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空とベッドルーム
ベッドルームで
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ベルの初潮は14歳のときでした。
つまり、ベルがナルに「よんさい」と言ってから10年目のことです。
トイレに行って、しばらく出てこないのを心配したナルが、「どうかした?」と静かに声をかけると、「ナル、私死んじゃうのかな…」と、涙ながらに言いました。
女性の月経についてよく理解していなかったベルは、出血に驚いて、混乱してしまったようです。
ナルは苦笑いしながら、「ドアを開けて。何も心配する必要はないよ」と言って、手際よく後始末をし、ココアを飲ませて落ち着かせ、月経というものについて説明しました。
そしてその2年後、ナルはベルを抱きました。
ナルはもともと性欲が薄い方だったということもありますが、ベルをそういう対象として見たことも、見ようとしたこともありませんでした。
しかしちょっとした気まぐれから「破瓜の儀式」のようなつもりで抱き、結果――今までの「守りたい」という気持ちとはまた別の感情を、ベルに抱くようになったのです。
そのきっかけは、初めての行為のとき、ベル自身から控え目に流れ出した鮮血だったか、「ナルの言うことを聞いていれば間違いないものね」と言いながら、苦痛に耐える顔をつたう涙か、どちらだったかはわかりませんし、そのどちらでもないかもしれません。
ナルはベルを、小さな守るべき少女ではなく、1人の女性として「いとおしい」と思いました。
ナルはベルが小さい頃から、毎晩念入りに時間をかけ、彼女の体を隅々まで磨き上げるように洗っていました。
そのベルを抱けば、念入りに手入れをした楽器を奏でるような高揚感を味わえます。
それは、今まで愛以外の動機で大勢の人間と関係を持ってきたナルが初めて覚えた「欲情」でした。
ベルもナルの調教に近い行為によく応え、次第に控え目ながら、自分から「おねだり」のようなしぐさを見せるまでになりました。
***
ナルはロマンチストであると同時にリアリストでもあったので、行為のときは、必ずあらゆる予防のための対策を取っていました。
しかし、わずかなタカとの思い出の断片を、庭に出て懐かしんでいたベルに対し、どうにも押さえられない気持ちが芽生えてしまったようです。
タカとの接触は、あのお茶の時間だけだと思っていたのに、実はベルはタカのことを以前から知っていた?
しかも心のどこかにそれを隠し持っていた?
ベルはナルにとって最高の「おんな」ですが、タカにとってもそうに違いないと考えてしまうほど、ナルは冷静さをなくしていました。
もし2人が惹かれ合うようなことがあったら――それは考えただけで、耐えがたいものでした。
「ベル――君は、君は私だけのものだ…」
大きな寝台の上で、ナルはそう言いながら、ベルの体に大きな手を滑らせ、深い口づけをしました。
それは、いつもならうっとりと体の力を抜き、身を任せるだけのベルが、あまりにも苦しさに抵抗を見せるほどのものでした。
「ベル、かわいいベル――私を拒まないでくれ…」
「ナル、大好きよ。でも、何だかこわい…」
いつもならこの上なく丁寧にしてくれる愛撫もどこか荒々しく感じられ、その息遣いや体温からは性急さが伝わってきました。
ナルが欲望の固まりになって、自分にぶつかってきている――ベルの「こわい」という気持ちを具体的に言語化すれば、そんな感じでしょうか。
「大丈夫。全部私に任せて」
「…やだ…こわい…」
「ベルは私が信じられないの?悲しいな」
「…ごめんなさい…」
ナルが自分の下に組み敷いた小さなベルににっこりと笑いかけたので、ベルは少しだけ気持ちがほどけました。
「ナルが自分にひどいことをするはずがない」という信頼が、恐怖心を振り払ったのでしょう。
「そう、いい子…だ…本当に…かわいい…」
「ナル自身」は初めてベルの「門」を生身でくぐると、すぐに果てました。
そして「苦しいよ、ナル」と、抗議をするように軽く背中をたたかれても、ベルを抱きしめる腕をしばらくほどきませんでした。
つまり、ベルがナルに「よんさい」と言ってから10年目のことです。
トイレに行って、しばらく出てこないのを心配したナルが、「どうかした?」と静かに声をかけると、「ナル、私死んじゃうのかな…」と、涙ながらに言いました。
女性の月経についてよく理解していなかったベルは、出血に驚いて、混乱してしまったようです。
ナルは苦笑いしながら、「ドアを開けて。何も心配する必要はないよ」と言って、手際よく後始末をし、ココアを飲ませて落ち着かせ、月経というものについて説明しました。
そしてその2年後、ナルはベルを抱きました。
ナルはもともと性欲が薄い方だったということもありますが、ベルをそういう対象として見たことも、見ようとしたこともありませんでした。
しかしちょっとした気まぐれから「破瓜の儀式」のようなつもりで抱き、結果――今までの「守りたい」という気持ちとはまた別の感情を、ベルに抱くようになったのです。
そのきっかけは、初めての行為のとき、ベル自身から控え目に流れ出した鮮血だったか、「ナルの言うことを聞いていれば間違いないものね」と言いながら、苦痛に耐える顔をつたう涙か、どちらだったかはわかりませんし、そのどちらでもないかもしれません。
ナルはベルを、小さな守るべき少女ではなく、1人の女性として「いとおしい」と思いました。
ナルはベルが小さい頃から、毎晩念入りに時間をかけ、彼女の体を隅々まで磨き上げるように洗っていました。
そのベルを抱けば、念入りに手入れをした楽器を奏でるような高揚感を味わえます。
それは、今まで愛以外の動機で大勢の人間と関係を持ってきたナルが初めて覚えた「欲情」でした。
ベルもナルの調教に近い行為によく応え、次第に控え目ながら、自分から「おねだり」のようなしぐさを見せるまでになりました。
***
ナルはロマンチストであると同時にリアリストでもあったので、行為のときは、必ずあらゆる予防のための対策を取っていました。
しかし、わずかなタカとの思い出の断片を、庭に出て懐かしんでいたベルに対し、どうにも押さえられない気持ちが芽生えてしまったようです。
タカとの接触は、あのお茶の時間だけだと思っていたのに、実はベルはタカのことを以前から知っていた?
しかも心のどこかにそれを隠し持っていた?
ベルはナルにとって最高の「おんな」ですが、タカにとってもそうに違いないと考えてしまうほど、ナルは冷静さをなくしていました。
もし2人が惹かれ合うようなことがあったら――それは考えただけで、耐えがたいものでした。
「ベル――君は、君は私だけのものだ…」
大きな寝台の上で、ナルはそう言いながら、ベルの体に大きな手を滑らせ、深い口づけをしました。
それは、いつもならうっとりと体の力を抜き、身を任せるだけのベルが、あまりにも苦しさに抵抗を見せるほどのものでした。
「ベル、かわいいベル――私を拒まないでくれ…」
「ナル、大好きよ。でも、何だかこわい…」
いつもならこの上なく丁寧にしてくれる愛撫もどこか荒々しく感じられ、その息遣いや体温からは性急さが伝わってきました。
ナルが欲望の固まりになって、自分にぶつかってきている――ベルの「こわい」という気持ちを具体的に言語化すれば、そんな感じでしょうか。
「大丈夫。全部私に任せて」
「…やだ…こわい…」
「ベルは私が信じられないの?悲しいな」
「…ごめんなさい…」
ナルが自分の下に組み敷いた小さなベルににっこりと笑いかけたので、ベルは少しだけ気持ちがほどけました。
「ナルが自分にひどいことをするはずがない」という信頼が、恐怖心を振り払ったのでしょう。
「そう、いい子…だ…本当に…かわいい…」
「ナル自身」は初めてベルの「門」を生身でくぐると、すぐに果てました。
そして「苦しいよ、ナル」と、抗議をするように軽く背中をたたかれても、ベルを抱きしめる腕をしばらくほどきませんでした。
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