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間奏曲
lamentazione(8)
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食堂へと続く廊下に出ると数発の乾いた銃声と女の悲鳴が聞こえる。
「うるせぇなぁ、どいつもこいつも。ゴミのくせにわめきやがる」
苛立つリッキーに男のしゃがれた声が何かを言いかけたが続けざまの銃声にそれは途切れ、物が倒れ散乱する音に、女だけでなく男の悲鳴も混じる。
「お前ら、そのへんのゴミを黙らせろ。気にするこたぁねぇよ。こいつら殺したところで警察も相手にしねぇ。それどころか役人どもが片付けるのにお手上げのクズをこうして掃除してやってんだ。感謝されてもおかしくねぇ」
「ははっ ちがいないね。ゴミは生きてると面倒だから。死体になれば埋めるだけだしほっといたってそのうち犬や鼠がきれいにしてくれる」
待て、リッキー、デニス、殺すな……ここにはなんにもないんだ……ここの連中、なんにもしてねぇよ、お前らになんにもしねぇよ。
グレンは繰り返し唱えながら食堂へと急いだ。
「おい、ババァ。昨日、ここに荷物が届いたろ?それはどこにあるんだ」
「荷物なんて……昨日届いたのはここのみんなでわける食料です。スープやパンです」
「んなこたぁ聞いてねぇんだよ!荷物がどこにあるかって聞いてんだよ!畜生、どいつもこいつもまともに話しすらできねぇ!舐めてんのか?!」
女は銃口を向けられ恐怖から声を出そうにも喉は詰まり、壊れた笛のような音がした。足元によりすがる息子に手を指し伸ばそうにも震えが止まらない。息子は6歳になろうかと言う年齢になってもほとんど言葉を話せず今起こっている事態を理解するどころか恐怖すら感ずることも出来ない子供だった。笑いながら母の足にしがみつき、いつものようになでてもらおうと顔をこすりつける。
「みてこのガキ、この状況で笑ってるよ」
「バカ女のガキだからな、イカレてんのは当然だろ。まったく世の中じゃゲーターズなんてものが生まれてるんだ。こいつらみたいな出来損ないのクズは、この先、生きてく場所なんかありゃしねぇ」
リッキーは震える母親の頭を銃口でつつく。
「荷物のありかは喋れねぇってんだな。そうか……だったらせめてこのガキをこっから追っ払え。自由にしてやるから、あっち行ってろって」
母親は言われたとおり、足にしがみつく息子の手をほどくと「外にお菓子があるから食べておいで」と囁いた。息子は不思議そうな顔をして母の顔を見つめ「お菓子だよ、お菓子。甘いお菓子、好きなだけ食べていいから外へ行って」と何度か繰りかえされてようやく理解したのか、食堂の出入り口を目指して嬉しそうにニコニコしながら歩き始めた。
グレンが食堂のすぐそばにたどりつくとなかから小さな手が廊下へと伸びるのが見えた。妹の手より小さいそれをつかもうとした瞬間、銃声とともにその手は床へと落ちた。
子供は後ろから肺を撃ち抜かれ口から血液と泡を吹き出す。なにが身の上に起きたのかもわからずもがき失血からガクガクと痙攣し始めたがそれもすぐに動きを止めた。驚いた母親が慌てて駆け寄る。
「人間様と話しも出来ないよう虫ケラの母親じゃ子供が可哀想だろ。出来損ないのクズ、虫ケラは生きてくのがさぞかし大変だろうからラクにしてやったんだよ、慈悲ってやつだ。ここ、教会だろ?なあ?」
なにがそんなにおかしいのか、自分の台詞に酔ったようにアーメンと十字を切っては笑うリッキーにつられ、デニスも周りの連中も口々にアーメンと言ってはゲラゲラと笑う。嘲笑のなか、母親の嗚咽が混じるとリッキーは子供に抱きつき泣き崩れた母親に数発の弾を撃ち込んだ。
「うるせぇんだよ……」
リッキーはぴたりと笑うことをやめ「いくぞ」と食堂の奥へと去って行った。
「うるせぇなぁ、どいつもこいつも。ゴミのくせにわめきやがる」
苛立つリッキーに男のしゃがれた声が何かを言いかけたが続けざまの銃声にそれは途切れ、物が倒れ散乱する音に、女だけでなく男の悲鳴も混じる。
「お前ら、そのへんのゴミを黙らせろ。気にするこたぁねぇよ。こいつら殺したところで警察も相手にしねぇ。それどころか役人どもが片付けるのにお手上げのクズをこうして掃除してやってんだ。感謝されてもおかしくねぇ」
「ははっ ちがいないね。ゴミは生きてると面倒だから。死体になれば埋めるだけだしほっといたってそのうち犬や鼠がきれいにしてくれる」
待て、リッキー、デニス、殺すな……ここにはなんにもないんだ……ここの連中、なんにもしてねぇよ、お前らになんにもしねぇよ。
グレンは繰り返し唱えながら食堂へと急いだ。
「おい、ババァ。昨日、ここに荷物が届いたろ?それはどこにあるんだ」
「荷物なんて……昨日届いたのはここのみんなでわける食料です。スープやパンです」
「んなこたぁ聞いてねぇんだよ!荷物がどこにあるかって聞いてんだよ!畜生、どいつもこいつもまともに話しすらできねぇ!舐めてんのか?!」
女は銃口を向けられ恐怖から声を出そうにも喉は詰まり、壊れた笛のような音がした。足元によりすがる息子に手を指し伸ばそうにも震えが止まらない。息子は6歳になろうかと言う年齢になってもほとんど言葉を話せず今起こっている事態を理解するどころか恐怖すら感ずることも出来ない子供だった。笑いながら母の足にしがみつき、いつものようになでてもらおうと顔をこすりつける。
「みてこのガキ、この状況で笑ってるよ」
「バカ女のガキだからな、イカレてんのは当然だろ。まったく世の中じゃゲーターズなんてものが生まれてるんだ。こいつらみたいな出来損ないのクズは、この先、生きてく場所なんかありゃしねぇ」
リッキーは震える母親の頭を銃口でつつく。
「荷物のありかは喋れねぇってんだな。そうか……だったらせめてこのガキをこっから追っ払え。自由にしてやるから、あっち行ってろって」
母親は言われたとおり、足にしがみつく息子の手をほどくと「外にお菓子があるから食べておいで」と囁いた。息子は不思議そうな顔をして母の顔を見つめ「お菓子だよ、お菓子。甘いお菓子、好きなだけ食べていいから外へ行って」と何度か繰りかえされてようやく理解したのか、食堂の出入り口を目指して嬉しそうにニコニコしながら歩き始めた。
グレンが食堂のすぐそばにたどりつくとなかから小さな手が廊下へと伸びるのが見えた。妹の手より小さいそれをつかもうとした瞬間、銃声とともにその手は床へと落ちた。
子供は後ろから肺を撃ち抜かれ口から血液と泡を吹き出す。なにが身の上に起きたのかもわからずもがき失血からガクガクと痙攣し始めたがそれもすぐに動きを止めた。驚いた母親が慌てて駆け寄る。
「人間様と話しも出来ないよう虫ケラの母親じゃ子供が可哀想だろ。出来損ないのクズ、虫ケラは生きてくのがさぞかし大変だろうからラクにしてやったんだよ、慈悲ってやつだ。ここ、教会だろ?なあ?」
なにがそんなにおかしいのか、自分の台詞に酔ったようにアーメンと十字を切っては笑うリッキーにつられ、デニスも周りの連中も口々にアーメンと言ってはゲラゲラと笑う。嘲笑のなか、母親の嗚咽が混じるとリッキーは子供に抱きつき泣き崩れた母親に数発の弾を撃ち込んだ。
「うるせぇんだよ……」
リッキーはぴたりと笑うことをやめ「いくぞ」と食堂の奥へと去って行った。
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