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第四章 分岐点
旅立ち前
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旅立ちを決めた翌朝、僕はいつもの時間に目を覚まして朝の作業を始める。
これから暫くはしなくなるのだからとタームに抱き着いて「これから旅をするからね」と少しばかりの別れを告げる。
僕が生まれる頃に買われたという3匹のタームは皆同い年で、一緒に育ったからこれから暫く会えなくなるのはやっぱりとても寂しい。
今からでもやめようかな、なんて少しだけ思うけれど一度決めたことだからと振り払う。
でもやっぱり名残惜しくて朝ご飯が出来るまで時間一杯触れ合った。
朝食、家族にイツキさんとスーさんを交えた食卓でこれからについて話をする。
「俺達はこれからルルトに行くけど王都まででいいのか?」
「うん。王都から依頼を受けながらルルトまで行って、それから西の獣国の方に行こうかなって」
親とイツキさんに相談した結果、旅をするなら北の魔国は遠いし危険も多く、東の妖国は少し閉鎖的で他所から来る人を拒む事は無いけれど、住んでいる人達の信頼を得たり雰囲気に慣れるまでは余所者には少々居心地が悪い所があるらしい。
その点獣国は獣人に対する恐怖や非難さえなければ種族的におおらかな人が多く、他三国の貿易の中継地点としても役割も担っている事から旅で回るのなら一番うってつけだった。
それと僕がルルトまで一緒に行かないと言ったのにも理由はあって、初めての旅だから心配してくれているのはわかるけど、僕と2匹だけで旅が出来るかそこまでの間で試してみたいからだ。
ルルトから獣国に向かう間に無理だと思ったら帰るまでが遠回りになるだろうから、地図上でクルク村から王都、ルルトまでが大体直線的なため帰るのに楽なのだ。
まあ、戻る事を考慮して考える事があまり良く無いとはわかっているけれど。
「でも本当に今日でいいのか?あと一日二日ぐらいなら待つぞ?」
「そうだよ!お兄ちゃんそんな急に行かなくても」
「うーん、でも明日になったらもう行きたくないなって思いそうだから、やっぱり今日出るよ」
「ロイが自分で決めたことだ、あまり無理を言うな」
「でも、だってぇ」
「大丈夫、お兄ちゃんにはコンとユンちゃんがついてるんだから」
「でもぉ」
「心配しなくてもいいよー、スー達がちゃんと旅を教えるからね!」
「それにちゃんと定期的に帰ってくるから」
「むうぅ」
レミィは頬を膨らませて、僕が旅をやめようかなと若干折れそうになったその時に、唐突に笑顔になった。
「でもお兄ちゃんがそうしたいなら仕方がないのかな。それに、こんなお兄ちゃん初めてだから」
「こんなって?」
「ほらお兄ちゃんってこうしたいって言うより、こうした方がいいからって決める事が多いから、もちろんそれだけじゃないってわかってるけど、あと行ってほしくないけど、ないけど!でもお兄ちゃんが行きたいなら我儘だよね」
そう言うミリィの目は少し潤んでいるけれど、笑ってくれた。
僕とミリィはお互い物心ついてからは喧嘩する事も無く、僕はミリィの事が可愛くて仕方がないし、ミリィは僕の事を好いてくれているから自分で言うのも恥ずかしいけど村で1番仲の良い兄妹だと思っている。
だからこそ離れたくはないんだろうけど、でもお互いにお互いの事がわかるから僕は離れたくない気持ちはわかるし、ミリィは僕の行きたいという事を理解してくれたのだろう。
「ミリィこっち来て」
「なになっ!」
「暫く離れるから、その前にね」
「~~~!!」
そうして嬉しくなった僕はミリィを正面からギュッと左腕で抱き締めて、右手で頭を撫でる。
ここ最近はやっていなかった事だけど、ミリィは恥ずかしさからか顔を真っ赤にしながらもギュッと抱き着いて離れなかった。
これから暫くはしなくなるのだからとタームに抱き着いて「これから旅をするからね」と少しばかりの別れを告げる。
僕が生まれる頃に買われたという3匹のタームは皆同い年で、一緒に育ったからこれから暫く会えなくなるのはやっぱりとても寂しい。
今からでもやめようかな、なんて少しだけ思うけれど一度決めたことだからと振り払う。
でもやっぱり名残惜しくて朝ご飯が出来るまで時間一杯触れ合った。
朝食、家族にイツキさんとスーさんを交えた食卓でこれからについて話をする。
「俺達はこれからルルトに行くけど王都まででいいのか?」
「うん。王都から依頼を受けながらルルトまで行って、それから西の獣国の方に行こうかなって」
親とイツキさんに相談した結果、旅をするなら北の魔国は遠いし危険も多く、東の妖国は少し閉鎖的で他所から来る人を拒む事は無いけれど、住んでいる人達の信頼を得たり雰囲気に慣れるまでは余所者には少々居心地が悪い所があるらしい。
その点獣国は獣人に対する恐怖や非難さえなければ種族的におおらかな人が多く、他三国の貿易の中継地点としても役割も担っている事から旅で回るのなら一番うってつけだった。
それと僕がルルトまで一緒に行かないと言ったのにも理由はあって、初めての旅だから心配してくれているのはわかるけど、僕と2匹だけで旅が出来るかそこまでの間で試してみたいからだ。
ルルトから獣国に向かう間に無理だと思ったら帰るまでが遠回りになるだろうから、地図上でクルク村から王都、ルルトまでが大体直線的なため帰るのに楽なのだ。
まあ、戻る事を考慮して考える事があまり良く無いとはわかっているけれど。
「でも本当に今日でいいのか?あと一日二日ぐらいなら待つぞ?」
「そうだよ!お兄ちゃんそんな急に行かなくても」
「うーん、でも明日になったらもう行きたくないなって思いそうだから、やっぱり今日出るよ」
「ロイが自分で決めたことだ、あまり無理を言うな」
「でも、だってぇ」
「大丈夫、お兄ちゃんにはコンとユンちゃんがついてるんだから」
「でもぉ」
「心配しなくてもいいよー、スー達がちゃんと旅を教えるからね!」
「それにちゃんと定期的に帰ってくるから」
「むうぅ」
レミィは頬を膨らませて、僕が旅をやめようかなと若干折れそうになったその時に、唐突に笑顔になった。
「でもお兄ちゃんがそうしたいなら仕方がないのかな。それに、こんなお兄ちゃん初めてだから」
「こんなって?」
「ほらお兄ちゃんってこうしたいって言うより、こうした方がいいからって決める事が多いから、もちろんそれだけじゃないってわかってるけど、あと行ってほしくないけど、ないけど!でもお兄ちゃんが行きたいなら我儘だよね」
そう言うミリィの目は少し潤んでいるけれど、笑ってくれた。
僕とミリィはお互い物心ついてからは喧嘩する事も無く、僕はミリィの事が可愛くて仕方がないし、ミリィは僕の事を好いてくれているから自分で言うのも恥ずかしいけど村で1番仲の良い兄妹だと思っている。
だからこそ離れたくはないんだろうけど、でもお互いにお互いの事がわかるから僕は離れたくない気持ちはわかるし、ミリィは僕の行きたいという事を理解してくれたのだろう。
「ミリィこっち来て」
「なになっ!」
「暫く離れるから、その前にね」
「~~~!!」
そうして嬉しくなった僕はミリィを正面からギュッと左腕で抱き締めて、右手で頭を撫でる。
ここ最近はやっていなかった事だけど、ミリィは恥ずかしさからか顔を真っ赤にしながらもギュッと抱き着いて離れなかった。
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