34 / 111
ボロ竿だろうが釣竿に変わりなし
釣具を作るために3
しおりを挟む
竹林に入ると、5分もしないうちに敵が現れた。
名前は『子いのしし』。1体のみだったので、囲んで攻撃したらすぐ倒せた。
「ナイーン! イジメみたいじゃないか!」
「グスタフさん落ち着いて、変なドイツ語出てます」
「僕ら紳士はこんなことをしたいわけじゃない!」
「ネズミを散々倒した人のセリフじゃないですよ」
変なスイッチが入っちゃったな。確かに今のは簡単に倒せたけど、他のゲームの傾向からすると、イノシシ系は結構ヤバい。何がと言うと……。
「アウチ! やっぱりイジメじゃないです!」
「油断するから……はい。包帯です」
「ありがとうございます」
重装備のグスタフさんですら一撃でHP1割を持っていかれた。軽装の俺とかテッケンさんだったら、倍は食らってるかもしれないな。やっぱり侮れない『子いのしし』。
ちょっと気になるんだけど、なんで『うりぼう』にしないのかね? 運営も翻訳サボりすぎじゃないか? これも報告案件だな。
「テッケンさんはこの名前どう思います?」
振り返るとテッケンさんがいない。どこ行ったんだ?
「プフィー! ハッチさんあそこ!」
「え? えぇ!?」
跪いた状態で、テッケンさんの頭が埋まっていた。
「どういう状況よ!? とりあえず出さないと」
「掘りますよー!」
グスタフさんにスコップを投げ渡し、それを使って2人で掘り起こすと、テッケンさんが安堵する。
「助かったー。 急に髪を引っ張られたと思ったら埋まっちゃってさ」
「これはトラップ?」
「いや、鳴き声が聞こえたからモンスターじゃないか?」
すると穴から大きめのモグラが顔を出してきた。
『いたずらモグラ』
「ジッジッジッジッジ!」
馬鹿にしたような声で、こっちを指している。
「イラつくやつだ!」
テッケンさんの剣も、空を斬るだけ。
その後も攻撃を続けたが、結局倒すまでに30分も掛かってしまった。穴にすぐ隠れるし、穴も4箇所も出来て、なかなか攻撃が当たらない。運良く、絡繰スリングの玉が当たったので、穴からはじき出すことが出来た。地上に出してしまうとしばらく動けなかったので、あとはタコ殴り。
「アルデンさんの仲間と行けって忠告、聞いておいてよかった」
「本当だな。まだ2種しか出てないのに、こんなに苦労してる」
3人の意見は、しばらく通って、戦闘スキルも上げた方が良さそうと一致した。とりあえず、近場のタケノコ掘りを開始。テッケンさんにもスコップを譲り、一緒に掘ってもらう。俺とグスタフさんの分で、合計10本も必要なので、それなりに大変だ。
タケノコ1本につき、敵1体というペース。竹も取りたいので、最終的にどれだけ戦ったか……。
「タケノコ完了! グスタフさんも良いかな?」
「こっちも終わりましたよ」
竹は4本ずつと少なめだが、長さがあるので今回は十分だろう。
モンスターの剥ぎ取り品についてだけど、いのしし肉と皮は均等に配分できた。
モグラは微レアみたいで、あの後1体だけしか出てこなかった。剥ぎ取ったモグラの爪と毛皮は何かに使えそう。
「生産持ちの2人にあげるよ。その代わり良いの出来たら優先してくれ」
テッケンさんに譲ってもらったので、有効な使い道を探すか。
帰り道も『子いのしし』を何度か倒し、やっとこ入り口に辿り着いた。もう帰ろうかと思ったんだけど、ニョッキリ生えている3つのタケノコが気になる。
「ハッチさんがやりたいなら良いですよ」
2人に許可を貰ったので、掘っていくと3本目を掘ってる最中に、スコップの耐久が残り少ないと気づく。だけど、もう少しで採れそうなので、そのまま掘ってしまった。
掘り終わったと同時に鳴った音は、何度も工房で聞いた。甲高い金属音で、どういう状況かすぐにわかる。グスタフさんも知っている音だからか、すぐに振り向く。
「ハッチさん!」
「お、おおおおぉぉぉぉ! 折れたー!」
一番性能の良いものを持ってきたのに、それを折ってしまった。2人に渡した物も、修理して使う予定なので、回収出来ない。
《アイテム破壊回数が一定数を超えました。アーツ【装備破壊】を覚えました。》
「え? 装備破壊?」
「んん!? 新スキルですか?」
「アーツ【装備破壊】を覚えました」
「おぉぉぉ!」「マジか!?」
2人のテンションが高い。どうやって覚えるか教えろと言うので、前述されてた内容を伝える。
グスタフさんは生産意欲が沸いたようだが、スキルが無いテッケンさんは難しい顔になった。
「やっぱり生産は必要かぁ。雑貨も武具も頼んだ方が良いしな」
「うーん。木工はお勧め出来ないし」
「やめてくれよ! ドワーフ村でアンタッチャブルなのあそこだけだぞ?」
他にも薬屋も危険だと思うが、まぁ木工工房が一番か。
あとは、……あそこはどうかな?
「テッケンさん!」
「ん? どうかしたか?」
「皮加工はどうですか!? 夜INも多いから、結構合ってると思うんですよ」
「そうか。皮加工は弟子もいなかったな」
そう。事前情報で、皮加工店は夜開業だとわかっていたので、弟子が付かなかった。やりたい奴は、最初から人族や獣人族になったと聞いている。
「だから、これは渡しますね」
預かった皮類は全部渡すし、グスタフさんも全部渡していた。
「うん。これで弟子入り頼んでみるよ……のじゃ」
もうずっとやってなかったのに、思い出したようにお爺さんぽくするの止めなよ。
名前は『子いのしし』。1体のみだったので、囲んで攻撃したらすぐ倒せた。
「ナイーン! イジメみたいじゃないか!」
「グスタフさん落ち着いて、変なドイツ語出てます」
「僕ら紳士はこんなことをしたいわけじゃない!」
「ネズミを散々倒した人のセリフじゃないですよ」
変なスイッチが入っちゃったな。確かに今のは簡単に倒せたけど、他のゲームの傾向からすると、イノシシ系は結構ヤバい。何がと言うと……。
「アウチ! やっぱりイジメじゃないです!」
「油断するから……はい。包帯です」
「ありがとうございます」
重装備のグスタフさんですら一撃でHP1割を持っていかれた。軽装の俺とかテッケンさんだったら、倍は食らってるかもしれないな。やっぱり侮れない『子いのしし』。
ちょっと気になるんだけど、なんで『うりぼう』にしないのかね? 運営も翻訳サボりすぎじゃないか? これも報告案件だな。
「テッケンさんはこの名前どう思います?」
振り返るとテッケンさんがいない。どこ行ったんだ?
「プフィー! ハッチさんあそこ!」
「え? えぇ!?」
跪いた状態で、テッケンさんの頭が埋まっていた。
「どういう状況よ!? とりあえず出さないと」
「掘りますよー!」
グスタフさんにスコップを投げ渡し、それを使って2人で掘り起こすと、テッケンさんが安堵する。
「助かったー。 急に髪を引っ張られたと思ったら埋まっちゃってさ」
「これはトラップ?」
「いや、鳴き声が聞こえたからモンスターじゃないか?」
すると穴から大きめのモグラが顔を出してきた。
『いたずらモグラ』
「ジッジッジッジッジ!」
馬鹿にしたような声で、こっちを指している。
「イラつくやつだ!」
テッケンさんの剣も、空を斬るだけ。
その後も攻撃を続けたが、結局倒すまでに30分も掛かってしまった。穴にすぐ隠れるし、穴も4箇所も出来て、なかなか攻撃が当たらない。運良く、絡繰スリングの玉が当たったので、穴からはじき出すことが出来た。地上に出してしまうとしばらく動けなかったので、あとはタコ殴り。
「アルデンさんの仲間と行けって忠告、聞いておいてよかった」
「本当だな。まだ2種しか出てないのに、こんなに苦労してる」
3人の意見は、しばらく通って、戦闘スキルも上げた方が良さそうと一致した。とりあえず、近場のタケノコ掘りを開始。テッケンさんにもスコップを譲り、一緒に掘ってもらう。俺とグスタフさんの分で、合計10本も必要なので、それなりに大変だ。
タケノコ1本につき、敵1体というペース。竹も取りたいので、最終的にどれだけ戦ったか……。
「タケノコ完了! グスタフさんも良いかな?」
「こっちも終わりましたよ」
竹は4本ずつと少なめだが、長さがあるので今回は十分だろう。
モンスターの剥ぎ取り品についてだけど、いのしし肉と皮は均等に配分できた。
モグラは微レアみたいで、あの後1体だけしか出てこなかった。剥ぎ取ったモグラの爪と毛皮は何かに使えそう。
「生産持ちの2人にあげるよ。その代わり良いの出来たら優先してくれ」
テッケンさんに譲ってもらったので、有効な使い道を探すか。
帰り道も『子いのしし』を何度か倒し、やっとこ入り口に辿り着いた。もう帰ろうかと思ったんだけど、ニョッキリ生えている3つのタケノコが気になる。
「ハッチさんがやりたいなら良いですよ」
2人に許可を貰ったので、掘っていくと3本目を掘ってる最中に、スコップの耐久が残り少ないと気づく。だけど、もう少しで採れそうなので、そのまま掘ってしまった。
掘り終わったと同時に鳴った音は、何度も工房で聞いた。甲高い金属音で、どういう状況かすぐにわかる。グスタフさんも知っている音だからか、すぐに振り向く。
「ハッチさん!」
「お、おおおおぉぉぉぉ! 折れたー!」
一番性能の良いものを持ってきたのに、それを折ってしまった。2人に渡した物も、修理して使う予定なので、回収出来ない。
《アイテム破壊回数が一定数を超えました。アーツ【装備破壊】を覚えました。》
「え? 装備破壊?」
「んん!? 新スキルですか?」
「アーツ【装備破壊】を覚えました」
「おぉぉぉ!」「マジか!?」
2人のテンションが高い。どうやって覚えるか教えろと言うので、前述されてた内容を伝える。
グスタフさんは生産意欲が沸いたようだが、スキルが無いテッケンさんは難しい顔になった。
「やっぱり生産は必要かぁ。雑貨も武具も頼んだ方が良いしな」
「うーん。木工はお勧め出来ないし」
「やめてくれよ! ドワーフ村でアンタッチャブルなのあそこだけだぞ?」
他にも薬屋も危険だと思うが、まぁ木工工房が一番か。
あとは、……あそこはどうかな?
「テッケンさん!」
「ん? どうかしたか?」
「皮加工はどうですか!? 夜INも多いから、結構合ってると思うんですよ」
「そうか。皮加工は弟子もいなかったな」
そう。事前情報で、皮加工店は夜開業だとわかっていたので、弟子が付かなかった。やりたい奴は、最初から人族や獣人族になったと聞いている。
「だから、これは渡しますね」
預かった皮類は全部渡すし、グスタフさんも全部渡していた。
「うん。これで弟子入り頼んでみるよ……のじゃ」
もうずっとやってなかったのに、思い出したようにお爺さんぽくするの止めなよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる