農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第二章 混沌竜の契約者

本名

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 《コンside》

「ではイツキよ、ここでは話しにくかろう。少し場所を変えるぞ」

 我はそうイツキに言うと、魔力で地面にとある地点座標が書き込まれた魔法陣を周囲に認知されない速度で描いて魔力を流す。
 この一連の作業は魔法を極めて英雄となった者が本気で練習すれば出来るようになるレベルだが、我からすれば息をするのとなんら変わりない。

 まあそれ以前に魔法陣とは魔力を流すだけで誰でも起動することが出来、また幾度となく何百年経とうと継承し続けることが目的のため、本来であれば我は魔法陣を描く必要もない。
 しかし、その場所に転移するためには魔法陣を使った場合のみ・・・・・・・・・・・という制限があるため魔法陣を描いたのだ。

 そこは、ただただ広い緑の草原に澄み渡った青空が広がる空間だった。

「おい鳥、ここは何処だ?」
 イツキは我に対して全身から全力の殺気を放って言う。

「ここは我が創った異空間だ。これだけ環境を整えるのは我でもそこそこ大変なのでな、あまり暴れないでくれるとありがたい」

 我はその殺気に怯む事などない。
 イツキの実力は、確かにあの世界に於いては我の巣がある竜の里の者達と争っても引けを取るはずのないものだろう。

 しかし、如何せん我との実力差がありすぎるのだ。

 だが彼は我がその殺気を受けても涼しい顔でいる事は気にする余裕もないようであった。

「は、異空間!?」
「そうだ」

 これを創るのには苦労した。
 人の時間で言うなら約千年程かけてようやく創り上げた我専用の空間。
 たとえ偶然でもこの空間に侵入されることのないよう特殊な魔法陣を用いてしか出入り出来無いようにしている。



「手短に言うぞ。なぁ、テメェはいったいなんだ?何で俺の名前が『泉 吉木いずみ よしき』だと知ってんだよ!!」



 イツキ、いや本名を泉吉木とと言う少年は叫ぶ。

 そう、我が彼の耳元で囁いたのは彼の本名。
「泉吉木よ、少々話があるのだ」
 我は先程そう囁いたのだ。

「そう焦るでない、我も一度に答えられやせんからな。ではまずは我も変化を解こう」
 我はそう言うと変化の魔法を解き、元の20メートルもの竜の姿に戻る。

「は!?うっそだろおい……え、お前あのロイとか言う奴の従魔じゃなかったのか!?」
 そして急に変わったからかイツキは混乱しているようだった。
「我はロイの従魔出間違いないが、この姿ではどうしても目立ってしまうのでな。ロイの隣にいて、尚且つ喋っていても問題ない姿がお喋り鳥だっただけだ」
「マジかよ……てか、その模様ってもしかして、あの混沌竜!?」
「いかにも」
 あの、がどの混沌竜かはわからないが、混沌竜は我だけなので間違いは無いだろう。

「もう、訳わかんねぇよ……いきなり鳥に本名バレたかと思えばこんな場所に移動してて、ここが異空間だとか創ったとか鳥が竜だったとかもうほんと何なんだよ!」

 イツキは頭を抱えてしまう。
「ふむ、混乱させてしまったようだな。まず名前に関してだが、これはお主の記憶から見つけたのだ。ここに移動したのはこれから話すこと全て周囲に知られてはならないことだからだ。異空間に関しては説明は省かせて貰う」
 出来る限りわかりやすいよう簡潔に言う。

「おいちょっと待て!まあここに来た理由はわかった、ここに関する説明も一先ず置いとく。だけど俺の記憶を覗いたってどういう事だ!?」

 興奮した様子でそう叫ぶイツキに、我はあくまでも冷静に答える。

「覗いたとは言っていない。正しくは……そうだな、お主の頭の中にある情報にはネット?だとか言う物に特定のワードを入力し、それに引っ掛かる物が出てくると言う仕組みとほぼ同じだ。我も他者の記憶を覗く趣味は無いのでな、ぷらいばしー?とか言う物を尊重している」

 断片的な情報ではあるが、なるべる彼にわかりやすい言葉を探して言う。
「あー、なるほどなー……って、それはそれで問題だろ!?」

 見事なノリツッコミ(イツキの記憶より引用)を披露したイツキに対して、我はこのままでは話が長くなると思い、本題を切り出すことにした。



「イツキよ、お主は元の世界に帰りたくはないか?」


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