に、勢い良く明るい調子で言葉を紡ぐエレーヌとは対照的に、さっきまで勢いが良かったメリダは苦い顔をして押し黙ってしまった。

「本音を言ってしまえば、物語の様に好いた殿方に攫ってほしいと思わなくも無いけれど、そんな事を言っては、貴族令嬢としては失格ね。それにそんな方は何処にもいないわ。
まぁ、男爵家と言っても、家は元々庶民の様なものだから大して格式ばる必要もないけれど」

エレーヌはおどける様に言った。
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