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第17章 「相手を思いやる」こと
いらだち
しおりを挟む俊也は帰り道、考え続けた。
自分の「カノジョ」は、ベッドに組み敷こうとしただけで怯えてしまうような子だ。
自由奔放な朱美を抱きながら、「これがさよりだったら」と何度も思った。今までにない感情だった。
自分は思ったよりもずっとさよりのことを好きになってしまったようだ。
だが、文字通りのドタキャンを2度も繰り返され、全く腹が立たないかといえば、それはまた別の話だった。
まともにキスをしたのはつい先日で、いわば「まだ何もやっていない」のに拒否されているのだ。
処女特有の恐れや怯えがあるにせよ、そこは何とか乗り越えてくれなければ、先に進めない。
俊也は「初めて」の女性を抱いた経験がない。
女性が性行為で得られる快楽は、男性の比ではないと聞く。恐怖と苦痛の先に快楽があるんだから、少しの間我慢すれば済む話なのに。
(さよりはいい子だが…さすがに少し子供過ぎるんじゃないか?)
少し話し合うべきか、無理やりにでも抱くべきか。
「話し合う」という言葉は使ったものの、いざそうなったときの俊也の主張は目に見えている。
多分、さよりが気持ちを素直に表現したとしても、「要領を得ない」「意味が分からない」、そしてひどくすると、「実は俺のことが嫌いなのか?」に行きつく可能性もある。
さよりが素直に綴った手紙を、彼がどう読むかにかかっているだろう。
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