小手先の作業 再び

あおみなみ

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厄介な人(ソフトな表現)

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 さきの都知事選で「惜しくも次点」とも「大躍進の得票2位」ともいえる結果を残した石丸伸二さんですが、独特の石丸構文を使った大喜利がXで大はやりしたり、考察や説明をしているYou Tube動画が賛否両論の立場から大量に上げられたり、表現はアレですが、もはやネットのおもちゃと化しています。
 涼し気な容姿に似合わぬ「お熱い人」のようで、都知事選出馬前の安芸高田市長時代から、歯に衣着せぬ物言いが痛快だということで、一定の支持者は全国にいらしたようですが、私は地方議会の場で速記の仕事をしていた経験と、現在は「人の声を聞いて書き起こす」が基本である仕事をしている関係上、ただ一言、「こういう方はちょいと苦手だな」とだけ言いたいと思います(まあ正直、言いたいことはそこそこあるのですが、ここでは差し控えます)。

 ただ、あのスタンスを支持している人の気持ちはいまひとつ理解できません。
 ちょっと火力強めのシンパというか、信者というか、そのレベルになってくると、強引な屁理屈でかばい立てするさまを「見ていられないな…」と思います。
 この気持ち、観察性羞恥みているほうがハズいという言葉で説明ができますかね。

 しかし、「石丸さんは頭がよくて有能!アンチはバカ老害!」とぶち上げる人たちにとっては、私レベルの悪口?でも理解できないことでしょう。

 ところで、ちょうどたんぽぽの白鳥久美子さんのあるエピソードを見たばかりなので、かいつまんでお話ししますと、彼女は中学生時代、容姿をいじるあだ名をつけられ、いじめられていたそうです。
 多分それをテレビか何かで話したのでしょうか。同窓会に出席したら、「あれは笑いを取るためのうそでしょう?」と、いじめていた本人から言われたのだそうです。
 白鳥さんそれを聞いて、その人がいじめていた自覚もない(記憶が塗り替えられている?)のかと戦慄しつつも、「ああ、そもそも交われない人種だったんだ」と吹っ切れたのだそうです。
 この結論に持っていけるところに彼女の聡明さが読み取れました。
 確かに、言葉を尽くしても納得させられない、あるいは相手に寄り添いたくても、そもそも理解不能という人は必ず存在します。
 これはリアルの人間関係よりも、ネット上でのコミュニケーションでより見かける気がします。

 「何でこんな簡単なことが理解できないんだろう」とお互いに思っているのだから、そりゃ絶対に交わることはないはずなのですが、そんなときほどレスバが白熱するという不思議というか皮肉。

 そういえば、唐突ですが、もう一つ思い出したことがあります。
 もう10年近く前になりますが、あるクリエーターさんのインタビューを書き起こしていました。具体的には言えませんが、仮に「T」とします。
 Tはインタビュアーのある言葉――「信念」とでもしておきましょうか。そういう特定ワードに過剰反応し、「信念ってwwウケるww」と大笑いをしました。
 いい年した成人男性のそういうの態度に少し驚いたものの、1回目は「クリエーターって自由だなあ(棒)」と思っただけです。

 そう、1回目というくらいなので、2回目以降もありました。
 しかもそのたびに、「だから信念とか言うなよww」「出たーっ、信念ww」と笑い、何ならインタビューの流れ自体が滞ったようになっていました。
 多分インタビューシートに書かれたことをそのまま読み上げていたか、「信念」という言葉が最もしっくりくると思ったから、その言葉を繰り返し使ったのでしょう。
 Tにとっては、どこか深刻というか重いというか、そういう言葉だったみたいで、笑いはちょっとした照れ隠し的なものがあったのだと(好意的に解釈すれば)分かります。

 2時間ちょっとのインタビューの後、私のTに対するイメージは、すっかり「うん○、う○こと騒ぐ恥ずかしいオッサン」になっていました。少なくとも、大人の会話ができる人とは思えなかったのです。

 ところで、このインタビューが終わった後もレコーダーが作動していたようで、2人いたインタビュアーの会話がわずかに入っていました。

「Tさんは相変わらずだね」
「うん、キョーレツ」
「下で働いている人も大変だ」
「でもまあ、弱いものいじめするタイプではないから(この後、衣擦れのような音がして、終了)」

 …弱いものいじめしないというか、ひょっとして強い人にも弱い人にもこの態度というだけなのかな?
 何度も特定ワードを拾って小ばかにしたように笑うって、れっきとした「いじめ」にほかならないと思うのですが。

 私は子供の頃からコメディアンのH本K一さんが苦手というか嫌いなのですが、その理由が「ヒトに何度も同じことをやらせる」からでした。
 面白いか面白くないかはさておいて、人によっては別に気にならない、むしろ面白いと感じる要素かもしれませんが、少なくとも自分はダメでした。
 感覚の違いはいかんともしがたいので、そういう人を特に攻撃や非難はしませんが、いつも「ないわー」と思っています。
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