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猛暑の一日
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「こんな暑い日にここに来るなんて白泉も物好きだな」
「先輩に言われる筋合いはないですね。そもそも呼んだの、先輩じゃないですか?」
夏。それもテレビで猛暑だって言われてる日に屋上に来るわたし達はお互いどうかしてるんだと思う。蝉の鳴き声が屋外というのもあってよく聞こえる。
普段あぐらをかいてる先輩も照りつける日に焼かれた地べた座りたくないのか今日は立っていた。
これでもまだ日陰に居るから耐えれてる方だけど、日向の方に立ってたら二人揃って倒れてたかもしれない。
「……確かに返す言葉がない。すまん」
困ったように苦笑いする先輩。
「それで今日持ってきた本ですけど──」
「ああ。僕はこれ」
最近わたし達はお互いの好きな本を貸し合うということにハマっている。
初めは先輩もわたしも軽い気持ちだった。
でも不思議と先輩との持ってくる本はわたしの趣味に合うものばかり。それは先輩も同じようで気づけば二人の習慣。
先輩から渡された本は最近アニメにもなって有名な作品だった。超能力と青春の融合……をキャッチコピーにCMは見た覚えがある。こういうジャンルはきっかけが無いと読まないから嬉しい。
「ライトノベルですか。わたし、あんまり読んだことないです」
「こっちは童話かぁ。僕もあまり読んだことないジャンルだ」
先輩の方も最近は楽しいと思ってくれてるのかよく笑顔を見せてくれるようになった気がする。
「ここで読みます?」
わたしが地べたに視線を送ると先輩は嫌そうに首を横に振る。やっぱり座りたくないんだ。
「いや、こんなに暑いと集中して読めない。図書室にでも場所を移そうと思う」
「じゃあ何でわざわざこの暑い中屋上に来させたんですか。連絡先は交換してるんですし、一言くれれば良かったと思うんですけど」
……なんでそこで黙るんですかね。
無言で先輩を見つめてるとバツが悪そうに顔を伏せた。
まさか、思いつかなかった。なんて言いませんよね?
「確かにそれはそうすれば良かったか……思いつかなかった」
「先輩。バカなんですか?」
「先輩にそういう口の利き方は良くないぞ。後輩」
はぁ……思わずため息が出る。話を逸らそうとしないで下さい。それで誤魔化せると思ったんですか?
「ならもっと先輩らしい振る舞いをしてください。私のクラスメイトより頼りないですよ。先輩」
「……ほんと、すまん」
先輩としての自覚、持ってください。
「先輩に言われる筋合いはないですね。そもそも呼んだの、先輩じゃないですか?」
夏。それもテレビで猛暑だって言われてる日に屋上に来るわたし達はお互いどうかしてるんだと思う。蝉の鳴き声が屋外というのもあってよく聞こえる。
普段あぐらをかいてる先輩も照りつける日に焼かれた地べた座りたくないのか今日は立っていた。
これでもまだ日陰に居るから耐えれてる方だけど、日向の方に立ってたら二人揃って倒れてたかもしれない。
「……確かに返す言葉がない。すまん」
困ったように苦笑いする先輩。
「それで今日持ってきた本ですけど──」
「ああ。僕はこれ」
最近わたし達はお互いの好きな本を貸し合うということにハマっている。
初めは先輩もわたしも軽い気持ちだった。
でも不思議と先輩との持ってくる本はわたしの趣味に合うものばかり。それは先輩も同じようで気づけば二人の習慣。
先輩から渡された本は最近アニメにもなって有名な作品だった。超能力と青春の融合……をキャッチコピーにCMは見た覚えがある。こういうジャンルはきっかけが無いと読まないから嬉しい。
「ライトノベルですか。わたし、あんまり読んだことないです」
「こっちは童話かぁ。僕もあまり読んだことないジャンルだ」
先輩の方も最近は楽しいと思ってくれてるのかよく笑顔を見せてくれるようになった気がする。
「ここで読みます?」
わたしが地べたに視線を送ると先輩は嫌そうに首を横に振る。やっぱり座りたくないんだ。
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