ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

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ボロ竿だろうが釣竿に変わりなし

オトシン襲来

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 窓の外を眺めると、朝日が昇り始めている。
 この家からも『寝テラ』の広告が表示され続け、正直そろそろ別のに変えても良いんじゃ無いかと、そんな風に思い始めていた。

 朝の作業を終え、いざログイン!

 屋根裏から降りてくると、弟子の1人と遭遇。

「ハッチさん! ニュース見ました?」

「いや、今日は見てないけど?」

「ちょっとこっちに!」

 腕を引かれて、雑貨屋前に行くと、裁縫と鍛冶の弟子達でごった返していた。

「この集まりはどうしたの?」

「ちょうど良いところに!」

 ぶち猫さんに手招きされて近づくと、ホログラフにニュースが表示されていた。

 _______________

「その企業参入で何か変わったりするのですか?」

「内容の変化はありませんが、イベントの開催や専用アイテムが出来るかもしれません」

「活性化されるのは良いことですが、基準は厳しそうですね」

「その点は仕方ないと思っていただきたいです。各国調整のもと娯楽系が先に認可されるでしょう」
 _______________


「ハッチさんが来る前もやってたんですけど、新しく企業クエストが導入されると言ってました」

「全然わからないんだけど、……どういうこと?」

「参入する企業が、独自に作ったクエストを私たちが受けられるんです。詳細はわかりませんが、個別に依頼することもあるようです。配信で人気のある人とかは、特に選ばれやすいと思っています」

 それなら俺はあまり関係無いな。
 そんなことより、新しいスコップをなんとかしないと……。

「えええ。反応悪いなぁ」

「やることいっぱいあるんだよー。スコップ直したり、スコップ作ったり、スコップで掘ったり」

「スコップだけじゃないですか!?」

 今、俺の頭はスコップしか無い。いや、10%くらいは釣りか。
 そそくさと工房へ向かい、1人で鍛冶を始める。

 スコップ2本の修理は問題なし。材料も少なめで短時間で終わった。
 問題は作成だ。
 材料は1回分だけで、少し心許《こころもと》ない。

「恵比寿さま頼みます! 火精もよろしく!」

 炉の奥で赤い小人が敬礼している。よし。
 トンテントンテン叩きつつ調整していくが、途中でランクダウンするのがわかってしまった。スキルレベルが上がると、物によっては、途中でも完成度がわかる。
 今回のは駄作。
【鉄のスコップ--】

「くぅぅぅ! やっちまった! ……掘りに行くかぁ」

 すれ違う弟弟子達には、全員から声を掛けられ、大体同じ言葉。

「ハッチさんダメでした? これからドワ活ですか?」

 同じ生産をやってるから出る言葉。少しでも挑戦するアイテムは、8割失敗する前提。

「ドワ活行ってきまー」

「待て!」

「へ?」

 親方に止められてしまった。

「お前、今日何の日か忘れてねーか?」

 はて、何かあっただろうか?

「今日はワタシの弟子が来るんでしょ?」

「リリーさんの……? あぁ! オトシンが来るのか」

 ログを確認すると、あと10分程で到着になっている。

「しまった。ドワ活は後にします」

 村の入り口で到着を待っていると、大きな人が見えてきた。顔にペイントしてあって凛々しく、髪はサイドアップ。ボロい皮鎧を着込み、木の槍を構えている。思わず言葉が溢れてしまった。

「あんた。どこのアマゾネスだよ」

 遠くにいて良かった。あの人こういうの言うと怒るからな。
 近づいてくると、声が届くようになる。

「オトシンさーん!」

「ハッチか!? アマゾネスじゃねーぞ!」

 聞こえてたのか!?

「嫌だな。冗談ですよー」

「まぁ、招待してもらったからな。今回は不問にしてやる。それより案内してくれ」

「はい。こっちですよー」

 到着まで、道中の話を聞くと、乗り物とペットのことを聞けた。彼女が乗っていた毛の長い牛は、移動用の動物らしく、俺の招待を許可した瞬間現れたらしい。
 今隣にいる小さな狼は、人族の中で人気の従魔で、リトルウルフ(メス)の『クルス』ちゃん。
 かわいいなと思って撫でようとしたら逃げられた。

「ははは! 結構触らせてくれるんだけど、珍しいな」

 俺には『ヤマト』がいるから良いもんね……。



「おぉ! ここがそうか! 配信で見てたけど、実物だと小ぢんまりとしているな」

「そっか……。ドワーフサイズだから若干低めなのかな」

 ポックルとドワーフ系しかいなかったから、気づかなかったな。だとすると、アイテムの大きさも、人間サイズに調整したほうが良いのか?

「たのもー!」

「あらあら。元気な子が来たわね」

「リリーさんですか!? 弟子になりたくて来ました!」

 オトシンさんは、リリーさんと弟子達に快く受け入れられ、早速中に入って行った。

「さて、俺の役目もこれまでで、ドワ活にでも……」

「待て!」

 まさかの2度目。何かやることあったかな?

「お前の招待なんだ。最低限のアイテム作ってやれ」

《招待クエスト:鉄のナイフ・鉄のハサミ・鉄の目打ちを作成しろ が開始されました》

「こんなに!」

「報酬はこれだ……」
 ピラリ。

「そ、それは。オリジナルレシピ(針)! やらせてください!」

 オトシンさんありがとー!
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