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「こういうことがしたかったはず」 創作ノートのお話
しおりを挟む中学生の頃読んでいた少女雑誌『My Birthday』(実業之日本社 2006年休刊)で、とある別冊が出たことがありました。以下「別冊」と書かせていただきます。
ウィキペディアに載っている情報では、それらしいものは書かれていないのですが、小説や詩といった創作活動に特化したもので、読者公募の作品も少し載っていたような記憶があります。
「(例えば)美しい人をどのように表現・形容するか」
「こんな書き出しが印象的」
「話のトピックはどういうところから得るか」
事例紹介とともに解説したり、プロの作家が読者の質問に答えたり、記憶で何とか書いていますが、今手元にないのが残念なほどの充実ぶりでした。
別冊に関わったプロの作家は、多分複数名いらしたとは思いますが、唯一覚えているのは辻真先さんです。
1932年生まれですから、今年で92歳。Xのバイオには「ミステリやアニメや好きなことを書いていたら卒寿(!)だよ。」(※2024年1月28日現在)と書いていらっしゃるお茶目さで、最新のアニメの感想もしばしば投稿なさっています。
このように年齢を超越した感のある方が関係していたというのがまたうれしい反面、「ああ、とっておくんだった…」と残念でなりません。
当時中学生だった私は、必修クラブで「創作クラブ」に所属しており、「IQの高い人間を襲い、脳を「アマタがよくなる食材」に、皮膚や髪の毛を服飾品に加工したりして売る殺人鬼」みたいな話を書いては、顧問の教師の顔をしかめさせておりました。
また、誰にも見せたことはないけれど、当時大好きだった落語家・(初代)二代目三遊亭圓丈さんの夢小説みたいなものも書いていたなあ…。
いずれにしても、短編ばかりだったので、設定はほぼ行き当たりばったりでしたが、別冊に書かれていたアドバイス?の中で最も印象的だったのが、次のような内容でした。
「キャラクター1人につき大学ノート1冊分の設定をつくるくらいの気持ちで書いてみる」
小説1編じゃなくて、キャラクター1人につきですよ!
モブは省いたとしても、メインキャラが5人いる小説だったら、学生なら5教科のノート横流しするくらいの覚悟で――と、そうおっしゃっていたわけです(違うか)。
出身地、誕生日、年齢、好きな事物、苦手な事物、家族構成、身長、体重、血液型、あと何だ?
このくらいの掘り下げ方なら1、2ページで終わってしまうでしょうが、30枚程度の薄いノートなら、この60倍または30倍書けということです。
しかし、何を書いたらいいの?セリフとか?
戸惑いつつも、想像してみたら本当に楽しそうだなと素直に思いました。
日記を書くくらいの気持ちでコツコツ書きためていけば、結構イケるのかもしれません。
例えば、「私は友達のこの言葉を聞いてこう思った(実際の出来事)けれど、この小説の主人公だったらこう解釈するだろう」と、全くの他人になって想像してみるとか?
***
紆余曲折の後、50歳を過ぎてから小説サイトで日常的にいろいろと書くようになりましたが、いまだに行き当たりばったり癖は改まっていません。
そのせいかどうか、自分で書いたものを読み返してみると、短中長問わず「骨組みだけ」か、「肉の固まりだけ」かのどちらかに思えるものばかりです。
しかし、そのお粗末さを嘆くだけでは味気ないし、もったいない。
ひょっとして、骨組みに肉付けするだけでも、また味わいの違うものが書けるのでは?
1人1冊とはいかないまでも、もう一度、「楽しそう♪」と思ったあの気持ちをよみがえらせてみたいものです。
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