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第5話 コモリのポテト
しおりを挟む「あ…」
「話聞いてたら食いたくなって、早速来たよ」
木村は私より一足先に、フードコートでポテトとコーラを食べていた。
私は木村の対面に座り、1本だけ「もーらい」と抜いた。
思ったとおり、木村は何も言わずに「取られっ放し」だった。
「L注文したの?ま、これなら食べちゃうかもね」
「うまいけど、ちょっと味濃くない?」
「これがいいんじゃない。さて、私も…」
と、ポテトを買いにいこうと立ちかけたら、木村がそれを制した。
「よかったらこれ食わないか?俺、全部は無理そう」
「いいの?ありがとう木村。じゃ、飲み物だけ買ってくる」
木村、いいやつじゃん。
ポテトをつまみながらいろいろと雑談をしていたら、木村は家が結構近くて徒歩通らしい。
好きなアーティストや漫画の話まで広がって、結構盛り上がった。
でももう6時になるし、そろそろお開きかな。
「お前、結構面白いやつだったんだな」
「私、そんなにとっつきにくいように思われてたの?」
「たださ、1個だけいい?俺、“きむら”じゃなくて、“本村”っていうんだ」
「え…」
「結構間違われるんだよね」
「ごめん!何かおごる」
「いや、次でいいよ。あと正しく名前読(呼)んでくれればそれで」
「うん――もとむら。また明日ね」
私の塩味好きは相変わらずで、しょっちゅう母に注意される。
「もー」ってうっとうしく思うことあるけど、私の体を心配してくれているんだもんね。
何より、甲状腺検査を受けなかったおかげで、木村改め本村と仲良くなれた。
ちょっとは聞く耳持たなきゃなと、今日のところは反省&感謝である。
【了】
あとがきがあります →
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