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ボロ竿だろうが釣竿に変わりなし
オトシン洗礼を受ける
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「お前のせいで酷い目に会ったわ」
「何度も言ってますけど、あれは不可抗力ですって。それより……」
カバンを漁って、作ったものを取り出す。
《プレイヤー『オトシン』に【鉄のナイフ】【鉄のハサミ】【鉄の目打ち】を譲渡しますか?》
YES←
「おぉ!? 良いのか?」
「これもクエストの一貫なので、もらってください」
《譲渡が完了しました。》
《招待クエストが完了しました。》
《【オリジナルレシピ(針)】を入手しました。》
「よっしゃぁ! これで針が作れる!」
「針だとぉ! おい! アタシにも作ってくれるんだよな?」
「まぁ、慌てずに。今俺が作れるのが、針です。さらに竹林で見つけた竹が加工出来れば?」
「あとは糸だ……。でかしたぞ! 糸はアタシの分野だな!」
「オトシンさん。スタートは近いですよ!」
ふっふっふ。釣りの夜明けも近いですな。
「それで? いつ流通に出すんだ?」
「ん?」
「だから流通だよ」
この人は何を言ってるんだ?
誰かわかる?
「君達わかる?」
他の弟子達に聞いてみるが、誰1人としてわからない。
「まさか、ドワーフ村には流通無いのか? 人族だと、コマンドに流通販売ってのがあるんだけどさ。端っこの方に」
端っこか、……あった。
「あった」
「私は無い」「俺も無いよ」「僕も」
他の弟子達は、みんな持ってない。
俺との違いと言えば、成人か?
「成人しないと出て来ないとか?」
「人族は未成年なんて無かったからな。……そういうこともあるのかな?」
ふと思ったが、ポックル族は違くないか?
そっちを見ると、気まずそうな顔をしている。
「す、すみません。みんな知ってて使ってないものだと思ってました」
その後も、「うん」「はい」とポックル達が話出す。暗黙のルールとして思われていたようだ。
「ドワーフ産のアイテムが出回ってない理由がようやくわかった」
納得顔のオトシンさん。
「でも、そんなに困らないでしょ? 他の場所でも作ってるんだし」
「そんなわけあるか! 言っておくが、お前の鍛冶レベルは日本最高クラスだぞ」
そんな馬鹿な!こんなに失敗して、こんなに中途半端なのに……。
「そんなわけないよ! みんなもそう思うだろ!?」
後ろを向くと、気まずそうに首を左右へ振っている。
マジかよ!?
弟子達の話だと、俺が劣化鉄製品を作ってる時は、人族だと石器時代だったらしい。人族の配信者が、自信満々に石を削っている姿を見ていたから、間違いないと。
「なんてこった……。劣化しか予備無いけど、ハンマーだけでも流しておくか。」
「そうしてくれ」
だが、今は工房使えないしな。
とりあえず、スコップ出来たと2人に連絡入れておこう。
送信っと。
「オトシンさんどうします? やりたいこととか」
「木工士にも作ってもらいたい物があるんだよな」
俺の顔面は硬直しているだろう。そして、一瞬にして周囲から人影が消えた。
気づいて周りを見ても誰もいない。
残っているのは俺とオトシンさんのみ。
「お、おい。どうしたんだよ」
「くっ! 本当に木工士と知り合いたいんですね!?」
「あ、あぁ」
「つ、つ着いて来てくだださい!」
木工工房へ向かう最中一言も話せなかった。
教えてあげようと思ったんだ。
だけど、言えなかった。
「木工工房アルデンね。あっちの木工所と似てるね」
「開けますよ? 心してくださいね?」
「ん? あぁ」
ドアノブに手を掛け、そろりそろりと開く。
10cm程開けたところで、内部の声が漏れ出て来た。
「でゅふふふふ」「あの指先。良い!」「流れる髪がたまらないわ」「ジュルリ」
俺には耐えられない!
開けようとする意思に反して、手が自然と閉めてしまった。
「くっ!」
毎回この扉を開くのに30分かかる。
入った後の言葉選びを考えると、3時間準備しても良いくらいだ。
「おい。何だ今の」
「あれが木工工房です」
「アタシが知ってる木工所と違うんだが?」
「覚えておいてください。ドワーフ村の木工工房では、アルデン様は神だ」
その言葉を皮切りに、木工工房の扉が勢いよく開く。
中から大量のポックル達が出て来て、各々話出す。
「さすがはNO.1。良く言ったわ」「アルデン様に始まりアルデン様に終わる」「この世の全てが置かれた場所」「アルデン様の工房へようこそ!」
会長がオトシンに近づくと、恒例の譲渡が始まる。
「さぁ、受け取りなさい。新たな信者よ」
「おい。なんで《YESとはい》なんだ? おかしいだろ! まさかチートか!?」
「私たちはそんな無粋な真似は致しません。これは神《うんえい》に祈《クレーム》り続けた我々に信託《きょか》が降りたのです」
運営もおふざけ半分で許可を出したのだろうが、それ依頼俺たちからは、ここが魔窟と呼ばれるようになった。
「オトシンさん。それが表示された時点で答えは出ています。お受け取りください」
「まぁ、貰うだけなら……。おい! 譲渡破棄不可って何だよ!」
その気持ちは痛いほどわかる。
「あなたは今。洗礼を受けたのですよ? すぐに抜けられると思わないことです。さぁ、私たちも祈りに戻りましょう!」
そう言って、ワラワラと巣穴に戻って行った。
「何度も言ってますけど、あれは不可抗力ですって。それより……」
カバンを漁って、作ったものを取り出す。
《プレイヤー『オトシン』に【鉄のナイフ】【鉄のハサミ】【鉄の目打ち】を譲渡しますか?》
YES←
「おぉ!? 良いのか?」
「これもクエストの一貫なので、もらってください」
《譲渡が完了しました。》
《招待クエストが完了しました。》
《【オリジナルレシピ(針)】を入手しました。》
「よっしゃぁ! これで針が作れる!」
「針だとぉ! おい! アタシにも作ってくれるんだよな?」
「まぁ、慌てずに。今俺が作れるのが、針です。さらに竹林で見つけた竹が加工出来れば?」
「あとは糸だ……。でかしたぞ! 糸はアタシの分野だな!」
「オトシンさん。スタートは近いですよ!」
ふっふっふ。釣りの夜明けも近いですな。
「それで? いつ流通に出すんだ?」
「ん?」
「だから流通だよ」
この人は何を言ってるんだ?
誰かわかる?
「君達わかる?」
他の弟子達に聞いてみるが、誰1人としてわからない。
「まさか、ドワーフ村には流通無いのか? 人族だと、コマンドに流通販売ってのがあるんだけどさ。端っこの方に」
端っこか、……あった。
「あった」
「私は無い」「俺も無いよ」「僕も」
他の弟子達は、みんな持ってない。
俺との違いと言えば、成人か?
「成人しないと出て来ないとか?」
「人族は未成年なんて無かったからな。……そういうこともあるのかな?」
ふと思ったが、ポックル族は違くないか?
そっちを見ると、気まずそうな顔をしている。
「す、すみません。みんな知ってて使ってないものだと思ってました」
その後も、「うん」「はい」とポックル達が話出す。暗黙のルールとして思われていたようだ。
「ドワーフ産のアイテムが出回ってない理由がようやくわかった」
納得顔のオトシンさん。
「でも、そんなに困らないでしょ? 他の場所でも作ってるんだし」
「そんなわけあるか! 言っておくが、お前の鍛冶レベルは日本最高クラスだぞ」
そんな馬鹿な!こんなに失敗して、こんなに中途半端なのに……。
「そんなわけないよ! みんなもそう思うだろ!?」
後ろを向くと、気まずそうに首を左右へ振っている。
マジかよ!?
弟子達の話だと、俺が劣化鉄製品を作ってる時は、人族だと石器時代だったらしい。人族の配信者が、自信満々に石を削っている姿を見ていたから、間違いないと。
「なんてこった……。劣化しか予備無いけど、ハンマーだけでも流しておくか。」
「そうしてくれ」
だが、今は工房使えないしな。
とりあえず、スコップ出来たと2人に連絡入れておこう。
送信っと。
「オトシンさんどうします? やりたいこととか」
「木工士にも作ってもらいたい物があるんだよな」
俺の顔面は硬直しているだろう。そして、一瞬にして周囲から人影が消えた。
気づいて周りを見ても誰もいない。
残っているのは俺とオトシンさんのみ。
「お、おい。どうしたんだよ」
「くっ! 本当に木工士と知り合いたいんですね!?」
「あ、あぁ」
「つ、つ着いて来てくだださい!」
木工工房へ向かう最中一言も話せなかった。
教えてあげようと思ったんだ。
だけど、言えなかった。
「木工工房アルデンね。あっちの木工所と似てるね」
「開けますよ? 心してくださいね?」
「ん? あぁ」
ドアノブに手を掛け、そろりそろりと開く。
10cm程開けたところで、内部の声が漏れ出て来た。
「でゅふふふふ」「あの指先。良い!」「流れる髪がたまらないわ」「ジュルリ」
俺には耐えられない!
開けようとする意思に反して、手が自然と閉めてしまった。
「くっ!」
毎回この扉を開くのに30分かかる。
入った後の言葉選びを考えると、3時間準備しても良いくらいだ。
「おい。何だ今の」
「あれが木工工房です」
「アタシが知ってる木工所と違うんだが?」
「覚えておいてください。ドワーフ村の木工工房では、アルデン様は神だ」
その言葉を皮切りに、木工工房の扉が勢いよく開く。
中から大量のポックル達が出て来て、各々話出す。
「さすがはNO.1。良く言ったわ」「アルデン様に始まりアルデン様に終わる」「この世の全てが置かれた場所」「アルデン様の工房へようこそ!」
会長がオトシンに近づくと、恒例の譲渡が始まる。
「さぁ、受け取りなさい。新たな信者よ」
「おい。なんで《YESとはい》なんだ? おかしいだろ! まさかチートか!?」
「私たちはそんな無粋な真似は致しません。これは神《うんえい》に祈《クレーム》り続けた我々に信託《きょか》が降りたのです」
運営もおふざけ半分で許可を出したのだろうが、それ依頼俺たちからは、ここが魔窟と呼ばれるようになった。
「オトシンさん。それが表示された時点で答えは出ています。お受け取りください」
「まぁ、貰うだけなら……。おい! 譲渡破棄不可って何だよ!」
その気持ちは痛いほどわかる。
「あなたは今。洗礼を受けたのですよ? すぐに抜けられると思わないことです。さぁ、私たちも祈りに戻りましょう!」
そう言って、ワラワラと巣穴に戻って行った。
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