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根古柳四丁目2番15号
夢枕
しおりを挟むそんなSF体験があったせいか、私はその夜、お祖父ちゃんの夢を見た。
私が5歳か6歳の頃、平仮名は全部読めるようになったくらいの頃だった。
お祖父ちゃんは一体、私を何者にしたかったのか分からないけれど、てにをはや句読点、分かち書きを意識して、分かりやすく絵本が朗読できるように、ああだこうだと指導していた。
字が読めても、言葉の固まりや文章の流れも正確に把握できるとは限らないので、最初はつっかえつっかえだった。
あまりにも同じ箇所でひっかかり続けると、ちょっと怖い顔になったけど、焦って声が駆け足になると、「ゆっくりでいいぞ」と、少し優しい調子で言いながら頭をなでてくれた。
+++
『ゆっくりでいいぞ』
お祖母ちゃんの『早くしろ』とはあまりにも対照的。
ひょっとして、お祖父ちゃんがお祖母ちゃんに伝えたかったのって「こっち」なのかも。
「いつでも待ってるから、こっちに来るのは『ゆっくりでいいぞ』」
とかね。
まあ、どれもこれも、生きている人間の勝手な解釈でしかないんだけど。
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