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第54章 そしてきっと、全てを託してしまうだろう【メグと大輔 終】
初めての朝【大輔】
しおりを挟む今さらだが、メグがかわいい。かわい過ぎる。
余裕ありげなことを言ってしまったが、実は俺には全く経験がない。
そのくせ体はすっかり「反応」してしまっている。
(メグは気付いてない――といいのだが)
彼女との「こういう日」を、もちろん何度も思い描いたし、今までもチャンスが全くなかったわけではない。
しかし夏前のある日、兄貴からいつものように軽薄な調子で電話がかかってきたのだ。
「ダイ。お前今年はメグちゃんと別荘に行くんだろ?このこの~」
「は?」
「俺も友達と行く予定だから、バッティングしないように日程聞いておこうと思って」
「何言ってんだ、そんな予定は……」
「お前こそ何言ってんだ?親父たちもそのつもりみたいだから、早目に「申告」した方がいいぞ」
「え……?」
「決まったら教えろよな」
そして一方的に切れた。
ちなみに親父に確かめると、兄貴とそんな話をした覚えはないと言うが、「芽久美ちゃんの保護者の方の同意があるならいいぞ」とも言われた。
これはもう、行くしかないだろう(兄貴め……)。
次のデートでメグに提案したら、「お邪魔していいんですか?うれしい!」と喜んでくれたから、俺も本当にうれしかった。
現在の「保護者」であるおじいさんとおばあさんとは幸い面識があったし、結構あっさりとOKが出た。
一番緊張したのは、やはりママさんのところだが、ここが一番大事でもある。
飾らない言葉を使うなら、「おたくのお嬢さんを抱いていいですか?」と聞くのも同然だからだ。
しかし檜さんがまだ大学生でよかった。
これでガチの親父ポジなどに収まられていたら、いったい何を言われていたか。
(ちなみにこの日の桜井家に、檜さんは不在だった。ま、あの人も暇ってわけではないだろうしな)
「芽久美から話を聞いて、私はもうOKしたつもりだったんだけど……。
大倉君は本当に律儀ねえ。私も安心して送り出せるわ。楽しんできて」
いい意味で腰が抜けそうになった。
このママさんが大事にはぐくんできた愛娘だ。当然俺も大事にするつもりである。
そして、あの星空の見える部屋で彼女を抱こうと心に決めた。
**********
**********
**********
俺たちが使った寝室は、東と南(バルコニー)に大きな窓があり、セミダブルのベッドが2つ置かれたところだ。
ただし、そのうちの1つしか使っていない。
朝の光が木々の葉にやわらげられた状態で差し込んでくる。
明らかに多種類の鳥の声がけたたましいほどにチッチッと鳴り響き、自然の光と音で目を覚ました。
本当にぜいたくな朝を迎えた。
メグはまだ寝ている。
白い肩が少し見える状態で掛布をかけ、びっくりするほど寝相がいい。
こんなんでちゃんとリラックスして眠れたのかな?無理させなかった……よな?俺。
寝顔が神々しいほどに美しい。
こんなときに何だが、唇とか鼻筋とか、やっぱりあのママさんに似ている。
檜さんに言ったら、「エロい想像したんじゃないだろうな?」と怒られそうだが、さすがはあのハイスペ男子がほれ込む中年女性だなと再認識したという意味だ(いや、余計に失礼な言いぐさだな。反省)。
まだあどけなさが残っているが、きっとこれからもっともっとキレイになるだろうな。
「おはよう、メグ」と言いながら唇を重ねると、メグの唇がふるっと動くのを感じた。
唇を離して顔を見ると、目は閉じたままだが、何やら照れくさそうに口をゆがめている。
「起きてたのか……」
「あの、目を開けるタイミングが難しくて……」
「何だそりゃ?」
「恥ずかしいから……」
そう言いながら、布団にもぐって顔を隠そうとする。小癪なやつだ。
「こーら、ちゃんと顔を見せろ」
片ほほに手を添え、強引にアングルを変えさせたら、ちょっと泣きそうな顔をしていた。
「どうした?痛むのか?」
そう言ってから、随分露骨なことを聞いちまったと、俺が恥ずかしくなった。
「何だか幸せで……大輔さんが優しくて……胸いっぱいになっちゃっていうか……」
「お前は本当に……」
愛おしさが募って、頭がおかしくなりそうだ。
こういうときは、何か好きこのんで気障なことを言いたくなる。
「メグ、愛してるよ。ずっとそばにいてくれ」
気障どころか陳腐そのものだ。でも、今はこれしか言えない。
「はい。私もずっとそばにいたいです」
メグが涙を浮かべながら笑顔で言った。
「悪くないがもう一声だな。『愛してる』って言えよ」
【完】
◇◇◇
『メグと大輔』のエピソードはここで終了です。
ここに詳記しなかった2人の別荘旅行の記録は別口でアップしますので、よければ読んでくださいませ。
(公開後、フリースペースにリンクを張ります)
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