婚姻ですか?そうですか。承りましたわ。

みゅげ

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婚姻ですか。そうですか。承りますわ。

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 「──婚姻、ですか」

 「あぁ、急だが一月後だ」

 「どなたのですの?」
 
 「何を言っているんだ?  レイチェル、君のだよ」

 「わたくしのですか?」


 わたくし、レイチェル・シラーと申します。
 アルストロメリア国 シラー侯爵家当主 アブラハムの娘でございます。

 珍しく早い時間に邸に戻って来た父に呼び出されましたら、婚姻が決まったと・・・・・・。
 わたくし、十五になりますのに婚約者もいなかったのですが・・・・・・。

 あら? 

 わたくしが知らなかっただけかしら。

 どうでもいいわね。
 わたくしの気持ちなんて──。


 「承りましたわ 」





 
 「チェル! チェル! 起きなさい!」

 わたくし、朝は小鳥の鳴き声で目を覚ましたいと思っておりますの──なんて事は思いませんが、少し、夢の中に戻りたいですわ。

 何故、お兄様は妹の部屋に朝から突撃して来たのでしょう?

 「お兄様・・・・・・。 年頃の妹の部屋に朝から許可も得ずにいらっしゃるなんて」
 
 思わず眉間に皺を寄せて兄を見上げてしまう。
 わたくしと同じ勿忘草色の瞳が大きく開き、気まずそうにわたくしから目をそらすのですが・・・。

 「そ、れは、悪かった。  あ、こらっ! せめて寝台から起き上がりなさい」

 お兄様が掛け布団を捲ろうと手を伸ばしてきます。

 「お兄様!  わたくし夜着ですのよ。  恥ずかしくて寝台から出たくありませんわ」

 「何処ぞの令嬢のように  しおらしい事を言ってもチェルは気にしないだろう?」

 紳士の仮面は何方へ置いて来たのでしょう?  そして先程の気まずさは何処へ逃げたのでしょうか? 今日のお兄様は何だか執拗そうですわ。

 「わたくし、猫や小鳥じゃありませんわ──お兄様が部屋から出て下さらないと、あ、居座る気ですのね」

 本当に紳士の仮面は何処へ?わたくしの寝台の縁にお兄様は腰掛けてしまいましたわ。
 

 「お兄様? 朝早くから何の御用ですの?」
 くだらない事でしたら、直ぐにでも部屋から叩き、いえ、コホン退出していただかなくては。

 「何の御用? チェル本気で言ってる? 一月後に嫁ぐそうじゃないか! しかもイフェイオン公爵家のジェラルド殿に! 婚姻後はニゲラ伯爵夫人になるだって? 父上の話ではチェルは婚姻相手の確認もせずに受けたそうじゃないか! そんな妹が心配で朝から確認に来たんだ!」

 わぁ、お兄様、長文を一息で話されました。
わたくしも混乱しております。

 「まぁ、わたくしの婚姻相手はイフェイオン家の方でしたのね」

 「っ!・・・・・・やっぱり! 相手も把握していなかったか」


 あらあら、わたくしの発言を訊いたお兄様の瞳がそんなに大きくなりますの?って位に大きく見開かれ、此奴信じられないとばかりに大きく息をはきながら頭を抱えられました。
そんなにしていたら綺麗に整えられている髪型が乱れますわよ?それにしても器用ですわね、お兄様・・・・・・。
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