キーボードクラッシャーの日常

あおみなみ

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もう21世紀になってから四半世紀目なのに

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 私が子供の頃、「100円均一」といえば、スーパーの片隅にそういうコーナーがあるか、駐車場にテントを張って特設売り場が作られていた程度で、商品もあまり豊富ではありませんでした。少なくとも、現在のダイソーやセリアのように、独立した店舗で営業しているのを見たことがありません。

 って、田舎生まれのせいかな?とも思って調べてみたら、株式会社大創産業が「100円SHOPダイソー」を展開し始めたのが1987年で、セリアは創業自体が1985年とのことなので、現在の形に落ち着くまでにかかる年月を考えると、100円ショップという業態がおなじみになる頃には、とっくに成人していた――という記憶は間違っていないようです。

 だからまあ、私はここ30年ほど、「あること」で地味にストレスを感じていることになります。

 100円ショップに行ったことがある方は、商品棚を想像してみてください。
 靴下、パッケージ入り文房具、ちょっとしたバッグ類などのコーナーがいいですね。
 商品棚から長い金属製のフックが伸びていて、そこにプラピンなどで商品がひっかかっていませんか?

 これ、収納的にはとってもすっきりしていていい感じです。
 一目で商品が分かるし、欲しいと思ったら手前のものを取れば……ん、手前?

 よく見ると、同じ商品でも色違い・デザイン違いが混在していたり、「赤いもの」の後ろに青いものが控えていたりしませんか?
 プラピンの上の部分がハンガーのフック部分みたいな形になっていたら問題ありません。
 この形なら、奥にあるものでも簡単にピックアップできます。

参考画像↓↓


 しかし、例えば文房具などに多いのですが、パッケージの上部に穴が開いていて、商品台のフックがその穴を貫通し、10個も20個も並んでいる場合、例えば手前に赤いものが5個、その次に青いものが5個、その次に黄色いものが……みたいな置かれ方をされていたとします。
 赤いものが欲しい人は手前どり(平積み雑誌と同様、一番前は避ける方もいますかね?)で済みますが、青や黄色が欲しい人は、まず赤いものをいったん全部抜いて、自分の欲しいものを手に取った後、抜いていたものを戻す必要が出てきます。

 中には自分の欲しいものが手に入ったらあとシラネということなのか、その場に適当にぶちまけて行く人もいますが、まあ大抵の人は、軽く面倒くささを感じつつ戻しているだろうと想像します。

 もちろんフックごとに色分け・種類分けされている場合もありますが、「ったくもう……」と内心ブチブチ言いながら商品を戻すことが多い気がします。

 一回の手間は大したことではないのですが、「あるある」を感じる程度の頻度になると、「誰もを不便だと思っていないのかな?」「私が神経質なだけ?」と不安になるというもの。
 『呪術廻戦』の七海建人ナナミンではないけれど、こういう小さな絶望の積み重ねが、私をオトナにしてくれる(くれた)のでしょうか。どっちかというと、無駄に年取った気しかしませんが。

 そういえば、一列の間でフックが2、3個に分かれていて、同一色やデザイン別に吊るし分けているものも見かけることはありますが、どうしても「全撤去からの原状回復」をした記憶のほうが鮮明で、それが軽いストレスになっているのでした。

***

 2001年から始まった21世紀ですが、今年で25年目、つまりは「四半世紀」ってことになります。
 20世紀後半に生まれ、レトロフューチャー感満載の設定を漫画やドラマで味わってきた世代としては、21世紀という響きに、必要以上の未来テイストを感じていました。

 ところが、車は空飛ばない――どころか、しゃもじでご飯をよそい、おたまで味噌汁をすくっています。
 しゃもじにがご飯粒がこびりつきにくくなったり、左利きの方でも使いやすいおたま(レードル)が作られたりはしているものの、作業自体は大昔からさほど変わっておらず、これをとか便だと思う人はほぼいないでしょう。合理的で進化?の必要がなかったからだと思います。

 この地球の片隅――というか日本のどこかで、「100均の商品棚のフック何とかせえ」と思っている人は、きっとほかにもいると思いますが、「絶対どうにかしなきゃ」ってほどの変化の必要性を感じていない人のほうが多数派なのかもしれません。

 かつてアイルランド生まれの某文学者G.B.ショーが、「物わかりのいい人は世の中に自分を合わせ、物わかりの悪い人は自分に世の中を合わせる。だから世の中の進歩は分からず屋のおかげだ」という趣旨のことを言ったようですが、「なんのなんの、物わかりが悪い上、世の中を自分に合わせる努力をできない人間もたくさんいるんでさぁ、ショーの旦那さんよぉ」ってとこです。

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