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友香の日々(1)
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今回は原口友香視点の一人称です。
◇◇◇
素敵な文房具屋さんがあったのでのぞいたら、きれいな薄紫色の万年筆を見つけた。
おばあちゃんが前に「友香ちゃんは色白だから、こういう色が似合うね」って、ブラウスを買ってくれたけど、あれみたいな色。
あんまり力入れなくても書けますよってお店の人が教えてくれた。
インクも簡単に交換できるし、ふつうの万年筆はすぐペン先乾いちゃうけど、それは1年くらい乾かないから、使い慣れていない人にもオススメだって。
おこづかい半分になっちゃうけど、どうしても欲しくて買っちゃった。
それでも万年筆としては、かなり安いものらしい。
そうすると、これで書く用のかわいいノートも欲しいけど、文房具屋さんのでかわいいのはみんな高い。
ペンを買ってから100円ショップに行ったら、かわいいのがいっぱいあった。
小さめのサイズで表紙がベージュのが2種類あった。
1つは「mimosa」って書いてあって、黄色い花。
もう1つは優しい紫色の「lavender」。ペンのボディの色とおそろい。もうこっちイッタク!
万年筆っていうとちょっと大人っぽいイメージだけど、4月から中3になるし、このノートには、本の感想とか、詩とか、すてきなことだけ書くぞーって思った。
◇◇◇
春休みになって、ママの親戚のお兄さんがうちに泊まることになった。
こっちの大学に合格して、下宿探しに来るらしい。
最初の日は夕方頃うちに来て、次の日は朝から遊びに行っちゃって、夜10時頃帰ってきた。
不動産屋さんとかも行かなかったらしく、ママに「何しにきたんだか」って、ちょっと呆れられてた。
大体ネットで探して契約だってできる時代なのに、わざわざ来たのは、こっちの方が今住んでるトコより都会だから、遊びにきたかっただけなんだと思う。大学に入ったら、いくらでも遊べるだろうに、変なの。
でもこのお兄さん、ちょっとかっこいいんだ。
3日目の朝ご飯のときチラ見してたら、ニコッて笑いかけられたから慌てた。
さすがにその日は部屋を探しにいったらしい。
大学のすぐ近くだと、たまり場になっちゃうかもって、駅3つ離れたところで探したらしい。
「チクアサ(築浅)で収納も広くてこの値段は安いですよ」ってママに自慢してて、ママも、「あなたは昔から要領が良いって、あなたのお母さんも言ってたわ」って褒めて?た。
あと2日こっちにいるらしいけど、翌日はママが朝ごはんのすぐ後に出かけて、私とお兄さん2人だけになった。
リビングでおしゃべりしながら、お昼の情報番組とか見てたんだけど、距離が近いからドキドキして、いたたまれなくなって自分の部屋に戻った。
そしてベッドの上に寝そべって漫画読んでいたら、「それ、面白いよね。オレも好きだよ」って後ろから声がした。
お兄さんがドアをこっそり開けて入ってきてたんだけど、私は全く気付かなかった。
「でもさ、漫画よりイイコトしない?」
「え…」
私の体勢が仰向けに変わったら、お兄さんは私をベッドに押さえつけるようにのしかかってきて、軽くキスをした。
「トモカちゃん、本当にかわいくなったよね。俺好きになっちゃった」
「や…」
「冷たくしないでよ。仲良くしよう」
そう言いながら、私の顔をじっと見て髪をなでた。
男の子にこんなことを言われたり、されたりしたのは初めてで、ちょっと怖いけど、でも…興味もある。
◇◇◇
ふっと力が抜けて、されるままになっていた。
くすぐったいだけで、あんま気持ちよくない。でも、そのうち「よく」なるかも。
クラスでも経験のある子が少しだけいて、自慢話聞いたことある。
ぐっと指をつっまれて、「ぎゃっ」と悲鳴が出た。
そうしたらお兄さんは何でか舌打ちをして、ちょっと怖い顔になった。
………………
「言っとくけど、もしおばさんにチクったら、お前がユーワクしたって言うからな」
「そんな…」
「お前、おばさんが行ってほしいっていった中学入れなかった出来損ないなんだろ?一流大学に合格した俺と、どっちの言うこと信じるかだよなあ」
お兄さんに言ったことは本当だ。
私は「ちょっと難しいですね」って塾で言われたけど、自分なりに頑張って朱夏に合格したのに、ママは「やっぱり啓明大附属か、せめて逢花女学院ぐらいじゃないと格好つかないわね…」としか言わなかったし、ちょっとテストの点が悪かったり、どんくさいことをやったりすると、「そんなだから朱夏どまりなのよ」って言われ続けてきた。
それでも学校は楽しかったから、気にしないようにしていたんだけど。
「バカだしブスだし腹ぶよぶよだし、お前いいとこねえなあ。
もう死んだ方がマシじゃね?」
お兄さんはそう言い残して、ドアをバタンと閉めて出て行った。
私はそのまま泣き寝入りしてしまい、「夜眠れなくなるわよ」ってママが起こしに来るまで目を覚まさなかった。
本当はシャワーを浴びてすっきりしたかったけれど、お兄さんのいるところでシャワーを使うのは怖かった。またひどいことを言いながら襲ってくるかもしれない。
◇◇◇
素敵な文房具屋さんがあったのでのぞいたら、きれいな薄紫色の万年筆を見つけた。
おばあちゃんが前に「友香ちゃんは色白だから、こういう色が似合うね」って、ブラウスを買ってくれたけど、あれみたいな色。
あんまり力入れなくても書けますよってお店の人が教えてくれた。
インクも簡単に交換できるし、ふつうの万年筆はすぐペン先乾いちゃうけど、それは1年くらい乾かないから、使い慣れていない人にもオススメだって。
おこづかい半分になっちゃうけど、どうしても欲しくて買っちゃった。
それでも万年筆としては、かなり安いものらしい。
そうすると、これで書く用のかわいいノートも欲しいけど、文房具屋さんのでかわいいのはみんな高い。
ペンを買ってから100円ショップに行ったら、かわいいのがいっぱいあった。
小さめのサイズで表紙がベージュのが2種類あった。
1つは「mimosa」って書いてあって、黄色い花。
もう1つは優しい紫色の「lavender」。ペンのボディの色とおそろい。もうこっちイッタク!
万年筆っていうとちょっと大人っぽいイメージだけど、4月から中3になるし、このノートには、本の感想とか、詩とか、すてきなことだけ書くぞーって思った。
◇◇◇
春休みになって、ママの親戚のお兄さんがうちに泊まることになった。
こっちの大学に合格して、下宿探しに来るらしい。
最初の日は夕方頃うちに来て、次の日は朝から遊びに行っちゃって、夜10時頃帰ってきた。
不動産屋さんとかも行かなかったらしく、ママに「何しにきたんだか」って、ちょっと呆れられてた。
大体ネットで探して契約だってできる時代なのに、わざわざ来たのは、こっちの方が今住んでるトコより都会だから、遊びにきたかっただけなんだと思う。大学に入ったら、いくらでも遊べるだろうに、変なの。
でもこのお兄さん、ちょっとかっこいいんだ。
3日目の朝ご飯のときチラ見してたら、ニコッて笑いかけられたから慌てた。
さすがにその日は部屋を探しにいったらしい。
大学のすぐ近くだと、たまり場になっちゃうかもって、駅3つ離れたところで探したらしい。
「チクアサ(築浅)で収納も広くてこの値段は安いですよ」ってママに自慢してて、ママも、「あなたは昔から要領が良いって、あなたのお母さんも言ってたわ」って褒めて?た。
あと2日こっちにいるらしいけど、翌日はママが朝ごはんのすぐ後に出かけて、私とお兄さん2人だけになった。
リビングでおしゃべりしながら、お昼の情報番組とか見てたんだけど、距離が近いからドキドキして、いたたまれなくなって自分の部屋に戻った。
そしてベッドの上に寝そべって漫画読んでいたら、「それ、面白いよね。オレも好きだよ」って後ろから声がした。
お兄さんがドアをこっそり開けて入ってきてたんだけど、私は全く気付かなかった。
「でもさ、漫画よりイイコトしない?」
「え…」
私の体勢が仰向けに変わったら、お兄さんは私をベッドに押さえつけるようにのしかかってきて、軽くキスをした。
「トモカちゃん、本当にかわいくなったよね。俺好きになっちゃった」
「や…」
「冷たくしないでよ。仲良くしよう」
そう言いながら、私の顔をじっと見て髪をなでた。
男の子にこんなことを言われたり、されたりしたのは初めてで、ちょっと怖いけど、でも…興味もある。
◇◇◇
ふっと力が抜けて、されるままになっていた。
くすぐったいだけで、あんま気持ちよくない。でも、そのうち「よく」なるかも。
クラスでも経験のある子が少しだけいて、自慢話聞いたことある。
ぐっと指をつっまれて、「ぎゃっ」と悲鳴が出た。
そうしたらお兄さんは何でか舌打ちをして、ちょっと怖い顔になった。
………………
「言っとくけど、もしおばさんにチクったら、お前がユーワクしたって言うからな」
「そんな…」
「お前、おばさんが行ってほしいっていった中学入れなかった出来損ないなんだろ?一流大学に合格した俺と、どっちの言うこと信じるかだよなあ」
お兄さんに言ったことは本当だ。
私は「ちょっと難しいですね」って塾で言われたけど、自分なりに頑張って朱夏に合格したのに、ママは「やっぱり啓明大附属か、せめて逢花女学院ぐらいじゃないと格好つかないわね…」としか言わなかったし、ちょっとテストの点が悪かったり、どんくさいことをやったりすると、「そんなだから朱夏どまりなのよ」って言われ続けてきた。
それでも学校は楽しかったから、気にしないようにしていたんだけど。
「バカだしブスだし腹ぶよぶよだし、お前いいとこねえなあ。
もう死んだ方がマシじゃね?」
お兄さんはそう言い残して、ドアをバタンと閉めて出て行った。
私はそのまま泣き寝入りしてしまい、「夜眠れなくなるわよ」ってママが起こしに来るまで目を覚まさなかった。
本当はシャワーを浴びてすっきりしたかったけれど、お兄さんのいるところでシャワーを使うのは怖かった。またひどいことを言いながら襲ってくるかもしれない。
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