フラれた彼女のことを忘れようとしたのに、彼女の妹は全て知っていた

第18話 決断

　絵里が挑発的に小川さんに言った。

「というか、あなたは先輩のなんなんですか？」

　その問いに対して、小川さんは目を鋭くしながら反論した。

「あなたこそ名雲さんをただ強引に誘っているだけでしょ？　何もわかってないのはそっちのほうでしょ？」

　二人の間の緊張が高まっていく中、俺はこの場をどうにかしなければと思った。そこで、俺は意を決して二人の間に割って入った。

「やめてよ、二人とも」


　二人の間の緊張は止まらない。特に絵里は怒りが収まらない様子だ。

「私は先輩のことは全て知ってますよ？　ぽっと出のあなたと違って、私の方が先輩を好き。だから先輩は私と……」
　彼女は言った。

　しかし、小川さんは落ち着いて反論する。

「それはあなたの勝手じゃない？問題は名雲君がどう思っているかじゃないの？彼の気持ちを考えたら、あなたの行動と言動は……」

　この夜の公園での緊張した対立は、二人の感情の深さを映し出している。絵里の情熱的な主張と、小川さんの冷静な反論。俺はただその場に立って、二人の言葉に耳を傾けた。

　俺自身の心は混乱していた。絵里の強い感情、小川さんの理論的なアプローチ、そして俺自身の感情。これらすべてが複雑に絡み合い、俺は何をどうすればいいのかわからなくなっていた。



　絵里の怒りはますます激しさを増していた。彼女の目には熱い情熱が宿り、口調は攻撃的になっていた。

「私は先輩のことを全て知っているんです。ぽっと出のあなたとは違って、私は先輩のことを本当に理解しています。だから、先輩は私と……」

　一方、小川さんは冷静さを保ちながら絵里に向かって言った。

「それはあなたの勝手でしょう。問題は名雲君がどう思っているかですよね。彼の気持ちを考えたら、あなたの行動と言動は……」

　二人の間の空気は、一層ピリピリとした緊張感に包まれていた。絵里は感情的に、小川さんは理性的に、それぞれの立場から主張を続けていた。




　公園の静けさの中で、絵里と小川さんの対立はさらにエスカレートしていた。絵里の言葉には怒りと独占欲が混じり合い、彼女の声は感情に満ちあふれていた。

「私が先輩をどれだけ大切に思っているか、あなたには分からないわ！」

　彼女の目は燃えるように俺を見つめていた。

　一方で、小川さんは絵里の感情的な振る舞いに対して冷静に対処していた。

「感情だけではないんですよ？　大切なのは相手の気持ちを尊重すること。あなたは名雲君の気持ちを本当に理解していますか？」

　彼女の声は落ち着いていたが、その中には強い確信が込められていた。

　俺は二人の間で揺れ動いていた。絵里の熱い感情と小川さんの冷静な論理が、俺の心を引き裂いていた。俺は何を感じ、どう動くべきなのか。この対立の中で、俺自身の心が何を望んでいるのかを見極めようとしていた。




　小川さんは冷静に絵里に反論した。

「出会った時期は関係ないでしょう。問題は想う気持ちと二人の相性がどうかです。私からしてみれば、あなたは名雲君と相性がいいとは思えません」

　しかし、絵里は微笑みながら挑発的に言い返した。

「そんなの、まだエッチもしてないから分からないわ」絵

　里は俺の方を見て、舌を出しながら誘惑していた。その姿に、俺は驚きと困惑を感じた。

　小川さんは絵里の言葉に反応して、さらに強く言った。

「そんなの、体だけで心は繋がっていないわ」

　この緊張したやり取りに、俺の心は揺れ動いた。絵里の挑発的な態度と小川さんの冷静な分析。どちらも一理あるが、俺の心は何を望んでいるのだろうか。

　絵里の言葉は、ただの肉体的な関係を求めているように聞こえたが、小川さんの言葉はより深い心の繋がりを大切にしているように感じられた。俺はどちらを求めているのだろう。

「二人とも、もういい」俺は言った。

「俺は、ただの肉体関係じゃなく、心の繋がりを大切にしたい。今はその答えを探してる最中なんだ」

　絵里と小川さんは俺の言葉に驚いたように見えたが、俺の決意は固かった。俺は深く考える時間が必要だと感じていた。

　夜の公園でのこの対立は、俺の心に大きな影響を与えた。俺は自分の心としっかり向き合い、次に進むための答えを探す必要があった。

　絵里は、少し挑発的に言った。

「でも体の相性って大事じゃないですか？　それで別れたってケースもありますし、ねぇ？　先輩？」


　その言葉に、俺の心は痛んだ。事実、俺と亜美の別れの原因の一つには、そういう相性の問題もあった。でも、それは全ての理由ではなかった。心と体、お互いの波長が合わなかったことが、俺たちの別れにつながった。

　絵里が笑顔で「それじゃあ私と……」と言いかけたその瞬間、俺は絵里の方を見て、はっきりと言い放った。

「絵里ちゃん、悪いけどこれからもう俺につきまとわないでくれるかい？」

　絵里は俺の言葉に驚いた表情を見せた。俺の決断は、彼女にとって予想外だったのかもしれない。しかし、俺にはもう決める必要があった。自分の心と真剣に向き合い、前に進むために。

「俺は、心の繋がりを大切にしたいんだ……それはただの肉体的な相性だけじゃない、絵里ちゃん、君のことは悪く思っていない！　でも、俺は自分の気持ちに正直になる必要があるんだ！　だから、もう俺につきまとわないでくれ」

　絵里は何も言わず、ただ俺を見つめていた。俺は深呼吸をして、小川さんに向き合った。

「小川さん、今日はありがとうございました……あなたの言葉が、俺にとってとても大切でした」

　これでいい。よかったんだ。もう俺は……。

「そんなの？　私が認められると思いますか？　先輩？」

　絵里は笑って強引に俺の唇を奪ってきた。