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第30章 いい感じに麻痺しちゃったってことだろうか。【メグと大輔】
ひすい祭のご招待【メグ】
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ビッグ・ブラザーがあなたを見守っている Big Brother is watching you
ジョージ・オーウェル『1984年』
◇◇◇
大輔さんの学校――玉成学園の文化祭に招待された。
ちょっとした差別化で夏休み明け早々にやる学校もあるものの、やっぱり学園祭シーズンというのはあるもので、11月の文化の日周辺。
多くの学校間で日程がかぶってしまうことが多いけれど、幸い玉成の高等部の一般公開日とうちの学校は週がずれていた。
「英明って中等部から大学部まで合同でやるらしいな」
「はい、英祭です。敷地が一緒だし」
もらった招待状には、鮮やかな青緑の厚紙に「ひすい祭」と印刷されていた。
「これって翡翠色? ですよね」
「翡翠って、カワセミのことだっけ? だからこの色か」
大輔さんはいわゆるスクールカラーについて、今まであんまり深く考えたことはなかったみたいだ。
「あと玉成の“玉”は宝石の翡翠のことだって聞いたことがあります」
「お前、そういうことを意外とよく知ってるよな」
「ママが職業柄、調べもの好きなのと、私自身も割と語源とか意味とか興味があるから。いいなあ、きれいな名前」
「“はなぶさ”だって悪い意味ではないだろ?」
「でも、濁音が入っているのと清音だけなのを並べると、響きがちょっと……。イメージに過ぎないんですけど」
「そういうのが気になるのは、何かお前っぽいな」
私は大輔さんに対して、割と丁寧な話し方をしていると思う。
1歳年下だからかしこまっちゃうとか、そういうんじゃなくて、大輔さんに対しては、「私がそういう話し方したくなる」のだ。
大輔さんはタメ口を強要することはなかったけれど、ママの「母」呼びだけは撤廃された。
「お前は友達と話すとき、自分の母親を「母」っていうか?」
「言いません……ね」
「じゃ、俺にも普段ママさんを呼ぶときの言い方にしろよ。俺は――友達以上のはずだ」
「ですね……(えへへ)」
◇◇◇
大輔さんは招待状を、私とママと、一応檜先輩にも出したらしい。
もっとも檜先輩は、テニス部の元部長の兵部さんからももらっていたらしいので、かぶってしまった1枚を使い、英明の新しい副部長の片桐玉青 先輩を誘った。
だから私はいったんママと一緒に来て、現地で「解散」した。
ママも「せっかくの機会だから、いろいろ見学したい」とは言っていたので、落ち合う場所を決めて、別行動することになった。
「檜さんに出したのは、ママさんと一緒にどうぞって意味もあったが、ママさんだけでなく、お前のボディーガードになるんじゃないかと思ったのもあったんだ」とのことだった。
ところが檜先輩が片桐先輩と行動をともにすることになり、ママとは一緒に動きにくくなってしまった。
あては外れたものの、仕方がない。
大輔さんは片桐先輩とは同学年で、新人戦で当たったこともあったらしく、どういう人かは知っている。
「確かにあいつが来るなら、檜さんにストッパーになってもらう必要があるな…」と言っていた。
片桐先輩は別に悪い人ではないのだが、「ノリが軽過ぎるし、何かしでかしそう」だというのが大輔さんの見方だった。
そうそう、「絶対に制服を着てくるな」と言われた。
「俺がお前の私服が好きだってのもあるが、過去の経験上、どうも制服だとナンパを誘発するんじゃないかと思うんだ」
「やだな。そうそうされませんって」
「お前がそれを言うなよ…それにうちの学校の女子が他校に行くときは、あえて制服を選ぶって話してるのを聞いたから」
「玉成の制服はオシャレでかわいいから、気持ちは分かります」
「ああ、その方が“ナンパされやすい”って話だ」
「あ……」
「ま、そういうことだ。しかもお前の場合、何かママさんと一緒にいても声をかけられそうだしな」
ジョージ・オーウェル『1984年』
◇◇◇
大輔さんの学校――玉成学園の文化祭に招待された。
ちょっとした差別化で夏休み明け早々にやる学校もあるものの、やっぱり学園祭シーズンというのはあるもので、11月の文化の日周辺。
多くの学校間で日程がかぶってしまうことが多いけれど、幸い玉成の高等部の一般公開日とうちの学校は週がずれていた。
「英明って中等部から大学部まで合同でやるらしいな」
「はい、英祭です。敷地が一緒だし」
もらった招待状には、鮮やかな青緑の厚紙に「ひすい祭」と印刷されていた。
「これって翡翠色? ですよね」
「翡翠って、カワセミのことだっけ? だからこの色か」
大輔さんはいわゆるスクールカラーについて、今まであんまり深く考えたことはなかったみたいだ。
「あと玉成の“玉”は宝石の翡翠のことだって聞いたことがあります」
「お前、そういうことを意外とよく知ってるよな」
「ママが職業柄、調べもの好きなのと、私自身も割と語源とか意味とか興味があるから。いいなあ、きれいな名前」
「“はなぶさ”だって悪い意味ではないだろ?」
「でも、濁音が入っているのと清音だけなのを並べると、響きがちょっと……。イメージに過ぎないんですけど」
「そういうのが気になるのは、何かお前っぽいな」
私は大輔さんに対して、割と丁寧な話し方をしていると思う。
1歳年下だからかしこまっちゃうとか、そういうんじゃなくて、大輔さんに対しては、「私がそういう話し方したくなる」のだ。
大輔さんはタメ口を強要することはなかったけれど、ママの「母」呼びだけは撤廃された。
「お前は友達と話すとき、自分の母親を「母」っていうか?」
「言いません……ね」
「じゃ、俺にも普段ママさんを呼ぶときの言い方にしろよ。俺は――友達以上のはずだ」
「ですね……(えへへ)」
◇◇◇
大輔さんは招待状を、私とママと、一応檜先輩にも出したらしい。
もっとも檜先輩は、テニス部の元部長の兵部さんからももらっていたらしいので、かぶってしまった1枚を使い、英明の新しい副部長の片桐玉青 先輩を誘った。
だから私はいったんママと一緒に来て、現地で「解散」した。
ママも「せっかくの機会だから、いろいろ見学したい」とは言っていたので、落ち合う場所を決めて、別行動することになった。
「檜さんに出したのは、ママさんと一緒にどうぞって意味もあったが、ママさんだけでなく、お前のボディーガードになるんじゃないかと思ったのもあったんだ」とのことだった。
ところが檜先輩が片桐先輩と行動をともにすることになり、ママとは一緒に動きにくくなってしまった。
あては外れたものの、仕方がない。
大輔さんは片桐先輩とは同学年で、新人戦で当たったこともあったらしく、どういう人かは知っている。
「確かにあいつが来るなら、檜さんにストッパーになってもらう必要があるな…」と言っていた。
片桐先輩は別に悪い人ではないのだが、「ノリが軽過ぎるし、何かしでかしそう」だというのが大輔さんの見方だった。
そうそう、「絶対に制服を着てくるな」と言われた。
「俺がお前の私服が好きだってのもあるが、過去の経験上、どうも制服だとナンパを誘発するんじゃないかと思うんだ」
「やだな。そうそうされませんって」
「お前がそれを言うなよ…それにうちの学校の女子が他校に行くときは、あえて制服を選ぶって話してるのを聞いたから」
「玉成の制服はオシャレでかわいいから、気持ちは分かります」
「ああ、その方が“ナンパされやすい”って話だ」
「あ……」
「ま、そういうことだ。しかもお前の場合、何かママさんと一緒にいても声をかけられそうだしな」
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