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サブバッグ
エピローグ
しおりを挟む結局その後、母とそこそこ話をするようになった。
仲よしってほどではないが、一時期の険悪さはなくなった。
リサちゃんのことも、改めて丁寧に話したら、「今度おうちに来てもらったら?」と言った。
警察に付き添ってもらったこととか、仲よくなったきっかけが、体育の時間に倒れたとき介抱してくれたことだった、とか(自覚なかったけど、やっぱり私、割と虚弱だったわ)。
リサちゃんという子を分かってもらうと、減点ポイントだったはずの派手な容姿は、「美人でしっかりもの」っていうふうに、あっさりひっくり返った。
◇◇◇
リサちゃんは高校卒業後、留学――というか「遊学」という目的でイギリスに行って、25歳のときそのまま現地で結婚してしまった。
知らなかったけど、実は大きな病院の娘さんで、大分お金持ちだったらしい。
家のことは年の離れた兄姉が手伝っているので、恵まれた末っ子らしく好き勝手しているらしい。
弟や妹がたくさんいて、面倒見がいい――とか、勝手に想像していたので意外だった。
美人でお嬢様で有能で自由って、ちょっとズルくない?
そんな感じで滅多に会えなくなっちゃったけど、手紙や写真はよく送ってくれる。
◇◇◇
ところで、私もリサちゃんと同じくらいに結婚して、2人の子供をもうけた。
「子供なんて、子供自身がそうなりたいようにしか育たないもんよ」という意味深なことを、いつだったか母が言ってたっけ。
いろいろ口酸っぱく言おうが、放任しようが、なるようにしかならないんだってさ。
それでも私は子供たちが中高生の頃、「この二つだけは肝に銘じるように」と教え込んだ。
子供とも限らないけど、人は一回言われたぐらいじゃ覚えないし、一度で刺さるようなことを言う技術が私にはないから、口癖みたいに言い聞かせた。
「荷物は絶対に放置しないこと!貴重品じゃくなてもなくしたら不便だし、置き引き被害は後が面倒だからね」
さてさて、もう一つは?
「バイトできる年齢になったら、自分で稼いでお金を貯めた方がいいよ。親と万が一険悪になったら、嫌いな親に必要なものをおねだりしにくいでしょ?」
【了】
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