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あとがき いちリアル福島県民のぼやき
しおりを挟む参考サイト【「甲状腺検査 過剰診断」について 】
直接のクリックはできませんが、URLも添付しました。
下記リンクのインタビューは、私が大いに参考にさせていただいたものです。
いずれも「SYNODOS -シノドス-」の記事です
https://synodos.jp/all
「福島の子どもは、大丈夫です」――甲状腺検査の現場から
早野龍五×緑川早苗 / 服部美咲【2018.05.12 Sat】
https://synodos.jp/fukushima_report/21602
自分の「ものさし」を持つということ――福島の甲状腺検査と住民の健康を本当に見守るために
緑川早苗氏インタビュー【2020.07.08 Wed】
https://synodos.jp/fukushima_report/23648
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拙作『フライドポテト』をお読みいただき、まことにありがとうございます。
モデルとなった筆者のリアル娘は塩辛いもの好きで、ミル付のボトルに入ったローズソルトを「もうちょっとしょっぱい方がいい」と言いつつ、ママンの(テキトーに作った)料理にゴリゴリかけたりという小癪な真似をしやがります(しょうゆならまだかわいげもあるものを…)。
また、フライドポテトが大好きで、実際は「モスバーガーのが至高」と申しているのですが、おイモそのものに塩味があって、どこかチープな感じのする、スーパーやホムセンのフードコートにあるような商品にも心惹かれるようで、そのあたりをイメージして食べさせてみました。
このお話を読んでくださって、そういうふうに連想した方はまあいらっしゃらないと思いますが、主人公の「母」は医療関係者でも何でもない、その辺のおかんです。それまでの人生、学校でこうしなさいと言われたことは、多少の理不尽があったとしても、「まあいいか」と唯々諾々と従ってきただけの一般ピープルでしかありません。
そのおかんが、なぜか甲状腺検査にだけは抗いました(ある意味、ガラスバッジの件もそうっちゃそうですが)。ない頭絞って知見を集め、弊害の方が大きいなと納得したからです。そんなことは彼女の人生で初めてだったかもしれません。惜しむらくは、作中の「私ちゃん」や「もとむらくん」のように検査を受けない子が1人2人いたとしても、大多数が検査を受けるんだから、結局過剰診断になってしまっているということでしょうか。
情報を集める中で参考にした緑川早苗先生のインタビューの中で、「「過剰診断」という言葉を使ってはいけない」と題された箇所があります。これはお読みいただければ分かるのですが、「なんらかの主義主張に基づく特殊な言葉ではなく、単純な医学用語(筆者傍点)です。」という緑川先生の説明が全てです。
作中、「私ちゃん」たちが足並みをそろえるかのように居残りをさせられたのは、まさにこれではないでしょうか。個人の意思は無関係に、「受けるのが当然」であるという空気を醸成する意図を感じます(余談ですが、やはり「次にあったときは受けておいた方が楽だよ。どうせ無料だし」という声も、周囲ではありました)。
年若き読者さんはビックリなさるかもしれませんが(※)、筆者ぐらいのババァになりますと、大抵の予防接種は学校での集団接種が主流でした(インフルエンザも!)。
高校生の親世代だと、そういう意味で集団でナンカすることへの抵抗が薄いというのはあるでしょうが、できるだけ多くの人間が受けた方がいい予防接種と、何かと弊害の多い「スクリーニング検査による過剰診断」を一緒くたにするのがまずおかしな話です。
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私が「世間の人はこう思っているらしい」と参考にするのは、やはりSNSが多いのですが、なぜか放射能忌避型の人ほど「福島は危ないとか怖いとか言っちゃいけないという空気があって」とおっしゃいます(これは実際、SNSではなくリアル福島在住者の口から聞いたこことがありますが、「じゃ、引っ越せば?」しか言葉が浮かびませんでした)。
緑川先生のお話だと、「過剰診断」の方もまた「言っちゃいけない空気」があるようですが、さてさて、そのどちらも本当だとして、「福島、放射能でやべえ」と「過剰診断」と、全国的に本当に周知されていないのは、一体どちらでしょう?という話です。
過剰診断という言葉は、甲状腺検査に限らず、医学的知見がある方には常識なのかもしれませんが、そういう話は聞いた全くことがないという人にしてみたら、「放射能は微量でもダメ!」という分かりやすい主張をする人たちが同じ口で言う「子供の命を守るためには、じゃんじゃん検査して見つけて手術して治療して!」の方が理解されやすく、また浸透するに決まっています。つまり、どう考えても「浸透する程度には言いたい放題」ということですよね。
その一方で、「過剰診断という言い方をすると、診断しない人が増えるから言うな」と口止めされているからこそ、作中の「私」の母親みたいな人が少数派として扱われているのが現実です。
話を書こうと思ったきっかけは、そういう現状に対するいらだちだったのですが、何分甘酸っぱい恋愛未満みたいな話に飢えているババァですので、ほくほくのフライドポテトのおいしさを借り、それっぽい仕立てにさせていただきました。
余談ですが、この物語「高校生の部」に登場する「私」と「本村君」のその後が少しだけ分かる小話も、『朝のお茶会』の1エピソードとしてアップ予定ですので、あわせてどうぞ。
[了]
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