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わたしとあなたは 友達じゃない
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インターネット環境が我が家に来て、今年で26年になります。
最初は1分10円、電話回線を使ってテレビで閲覧、月の閲覧時間は上限30時間(後に1分7円15時間に…)という地獄のような状態だったので、ネットサーフィンなんてお気楽なものは無縁でした。
その後、PCに切り替えたりPCを買い替えたりと変遷があり、今はいっちょ前に「ネットってライフラインだよね」的な生活をしておりますが、当時も、そして今もちらほら見かけるタイプの方がいます。
「会ったこともない人に、感じの悪い軽口をたたく人」です。
これの厄介なところは、「これは言ってもいい」「これは絶対に駄目」という箱があって――仮にそれぞれをA、Bと称しましょう――全ての発言をどちらかに入れる作業をしたときに、B箱のものは、誰に対しても、どんなシチュエーションでも言っちゃ駄目というのは子供でも分かる言葉ばかりですが、Aの方は、関係性によってはアウトってこともあり得るということでしょう。
簡単に言うと、「君かわいいね、セクシーだね」的な発言がセクハラになるかならないかという話です。
これって言っている方はたぶん褒めてるもんね。
「死ね」「バカ」「ブス」「ハゲ」的なのは、どう頑張っても悪口雑言ですから、今までの人生、親や教師からも封じられてきたことでしょう。
腹に据えかねるようなことをされたり言われたりして応戦するとき――なら、まあ「言ってもいい」というよりも、「つい出ちゃう」ことはあるかなという、いわゆるチクチク言葉たちの類です。
◇◇◇
外勤めをしていた頃、部署内2番手の偉い人(次長)が、「〇〇町におしゃれなレストランができるらしい。シーフードかお勧めだってよ」みたいな話を、朝のお茶を運んでいった私に振ってきました。
「そうなんですね、知りませんでした(というか関心なし)」
「あおさん、カレシとのデートにでも行ってみたら?」
「えっ」
「まあ、あおさんやその彼氏じゃ、そんなお店は似合わないか」
これはフェミニズムチェックの文章ではないので、お茶運んだとか、とりあえずカレシとデート的ないじりの方は目をつぶってください。何ぶん30年以上前のことでもありますし。
問題にしたいのは、「こんな店、君たちには似合わない」の部分です。
そもそも私(たち)はそんな店には全く興味がなく、近所のラーメン屋さんの焼肉肉定食(1,000円)が至高のぜいたくという、バブル期にあるまじき生活をしておりました。
ただ、たまにはぜいたくして、みたいなシチュエーションもなくはないでしょう。
その際どうしても、自分たちは不相応なレストランを選ぶことにはなりますが、客として金を払う以上、お店側はそれなりの接客をしてくれるでしょうし、「あんたらみたいな貧乏くさいやつらは入ってくんな」みたいな対応をするのは、スカッと動画の中のDQN店員だけでたくさんです。
私が「わー、行きたいですー」と言ったのならまだしも、何でお茶運んできてくれた人にそんなこと言えるかね。
しかし相手は上司も上司なので、そういう反応はできません。
私は大した面白くない言葉で侮辱された挙句、「ははは」とごまかすような苦笑いをするしかありません。
こういうのは往々にして「いじり」「からかい」と軽く扱われ、しかも「親愛の情」とまで言ってかばう人すらいます。
本当に大したことない内容ではありますが、愉快か不愉快かでいえば不愉快一択。しかしそれをストレートに表明するのもちょっとなあという状況です。
嫌なら嫌と言えというご意見もありましょう。それが職場環境をよくするための第一歩であると。
しかし私は「えー、ひどーい(笑)」的な返しをできるキャラではありませんし、「今の発言、私を侮辱しているとは想像もしませんでしたか?謝ってください」と真顔で言えるほど空気の読めない人間でもないのです。
その頃のモヤモヤを一言で表現する言葉を、当時の私は知りませんでした。
これを直接本人に言うことはできないけれど、自分の内心を整理することはできます。
「ねえ、あんたって私の友達だっけ?違うよね?」
これです、これ。
友達ならば、ひどいことを言われたら本気で怒ったり反論したりもできますし、同種のことを言い返して痛み分けって状況もあるでしょう。それは「同等」だからです。
上司に対し、常にこっちの気分のよくなる言葉だけを吐けとは言いませんが、積極的に不愉快になりそうな言葉を言うのはもっと違います。
向こうはイジって愉快かもしれませんが、こっちはいじられて不愉快な上に反論もできない状態ってねえ…。
◇◇◇
冒頭の「ネットが~」の話に、ここでつながるのですが。
ネット上で何らかの形で「友達っぽい関係」になる場合はあります。一生会うことはないかもしれないけれど、確実にコミュニケーションを取っているわけですから、失礼なことを言わないように、言葉遣いや話す内容にある程度は気を遣うことでしょう。
しかし、前述の次長のような絡みを、それも初絡みでなさる方というのが時々いらっしゃいます。
顔の見えないその相手のスペックなど、知る由もありませんが、自分よりも立場が上でも下でも、「あんた私の友達かい?」というのは有効――だと思いたいところです。まあ面倒なので言いませんが。
あまりにひどいことは反論したり、無視したり、その機能があれがブロックしたりします。それで途切れても惜しい人間関係だとは思えないから、気楽なものです。
しかし向こうにしてみると、相手は誰でもよくて、「言えた」ことで満たされているかもしれません。
やっぱり腹立つなあ…。
最初は1分10円、電話回線を使ってテレビで閲覧、月の閲覧時間は上限30時間(後に1分7円15時間に…)という地獄のような状態だったので、ネットサーフィンなんてお気楽なものは無縁でした。
その後、PCに切り替えたりPCを買い替えたりと変遷があり、今はいっちょ前に「ネットってライフラインだよね」的な生活をしておりますが、当時も、そして今もちらほら見かけるタイプの方がいます。
「会ったこともない人に、感じの悪い軽口をたたく人」です。
これの厄介なところは、「これは言ってもいい」「これは絶対に駄目」という箱があって――仮にそれぞれをA、Bと称しましょう――全ての発言をどちらかに入れる作業をしたときに、B箱のものは、誰に対しても、どんなシチュエーションでも言っちゃ駄目というのは子供でも分かる言葉ばかりですが、Aの方は、関係性によってはアウトってこともあり得るということでしょう。
簡単に言うと、「君かわいいね、セクシーだね」的な発言がセクハラになるかならないかという話です。
これって言っている方はたぶん褒めてるもんね。
「死ね」「バカ」「ブス」「ハゲ」的なのは、どう頑張っても悪口雑言ですから、今までの人生、親や教師からも封じられてきたことでしょう。
腹に据えかねるようなことをされたり言われたりして応戦するとき――なら、まあ「言ってもいい」というよりも、「つい出ちゃう」ことはあるかなという、いわゆるチクチク言葉たちの類です。
◇◇◇
外勤めをしていた頃、部署内2番手の偉い人(次長)が、「〇〇町におしゃれなレストランができるらしい。シーフードかお勧めだってよ」みたいな話を、朝のお茶を運んでいった私に振ってきました。
「そうなんですね、知りませんでした(というか関心なし)」
「あおさん、カレシとのデートにでも行ってみたら?」
「えっ」
「まあ、あおさんやその彼氏じゃ、そんなお店は似合わないか」
これはフェミニズムチェックの文章ではないので、お茶運んだとか、とりあえずカレシとデート的ないじりの方は目をつぶってください。何ぶん30年以上前のことでもありますし。
問題にしたいのは、「こんな店、君たちには似合わない」の部分です。
そもそも私(たち)はそんな店には全く興味がなく、近所のラーメン屋さんの焼肉肉定食(1,000円)が至高のぜいたくという、バブル期にあるまじき生活をしておりました。
ただ、たまにはぜいたくして、みたいなシチュエーションもなくはないでしょう。
その際どうしても、自分たちは不相応なレストランを選ぶことにはなりますが、客として金を払う以上、お店側はそれなりの接客をしてくれるでしょうし、「あんたらみたいな貧乏くさいやつらは入ってくんな」みたいな対応をするのは、スカッと動画の中のDQN店員だけでたくさんです。
私が「わー、行きたいですー」と言ったのならまだしも、何でお茶運んできてくれた人にそんなこと言えるかね。
しかし相手は上司も上司なので、そういう反応はできません。
私は大した面白くない言葉で侮辱された挙句、「ははは」とごまかすような苦笑いをするしかありません。
こういうのは往々にして「いじり」「からかい」と軽く扱われ、しかも「親愛の情」とまで言ってかばう人すらいます。
本当に大したことない内容ではありますが、愉快か不愉快かでいえば不愉快一択。しかしそれをストレートに表明するのもちょっとなあという状況です。
嫌なら嫌と言えというご意見もありましょう。それが職場環境をよくするための第一歩であると。
しかし私は「えー、ひどーい(笑)」的な返しをできるキャラではありませんし、「今の発言、私を侮辱しているとは想像もしませんでしたか?謝ってください」と真顔で言えるほど空気の読めない人間でもないのです。
その頃のモヤモヤを一言で表現する言葉を、当時の私は知りませんでした。
これを直接本人に言うことはできないけれど、自分の内心を整理することはできます。
「ねえ、あんたって私の友達だっけ?違うよね?」
これです、これ。
友達ならば、ひどいことを言われたら本気で怒ったり反論したりもできますし、同種のことを言い返して痛み分けって状況もあるでしょう。それは「同等」だからです。
上司に対し、常にこっちの気分のよくなる言葉だけを吐けとは言いませんが、積極的に不愉快になりそうな言葉を言うのはもっと違います。
向こうはイジって愉快かもしれませんが、こっちはいじられて不愉快な上に反論もできない状態ってねえ…。
◇◇◇
冒頭の「ネットが~」の話に、ここでつながるのですが。
ネット上で何らかの形で「友達っぽい関係」になる場合はあります。一生会うことはないかもしれないけれど、確実にコミュニケーションを取っているわけですから、失礼なことを言わないように、言葉遣いや話す内容にある程度は気を遣うことでしょう。
しかし、前述の次長のような絡みを、それも初絡みでなさる方というのが時々いらっしゃいます。
顔の見えないその相手のスペックなど、知る由もありませんが、自分よりも立場が上でも下でも、「あんた私の友達かい?」というのは有効――だと思いたいところです。まあ面倒なので言いませんが。
あまりにひどいことは反論したり、無視したり、その機能があれがブロックしたりします。それで途切れても惜しい人間関係だとは思えないから、気楽なものです。
しかし向こうにしてみると、相手は誰でもよくて、「言えた」ことで満たされているかもしれません。
やっぱり腹立つなあ…。
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