友達も一人がいない、ぼっちでも最強になれます! 多分

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第8話 クラスメイトをみつけたぼっち

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 マグマクレストへの道は、まるで別世界に足を踏み入れたようだ。暑さは想像をはるかに超えていて、溶岩が流れるこの火山は、まるで生きているかのように熱を発している。空気は熱くて、呼吸するたびに焼けるような感覚がする。

 足を踏み入れた瞬間から、僕はこの場所の過酷さをまざまざと感じた。目の前に広がるのは、溶岩がゆっくりと流れる赤々とした景色。空気は熱く、肌を刺すような灼熱感がある。周囲は、溶岩の流れが作り出す煙と灰に覆われていて、呼吸さえも苦しい。

 地面は不安定で、一歩踏み出すごとに岩の表面が熱く、靴底を通じてその熱が伝わってくる。時折、地面からは小さな噴火も見られ、溶岩の粒子が飛び散る。これまでに経験したことのないほどの危険が、僕の身体を包み込んでいる。

 僕は、リリアさんからもらった水筒に何度も手を伸ばす。水はここでの唯一の救いで、喉の渇きを癒すために欠かせない。でも、水の量も限られている。食料も同じで、この環境でどれだけ持つのか不安だ。

 ここでは、水分や食料を補給することはできない。スキルを使ってこの地形の特性を理解し、溶岩の流れや熱風のパターンを把握している。これらの知識が、少しでもこの環境での生存確率を上げてくれることを願う。

 目標は二つ。一つはこの地獄のような場所に潜む魔物、ラヴァゴーレムの位置を突き止めること。もう一つは、クラスメイトたちを見つけ出し、無事な状態で保つことだ。だが、そのどちらもが容易ではない。

 この厳しい環境の中、一人での行動は極めて危険だ。しかし、逆に言えば、これは僕にとって大きなチャンスかもしれない。ここで何かを成し遂げれば、クラスの中での立場も少しは変わるかもしれない。僕は心を奮い立たせ、未知との戦いに向かって歩き出した。


 この火照るような熱気の中、僕はふと立ち止まる。目の前に広がる溶岩の海は、自分の心の内とも似ている。不安と焦燥感が渦巻く中、一つの疑問が頭をよぎる。

「本当に、ここで何かができるのだろうか?」

 自分のコミュニケーション能力の不足が、頭をもたげる。

 僕は自問自答を繰り返す。

「もしクラスメイトたちと遭遇しても、僕は彼らと話すことができるのだろうか? 連携なんて、到底無理な話だ」

 僕はいつものように、自分の不器用さを呪う。人と接するのがこんなにも苦手な自分に、苛立ちさえ感じてしまう。

 自分の心の奥底から湧き上がる不安と緊張感に圧倒されながら、僕はふと思う。

「これが僕に与えられた試練なのかもしれない。だとしたら、これを乗り越えないと……」

 それでも、自分の心の中にある葛藤は容易に消えるものではない。

 漫画の主人公のように、華麗に戦い、人々を救う。そんなシナリオは、現実の僕には適用されない。現実は、僕の心の中で絶えず蠢く恐怖と不安、そして孤独に支配されている。

「……でも、何かを変えないと」

 そう自分に言い聞かせながら、僕は再び足を前に進める。ラヴァゴーレムを倒す、クラスメイトたちを助ける、そして何より、自分の中の弱さに打ち勝つ。それが、今の僕の目標だ。


 ……うわあ、でも、これってマジでつらい状況じゃん。どうしよう、どうすればいいんだろう……。

 コミュ障の僕が、人とまともに話すなんて無理な話だ。万が一、クラスメイトたちと遭遇しても、まともに会話することすらできないし、ましてや連携なんて夢のまた夢。漫画の主人公みたいに、サクサクと問題を解決していくなんて、僕には到底無理な話で……ん?

 ……ちょっと待って。今、あれを見つけたのは……マジか? こんなところに、まさか……。


 遠くから見えるクラスメイトたちの姿。その中に七海さんがいる。でも、彼らの様子は良くない。突然、クラスメイトたちは七海さんを残してどこかへ行ってしまった。一体、何が起こっているんだろう? 心配が頭をよぎる。

 七海さんは岩陰に座り込んで動かない。これは本当にまずい状況だ。僕は、どうすればいいのか。僕も状況が理解できないけど、何もしないわけにはいかない。危険を感じながらも、僕は足を動かす。

「ななみさ……」

 呼びかけようとした瞬間、つまずいてしまう。ぎこちない動作でバランスを崩し、地面に転んでしまった。「どわぁぁぁ!」と声を上げる。これが、僕の限界なのか? いや、違う。立ち上がらなければ。

 痛みを感じながらも、僕は七海さんに近づく。彼女が無事であることを祈りながら、僕は彼女の様子を伺う。これが、僕にできる唯一のことだ。僕は自分の内心の恐怖に打ち勝とうとするが、不安は簡単には消えない。それでも、僕は一歩を踏み出す。


 転んだ自分に苛立ちながらも、七海さんのもとへ近づく。痛みと暑さで頭がくらくらする。

「よかった、溶岩に突っ込まなくて……」

 心の中で安堵のため息をつく。だけど、前に進むことがこんなにも難しいとは思わなかった。

 そこには、七海さんがいる。彼女は汗だくになりながらも、僕に優しい笑顔を向けてくれる。その笑顔に、僕は戸惑いながらも。

「あ、あの、うう……だ、大丈夫ですか?」

 どもりながら尋ねる。コミュ障が全開になってしまっている。

「あはははは、急に声がしたから魔物かと思ったけど、君だったんだね。安心したよ」

 七海さんは優しく答えてくれる。彼女は安心してくれているようだけど、僕の心は全く落ち着いていない。


 僕は七海さんの強いオーラに圧倒されつつも、なんとか話を続けようと努力する。

「い、いや、心配だったんで……たまたま見かけて……」

 声が小さすぎて彼女には聞こえていないようだ。

 しかし、七海さんは僕に背を向けて何かをつぶやく。

「ありがとう、実は他のみんなはちょうど水とか食べ物を取りに行ったんだ……だから、一人で心細かったんだけど、えっと……名前」

 そうだったのか、と僕は思うが、内心では七海さんだけを残すのはどうなのかと疑問を感じていた。

 彼女の話によると、この付近に標的の魔物がいる可能性が高いとのこと。そう聞いて、僕はさらに緊張してしまう。目の前のこの状況が、まるで自分の頭の中で繰り広げられている妄想のようで、現実との区別がつかない。


 そして、七海さんが僕の名前を知らないと気付くと、心の中は複雑な気持ちでいっぱいになる。

 その時、七海さんがにっこりと微笑んで、「そう、空気くん!」と呼んだ。

 僕は驚く。この異世界に来てからの僕の存在感の薄さを、まさにその通りと表現された気がして、胸が痛む。

「君と話したのもこの世界に来てからが初めてだし、私にとって空気みたいな存在だった」

 その言葉に、僕は内心でグサッと感じた。そんなつもりで言ったわけじゃないと慌ててフォローする七海さんの様子に、少し心が痛む。彼女はそんな風に人を傷つけるような人だったのだろうか?

 でも、それは事実だった。自分はクラスの中で空気のような存在。僕の名前に「一樹」という一文字が入っていることに思いを馳せ、苦笑いを浮かべる。「ふざけるな」という思いが心の中で湧き上がる。

 しかし、その時。
 地響きが突然起きた。

 僕の心臓は一瞬で止まるかと思うほどに跳ね上がった。

「こ、これはまさか……」と思いつつも、こんな時にイベントが起こるなんて、全くタイミングが悪すぎる。そんな僕の焦りとは裏腹に、七海さんは勇敢にもレイピアを取り出し、準備を整える。

 そして、地面から現れたのは、まさに僕たちが探していた標的の魔物、ラヴァゴーレムだ。その巨大な姿に、僕はただただ驚愕する。怖いし、その迫力に圧倒される。

 だが、一番の問題は……僕がゴーレムと目を合わせられないことだった。まさか魔物に対してもコミュ障を発揮するとは、僕も思わなかった。

「ど、どうすればいいんだろう……」と、心の中で慌てる僕。

 七海さんがしっかりと前に立つ中、僕はどう動けばいいのか、何をすればいいのか、まるでわからない。次回、果たして僕はどうなってしまうのか……。自分でも先の展開が読めず、ただただ不安に包まれる一樹だった。

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