小手先の作業 再び

あおみなみ

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防犯カメラに「救われる」側でいたい

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 少し前のXで、とある有名漫画家が、「スーパー銭湯の脱衣所にカメラがあった」とイラスト付きで投稿しました。
 この投稿だけだと、どういうスタンスでされた投稿か分かりかねましたが、その後「カメラがあったことにも驚いたが、『防犯のためだから問題ない』という反応にも驚いた」とおっしゃっていたので、要するに「何考えてんじゃボケカスが!」的な意図でなさったのだと分かりました。

 「信じられない!盗撮じゃないですか!」「そこどこですか?絶対行きたくないから場所教えてください」的な反応に対して好意的な姿勢がうかがわれたので、まあそういうことなんだろうなとは思ってはいましたが、やっぱりかという感じです。

 盗撮、ねえ。
 はっきり分かる場所にカメラがあって、どうやって「盗」撮するのやら。

 スーパー銭湯には10年近く行っていないものの、おぼろげな記憶をたどると、脱衣所の入口に「カメラ設置してますよ」的なことが書かれていた気がするのですが。
 脱衣所での盗難被害とか、お客さん同士のトラブルとか、そういうものを防ごうという意味での監視カメラなんだろうから、「あ、そうですか」程度で捉えていました。

 ヒトの裸が映り込む可能性が高いので、ナーバスになるのも分からないではありませんが、例えば盗難。「する人」の気持ちになって考えてみると、は、無人のときにやるもんなんじゃないでしょうか。

 そもそも裸体の撮影が目的のカメラではないのですから、もし映ったらとか、悪用されたらなどと考えてしまうとキリがありません。そもそもそれが嫌だったり怖かったりするのならば、施設を利用しなきゃいいのです。

 「監視カメラふざけんな派」の方からは、「店の受付(男)の人がモニターを凝視しているのを見たことがある!」という体験談?まで飛び出してきたのですが、これ本当かなあ…。

 おじいさんが番台に座っている近所の銭湯に行ったことがあるとか、ラブホの監視カメラ消し忘れ動画(見たことはありませんが)がエッ…ビデオとして一般にも出回っているらしい、的な話で変な耐性が付いている昭和生まれにとっては、スーパー銭湯のカメラなんて、健全で頼もしいとすら思いますけどね。

 「そもそもダミーだから何も撮っていない」という説も出ていました。それが当たり前のことと捉えられ過ぎると、犯罪抑止力として働かなくなるんじゃないかと心配ではありますが、全部が全部ではないでしょうし、何とも言えません。

 はっきりいえば、私は別にトイレにあったとしても、その場所が正当なもので、ちゃんと管理されているんだったら、特に文句を言うつもりはありません。
 それこそ「不当な方法でカメラを置き去るクソヤロー」などの現場を押さえてくれるなら、ありがたいって話です。


***

 私にとっての監視カメラは、「この世にあるいろんなもの」の1つでしかありませんでしたが、少し前のある経験から、「これからも見守ってください」と手を合わせたくなる存在になりました。

 どこかで5,000円札を落としたことに気付かず、「あれ、私こんなにお金使ったっけ?」と財布の中のお金の減りの速さに青くなった翌日、よく行く近所のコンビニに行ったときのことです。

 顔見知りのスタッフの女性が私のそばに来て、「お金落とされませんでした?」と声をかけてきました。
 私はほぼ反射的に「あ、5,000円!(この時点では、「あったはずの5,000円札がない」くらいの認識)」と言ってしまったのですが、女性が「やっぱり」と言いながら、ポケットからビニール袋に入れられた4つ折りの5,000円札を出し、渡してきました。

 どうやら私の次の順番だった方が、レジ前に落ちていた5,000円札を拾ってくれたようです。
 そこで店のスタッフが監視カメラを確認したところ、私が落としたと特定できたので、「次にいらしたときに、お返ししようと思って」キープしてくださったようです。

 もう、こんなんコメツキバッタのようにペッコペコに頭をさげ、「ありがとうございます!助かりました!」の乱れ打ちです。感謝しかありません。
 本当なら拾ってくれた方にもお礼を言いたいところですが、それはかないません。
 恩送りでもないけれど、私も誰かのために何かできるように心がけることにしました。

 監視カメラのファインプレーももちろんありますが、私の手元に戻ってきた5,000円札は、いろんな人々の「ささやかだけれど尊い」善意のシンボルに思えました。
 お札じたいは3日分ぐらいの食費に消えはしたけれど、感謝の気持ちだけば常に心にあり続けるでしょう。
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