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第18章 「君だけが優しかった」
休日のスイーツ
しおりを挟む「彼」がまたも小遣い付き休暇を申し出たとき、いつもよりも渡してくるお金が1,000円少なかった。
ただ、「今小さいのこれしかないから」ということなので、先日の「500円貯金」は無関係かもしれない。あくまで1万円札までは渡す気はないというだけのようだ。
「いつも気を使ってくださるけど、別にいいんですよ」
「そうもいかないよ。君がランチも食べられないんじゃかわいそうだし」
「お気遣いありがとうございます」
そらぞらしいにもほどがある会話の後、私は水色のストライプのシャツワンピースを着て外出した。
◇◇◇
「ランチ」はコンビニでおにぎりとお茶を買って、給水池公園のベンチで食べた。
ここは宗太と初めて会ったところだけれど、宗太がここに来ることは多分もうない。「だから」安心して来ることができる。
卒業したら宗太は郷里に帰ることになっている。仮に教職が決まらなくても、帰郷だけは決まっていたらしい。
「好きだったけれど、愛してはいなかった」男のことを、思い出のたっぷりある場所で考えると、やっぱり少しだけセンチメンタルになる。
あの人は、絶対に私を否定しなかった。
若干甘ったるい画風が気になったけれど、私を本当にかわいらしく描いてくれた。あの絵は「彼」がびりびりに破いてしまったので、私の記憶の中にしかないけれど。
ペペロンチーノをすごく上手に作ってくれたので感心したなあ。あの狭いアパートでは、しばらくニンニク臭が取れなくて大変だったろう。食べた後はコーヒーを飲んだけれど、お互いかすかにニンニク臭いままキスをして、セックスをした。
「彼」とのセックスを思い出して恥ずかしくなることなんて、全くない。レイプまがいの恐怖と、「気持ちよさそうにしなきゃ」というプレッシャーだけだ。
私はこの先、宗太との間で交わされたような“コンタクト”を体験できるのだろうか。
(やだやだ、欲求不満のエロババアじゃないんだから!)
鮭と筋子を買って、どっちから食べようかと迷ったけれど、鮭、筋子の順にした。
最後のひと口を口に入れてから、お茶で飲み下した。筋子独特の生臭さをむしろ思い起こさせるような清涼感と苦味が心地よい。
すると、デザートに甘いものが食べたくなった。
「甘い」だけのものなら、そこそこおいしいものが安価で買える。
でも、そのとき頭に浮かんだのは、confection Kamiyaのチーズケーキだった。
あれもとてもいい味だったけれど、ほかのものも試してみたい。
休憩スペースは簡単なティールームを兼ねているので、紅茶とモンブランなんかいいかも。
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