15 / 22
ひよこのおかあさん
ある日突然に
しおりを挟む
その後もピイスケは少しずつ大きくなり、何となく奇妙な声で鳴くようになっていった。
私は「なんか違う」と思いながら、「ピイスケはかわいい、ピイスケはかわいい」と心の中で唱え続け、世話をした。
ひよこ草の収穫作業も、「ついでだからほかの草も抜いといてね」と、どさくさ紛れに祖母が頼んでくるほど熱心にやった。
◇◇◇
しかし、ピイスケがうちに来てから3カ月くらい経ったある日、祖父の部屋のあの水槽が空っぽになっていた。
「おじいちゃん、ピイスケはどこに行ったの?」
私が半泣きになって尋ねると、祖父は私から目をそらして言った。
「ピイスケはね、本当のお母さんが迎えに来たんだ」
「ほんとうの…お母さん?」
「大きく育ててくれてありがとうって、お礼を言っていたよ」
「私が帰ってくるまで、何で待っててくれなかったの?」
いささか電波な会話だとは思うのだが、私は祖父の言うことを少しも疑わなかったし、心から思ったことを質問していた。
「ごめんなあ。でも、あずさだってママと別れ別れになったら嫌だろ?ピイスケもママと暮らしたいんだよ」
「ん…」
私は「なんか違う」と思いながら、「ピイスケはかわいい、ピイスケはかわいい」と心の中で唱え続け、世話をした。
ひよこ草の収穫作業も、「ついでだからほかの草も抜いといてね」と、どさくさ紛れに祖母が頼んでくるほど熱心にやった。
◇◇◇
しかし、ピイスケがうちに来てから3カ月くらい経ったある日、祖父の部屋のあの水槽が空っぽになっていた。
「おじいちゃん、ピイスケはどこに行ったの?」
私が半泣きになって尋ねると、祖父は私から目をそらして言った。
「ピイスケはね、本当のお母さんが迎えに来たんだ」
「ほんとうの…お母さん?」
「大きく育ててくれてありがとうって、お礼を言っていたよ」
「私が帰ってくるまで、何で待っててくれなかったの?」
いささか電波な会話だとは思うのだが、私は祖父の言うことを少しも疑わなかったし、心から思ったことを質問していた。
「ごめんなあ。でも、あずさだってママと別れ別れになったら嫌だろ?ピイスケもママと暮らしたいんだよ」
「ん…」
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる