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第一章

僕のスキル 後編

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 僕がそう言うと、セドゥが申し訳なさそうに

「ごめん。さっきも言ったけど、ここから出るのは無理だと思うの」

「セドゥ、とりあえず知ってる情報だけ全て話して――」

「しっ!誰か来る。」

 巡回中だろうか、二人の兵士が怠そうに話しながら通り過ぎてゆく。

「全く、何人引っ捉えれば気が済むんだか……」

「疑わしきは罰せ、て言われてもあの疑心暗鬼っぷりでは……」

 試してみようかな……

「セドゥ、スキルの使い方は?」

「つ、使い方?」

「うん」

「上手く言えないけど、自分のスキルで何をしたいのか、はっきりと思い浮かべる……かな」

「ありがと」

 そういうと宇井は、すごい勢いで額を鉄格子に叩きつけた。

「ウイ?!」

 セドゥが顔を真っ青にしながら宇井の方へ駆け寄っていく。
 宇井の額からは血が滴り、額を叩きつけた音が牢獄中に響き渡る。

「おい!なんの音だ!」

 額を鉄格子に叩きつけた音に反応した兵士が宇井達の方に戻ってくる。

「もう……もうやだ……」

 宇井が、蚊の鳴くような声で囁く。
その様子にセドゥも戸惑いながら怯えた顔をする。

「ウ、ウイ?」

「もうやだ!ここから出してくれ!!死にたくない、嫌だ嫌だ嫌だ、頼む!何でもするから!な?そうだ!!お前らいくら貰ってる?それより高い金でお前たちを雇いたい!!そうだ!そうしよう!欲しいだけ金を言え!くれてやるよ」

 今まで様子が嘘だったように、恐ろしい早さで宇井がまくしたてる。







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