7 / 101
第2章 変てこハネムーン
女三界に…
しおりを挟むたまたま実家で母と一緒にご飯を食べたとき、彼とのやりとりや彼の行動で疑問に思ったことを話してみた。
正直に「不満」「気に食わない」って言葉を使うのは、なぜかためらわれて、「こんなもんなのかな?」「これ普通なのかな?」という言い方をした。
私の言い方も悪かったのかもしれないけれど、
「優しいいい旦那さんじゃないの。大学はイマイチだけどお勤めは堅いし、いい人と結婚できたんじゃない?」
「イマイチ…かな?」
「だって所詮は駅弁大学(※)でしょ?まあこちらも名前書けば入れるような大学だから、言えた義理じゃないけどね」
母は高卒だ。行っていたのは結構賢いトコだったし、中卒もさほど珍しくない世代なので、極端に低学歴ってわけでもない。
でも人の(知り合いとか芸能人とか)の出身大学についてあれこれ言うくせがあって、あんまりお行儀よくないんじゃないかって思ってたし、はっきり言ってそういうのは嫌いだった。
聞いてもいないのに、自分が大学に行かなかった理由として、「私の頃は、大学に行くための試験が本当に大変だった。本当は東京の女子大の英文科に行きたかったけど、おばあちゃんが地元じゃなきゃ駄目だと言うからあきらめた」という話を始める。
※駅弁大学とは
戦後の教育改革に伴い次々にできた新制国立大学のこと。昭和24年(1949)、駅弁を売る駅のある所に必ずといってよいほどできたことを皮肉って、評論家・大宅壮一がいったとされる語。
【コトバンクより・一部改変】
+++
「女三界に家なし」って、誰が教えてくれた言葉だったっけ。
子供のうちは親に従い、結婚したら夫に従い、年を取ったら子供に従う。
私は面倒くさいのは嫌いなので、それぞれの環境が悪くなかったら、別に問題ないじゃんって思ってた。
母は私をバカにするような言い方も多いけど、「いい人と結婚できた」って言ってくれたのはちょっとうれしかった。
例えば、あんな顔しか取り柄のないようなクズと結婚するから!とか言われたら、やっぱり嫌だと思う。
「彼」は私を一応大事にしてくれている――と思う。
口が悪いだけ。あと私の頭が悪いから、正しく理解できていないだけかもしれない。
子供ができたら、その子を親孝行ないい子に育ててれば、あと何も問題ない。
「なんだかなあ」って思うことも多かったけど、私は自分のことを、幸せな専業主婦だと思い続けたかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる